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製作家/商品名 ゲルハルト・オルディゲス Gerhard Oldiges演奏動画あり
モデル/品番 Model/No. ‛La Cincuenta y Tres
001_002_oldiges_02_208
弦長 Scale Length 652mm
国 Country ドイツ Germany
製作年 Year 2008年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides インディアンローズウッド Solid Indian Rosewood
付属品 Option 軽量ケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:黒檀
塗 装:セラック
糸 巻:ロジャース
弦 高:1弦 3.2mm/6弦 4.0mm

〔製作家情報〕
1955年ドイツ生まれ。大学卒業後にギターやリュートなど幾つかの工房で修業を重ねたのち、1985年にマイスター制度による国家試験に合格しゲゼレを取得、1986年に創設当初のLakewood Guitars のリペア部門で働くことになります。1988年にベルギーで開催されたホセ・ルイス・ロマニリョス(1932~2022)のギター製作セミナーに参加し、この名工から彼のその後の方向性を決定づけるほどの影響を受けることになります。1989年には再び国家試験に合格しマイスターの称号を得るとともに、自身の工房を設立。

ロマニリョスとは師弟として、そして良き友人としてその後も関係は続き、スペイン、シグエンサで開催された講習会ではトビアス・ブラウンらとともに助手を務めています(この講習会には尾野薫、田邊雅啓、中野潤らが参加している)。また彼の畢生の名著と言える「アントニオ・デ・トーレス その生涯と作品」のドイツ語訳を刊行するなどギター文化を拡げてゆくためのアクションも積極的に行っています。自身もやはりトーレスを起点とするスペインの伝統的なギター、そして特にハウザー1世の製作美学に傾倒し、現在もこれらのマエストロたちのギターを規範とした、外観、音色ともに味わい深い楽器を製作。名手ジュリアン・ブリームが所有するなどプロギタリストからも高い評価を得て、非常に限られた製作本数ながら世界中で愛用者を獲得している、現代ドイツの代表的製作家の一人。


〔楽器情報〕
ゲルハルト・オルディゲス 製作のハウザー1世モデル ‛La Cincuenta y Tres' 2008年製Usedの入荷です。「優れたギターは歴史的な名工たちによって既に完成されている」と断言し、スペイン伝統工法こそがそれらの音響の手掛かりとなると確信したオルディゲスにとって、ヘルマン・ハウザーの高度な洗練はやはりその理想形の一つとして(同じドイツ人としての感性的な共鳴ということもあって)彼の美学の中心に据えられているようです。本作において、彼の全てのギターに通底していることですが、自身の嗜好やスタイルに寄せることなく、また名工の作だからと言っていたずらに豪奢に(外観も音も)仕上げることもなく、ごく自然な、しかしこの上なく気品のある佇まいで着地させており、誠に味わい深い仕上がりとなっています。

表面板内部構造はサウンドホール上側(ネック側)に2本、下側(ブリッジ側)に1本のハーモニックバー、左右対称7本の扇状力木とそれらの先端をボトム部で受け止めるようにV字型に配置された2本のクロージングバー、駒板位置にはほぼ同じ面積の薄い補強プレートが貼られているという全体の配置で、もちろんハウザー1世作のセゴビアモデルに準拠したものとなっています。レゾナンスはF#の少し下に設定されています。

重心の低さをしっかりと感じさせつつ、低音から高音まで同じフェーズで音が均質に連なってゆくような(鍵盤楽器的な)音響設計。しかしながら決して平坦ではなく、和声的な楽曲では各声部のアイデンティティが明確になり、整った音響の中に独特の立体感が生まれる、ハウザーでしか聴くことのできない特徴を円満に備えています。そしてそこにオルディゲスらしい柔和さが加味されて、全体に表情はどこか優しくそしてロマンティックでさえある、大変に魅力的なハウザーモデルとなっています。

表面板のサウンドホール周りや指板両脇などにやや弾きキズ等目立ちます。また横裏板の演奏時に腕や胸の当たる部分などに塗装の摩耗やその他衣服の細かな摩擦あとなどが全体に見られます。割れなどの大きな修理や改造歴はありません。ネックはやや順反りの状態。フレットは適正状態を維持しています。ネック形状は薄めのDシェイプで丸みのあるタイプ。弦高値は3.2/4.0mm(1弦/6弦 12フレット)でサドルには1.0mmの余剰があります。糸巻はRodgers 製ハウザースタイルを装着しています。





新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

製作家/商品名 カルロス・ホアン・ブスキエール  Carlos Juan Busquiel演奏動画あり
モデル/品番 Model/No. トラディショナル Tradicional No.135
001_003_Busquiel_1_02_221
弦長 Scale Length 650mm
国 Country スペイン Spain 
製作年 Year 2021年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド Solid South American Rosewood
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:セラック
糸 巻:アレッシー
弦 高:1弦 3.2mm/6弦 3.9mm

[製作家情報]
1980年生まれ。スペイン、アリカンテに工房を構える製作家。12歳よりギターを弾き始め、大学ではヴァイオリンを専攻、その後独学でヴァイオリン製作をしていたころにギター製作家のラファエル・ロペス・ポルラスと出会い、本格的にギター製作を学び始めます。そしてジョアン・ペリッサらが主宰した古楽器のセミナーでの名匠ホセ・ルイス・ロマニリョスとの交流から、スペインの伝統的な工法に基づいたギターの魅力に取りつかれ、以後はアントニオ・デ・トーレスを規範とする純粋なスパニッシュギターの製作に専念します。その後もロマニリョスからの多くのアドバイスにより、トーレス以降の名工達(アリアス、ラミレス、ガルシア、シンプリシオ等)の研究を深めてゆく過程で、自らのオリジナル性も同時に追求してゆきます。

彼のギターはトーレスから始まる19世紀から20世紀前半のスパニッシュギターの伝統を規範とし尊重しながらも、そこに現代の音の嗜好と演奏性におけるニーズに対して柔軟に応えた要素をさりげなく加味したもので、幅広い弾き手にアピールできる柔軟さを備えたものとなっています。

[楽器情報]
カルロス・ホアン・ブスキエール トラディショナルモデル2021年製の中古です。
現在4種ある彼のラインナップの中で最もスタンダードなモデル。トーレスレプリカとなる「La Leona」、そしてより音量の増大を指向した「Concerto」 モデルなどがありますが、その中ではやはりこの「Tradicional」が彼の個性と素養とが最も無理なく融合したモデルとなっています。ヘッドシェイプはトーレスですが、内部構造は計6本の扇状力木がセンターの1本を境に高音側に3本、低音側に2本配されており、ボトム部に短い2本のクロージングバー、ブリッジ位置にはパッチ板が貼られているという配置。伝統的ながら、細かな部分に彼自身の工夫も感じさせる構造になっています。表面板はかなり薄く加工してあり、これはスペインヴィンテージのギターを参考にした設定でしょう。レゾナンスはGに設定。非常にヴィヴィッドで明るい発音。やや乾いた感触の響きはかのグラナダの名工たちをも想起させます。

プレイヤー目線での演奏性に対するこだわりもある彼ならではの、握りやすいDシェイプのネック。ネック自体のセッティングも良く、全体に弾き易いモデルになっています。ただし弦の張りは強めでブリッジ弦穴はダブルホール仕様のため、柔らかめのテンション感を楽しみたい方は弦穴をワンホールでの通常の巻き方で弦を装着するのをおすすめします。全体はセラックの丁寧な仕上げ、糸巻きはアレッシーを装着しています。

表面板のサウンドホールとブリッジとの間、弦の張ってある範囲に演奏時によるものと思われる1~3センチほどの傷が数か所あります。また薄く加工された表面板はブリッジ下からボトム部にかけてがほんの若干膨らみがありますが、適切な環境下であれば今後の使用、演奏には問題ございません。






定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

製作家/商品名 ホセ・ルイス・ロマニリョス 1世 J. L. Romanillos Ⅰ
モデル/品番 Model/No. La Prematura #220
001_101_romanillosJL_1_03_174
弦長 Scale Length 652mm
国 Country スペイン Spain 
製作年 Year 1974年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides ローズウッド単板 Indian Rosewood
付属品 Option ハードケース付属
備考 Notes
〔製作家情報〕
1932年スペイン マドリッド生まれ。
10代の頃は同地の家具製作工房で働き、1956年にイギリスに移住。移住した当初は病院で働いていましたが、1961年に純粋にプライベート用として独学でギターを製作します。1969年には名手ジュリアン・ブリームの知己を得て、彼はロマニリョスの非凡な才能をすぐに見抜き、ウィルトシャー、セムリーにある自身の敷地内に工房を作らせて製作家として独立することをすすめます。所有していた数々の名器の中でも、ロマニリョス1973年製のギターは長年ブリームのお気に入りの一本となった事は良く知られています。彼はまた大変な碩学としても知られ、名著の誉れ高い「アントニオ・デ・トーレス」を上梓するなど執筆業でも高い評価を得ているほか、その知識を活かして後進の指導にも尽力。毎年シグエンサにてギター製作の講習会を息子のリアム、ゲルハルト・オルディゲスやステファン・リーズをアシスタントにして開催していたことは彼の教育熱心な面をよく物語っています(2001年の講習会には尾野薫、田邊雅啓、中野潤、佐久間悟が参加)。

ブランドは1991年より息子のリアムが共同作業に正式に加わり、ラベルもJose Luis Romanillos&Son に変更、現在に至っています。今年2020年には、彼の講習会のアシスタントを務めていたJosep Melo氏によりロマニリョス1993年以降の製作史を総括する大著「Romanillos Guitarras The Guijosa Period 1993~2015」が上梓され、現役最大の巨匠としていままた世界的に更なる評価の高まりを見せています。

〔楽器情報〕
ホセ・ルイス・ロマニリョス1世 1974年作、‘La Prematura’です。彼の製作家としての才能を高く評価していた名手ジュリアン・ブリームのすすめにより、イギリス、セムレーの彼が所有する敷地内で工房を持ち、まさに意気揚々とそのキャリアを漕ぎ出した時期のもの。トーレス=ハウザーを規範として様々な構造でギターを作り続けてきたこの製作家にとって、彼自身の言葉にもあるように一つとして同じ楽器はないと言えるのですが、本器は最も敬愛するトーレスを踏襲しつつも、独自の構造的な工夫がなされ、その後の代表的な配置構造の萌芽とも言える造りとなっています。内部構造はサウンドホール上に2本、下に1本のハーモニックバー、そしてボディの肩の位置から真直ぐ2本の力木がバーと垂直にサウンドホール下のハーモニックバーに伸びており、途中2本のバーをトンネル状にくぐりぬけています。このサウンドホールの横をバーを貫通して配された2本の力木は低音側にのみで、高音側には配置されておりません。扇状力木は左右対称7本でボトム部にはハの字型のクロージングバー、駒真下位置にはパッチ板があてられています。レゾナンスはGの少し下に設定されています。糸巻きはライシェル製を装着。

1970年代初期のロマニリョスらしい、力強く芯がある響きながらも柔らかな奥行きを持った、よりスペインのヴィンテージの味わいを感じさせる音色。木質のヴィヴィッドな発音が素晴らしく、和音の豊かで雑味の無い響き、単音の凛とした音像、そして全体の表情の繊細な変化という点でも申し分がありません。製作家の初期の作とはいえ既に比肩するものの無いクオリティを確立していたことがうかがえる一本です。比較的コンパクトなラウンドシェイプのネックはフィット感が良く、左手の演奏時のストレスが少ないところも特に手の小さめな方にとっては嬉しいところでしょう。

弾き傷や打痕等は若干ありますが年代考慮すると標準的な状態と言えるでしょう。割れ等の修理履歴なく、またネック、フレット、糸巻きなど演奏性に関わる部分での状態も良好で問題ありません。



品切れ 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

製作家/商品名 フランシスコ・サルバドール・ヒメネス Francisco Salvador Giménez
モデル/品番 Model/No. トーレスモデル Torres model  No.23
001_FSGimenez_02_200
弦長 Scale Length 655mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 2000年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド Solid South American Rosewood
付属品 Option 軽量ケース グレー
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:黒檀
塗 装:セラック
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 3.0mm /6弦 4.0mm

[製作家情報]
フアン・フランシスコ・サルバドール・ヒメネス Juan Francisco Salvador Gimenez(1946~2010)スペイン、アンダルシア州アルメニアの La Canada de San Urbano 生まれ。ラベルには製作家名と共に「Bisnieto deTorres」と印刷されており、現在に至るクラシックギター製作の創始となり、その原型を作りあげた名工で同じアルメリア生まれのアントニオ・デ・トーレス(1817~1892)の曾孫であることが示されています。1959年、13歳のころから木工職人としての修行をはじめ、1973年の23歳の時には曾祖父の遺した型板を基にギター製作を開始。当時イギリスのSemley に工房を構えていた名工ホセ・ルイス・ロマニリョスのもとを何度か訪れ、製作に関する助言を受けています。トーレスのスタイルを踏襲し、なおも自身の研究を深めながらじっくり作られたギターには偉大なる曾祖父のそれとはまた異なる魅力があり、年間製作数がおよそ1~2本という寡作なブランドということもあって現在マーケットでは非常に珍しい楽器となっています。

[楽器情報]
フアン・フランシスコ・サルバドール・ヒメネス 製作 2000年 No.23 のUsed 珍しい1本の入荷です。表面板の型、ヘッドシェイプ、ロゼッタやパーフリングなどの意匠などの外観、さらには内部構造においてもそれをほぼ偉大なる曾祖父トーレスのものを踏襲したスタイルで作りあげた一本です。

表面板力木配置はサウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に各一本のハーモニックバーで、このうち下側のほうのバーは高音側と低音側に開口部が設けられています。ウェストから下は左右対称7本の扇状力木にそれらの先端をボトム部で受けとめるようにV字型に設置された2本のクロージングバー、そして駒板位置にはほぼ同じ面積の薄い補強板が貼られています。いちばん両外側の扇状力木はサウンドホール下側ハーモニックバーの両開口部をくぐり抜けて、サウンドホールを囲む円形補強板の縁に達しており、その先端近くから上側ハーモニックバーにかけて1本ずつの短い力木、さらに上側ハーモニックバーからネック付け根までに一本ずつの短い力木が設置されています。これらの6本の長短力木をなぞるとちょうど近接する横板のカーブに沿うようなラインを形成していることになります。オリジナルトーレスと異なる点は駒板位置の補強板の設置、そして上側ハーモニックバーとネック付け根の間に設置された短い力木とになりますが、ロマニリョスや、フラメンコギタリストでギター収集家でもあったマヌエル・カーノからの助言の影響もあったかもしれません。レゾナンスはF#の少し下に設定されています。

たっぷりと木質の触感をもった太い響きで、中低音から低音が位相的に前に出てくる感覚があり、どこか南米のギター的なニュアンスも感じさせる1本。スペイン的なクリアネスというよりも全体に渋めの音色で、ヴィンテージ風の落ち着いた佇まい。箱がしっかりと鳴っていながらも慎ましくまとまりのある、オーディトリアム的というよりはサロン的な響き方にはトーレスを思わせるところもあり、その自然な鳴りが魅力と言えるでしょう。

トーレスのハイスペックモデルの意匠を基にした豪奢なデザインのロゼッタ、ヘリンボーンや大胆な雷文模様のパーフリングをあしらっていますが、色味を茶とベージュに統一し、オリジナルが持つ威容よりもむしろ落ち着いた外観に着地させています。ヘッドはやはりトーレスの特徴的なデザイン。全体に飴色がかったセラック塗装で渋く仕上げてあります。

割れや改造等の大きな修理履歴はありません。演奏時に胸や腕の当たる場所などに塗装の擦れやムラ等があります。表面板サウンドホール周りから指板脇にかけて軽微な弾きキズ、ネック裏もわずかに爪による傷があり、またその他衣服等による細かな摩擦あと等はありますがいずれも外観を損ねるものではありません。表面板のサウンドホール高音側にはゴルペ板が装着されていますがこちらは出荷後に貼られたものでオリジナルではありません。ネック、フレット、糸巻などの演奏性に関わる部分での問題もありません。ネックシェイプはフラットな形状のDシェイプ、糸巻はスペインの老舗ブランドFusteroを装着しています。弦高値は3.0/4.0mm(1弦/6弦 12フレット)でサドルには1.0~2.0mmの余剰があります。重量は1.52㎏。

新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

製作家/商品名 ヘロニモ・ペーニャ・フェルナンデス Jeronimo Pena Fernandez
モデル/品番 Model/No. Especial
001_JeronimoPF_02_178
弦長 Scale Length 670mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 1978年
表板 Top 杉単板 Ceder
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド Solid South American Rosewood
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:黒檀
塗 装:ラッカー
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 2.8mm /6弦 3.9mm

[製作家情報]
ヘロニモ・ペーニャ・フェルナンデス Jeronimo Pena Fernandez(1933~)スペイン、アンダルシア州のハエン県、マルモレホに生まれ、同地に工房を構える製作家。農家の子として育ちますが、9歳の時に大工の工房に弟子入りし(この工房ではしばしば地元の演奏家たちの楽器も修理していたようです)、ここで木工と装飾彫刻を学んでゆきます。幼少期からギターには興味を持っており、1950年代には独学でギターを作り始めています。それら初期の作の一つがフラメンコギタリストPepe Marchenaを通じてある数学教授兼コレクターのもとに渡り、その出来栄えに感動した彼は自身のコレクションから勉強のために銘器を貸し与えるとともに、フレッティングについての数学的な助言を与えるなどしています。1967年(1966年と記載している文献もあります)にはギター製作家として完全に独立して仕事をするようになりますが、ここに至るまでやはり全くの独学で製作技法を学んでいたものの、その木工技術の精密さ、音とデザインの独創性、すぐれた演奏性など楽器としてのトータルな完成度の高さによって評価と人気を得てゆくことになります。

1993年には自身の製先技法を詳細に記した著書「El Arte de un Guitarrero Espanol」を上梓しており、書中では大工工房でみっちりと修行した彼らしく木材の適正な伐採時期(彼によると1月の、満月から一日経った最初に欠ける日に伐採するのが最適だという)から極めてユニークな内部構造の設計についてなどが語られています。

彼のギターの特徴はまずその外観において、ヘッドと駒板の彫刻、厳選された木材の美しさ、やや大きめなサイズ感とその全体の比類の無い威容、エレガンスにまずはあると言えます。加えて内部構造ではアントニオ・デ・トーレスの伝統的なスペイン工法を土台としながら、より緻密で複雑な設計が為され、それは音響において彼がむしろアーティスティックな感性において追求し続けた音の丸み(redondez)を体現するものとして発想されているがゆえの、ある種数学的な有機性によって統一された極めて美しいものとなっています。またこうした独創性が決して発想の特異さのみに堕することなく、楽器として音楽的な豊かさに帰結しているところはやはり特筆すべきでしょう。

フラメンコとクラシックの両方を製作し、フラメンコではマノロ・サンルーカルらの名手が使用しそのカテゴリーでの名声が高まりますが、杉材の荘重な佇まいが印象的なクラシックがむしろ現在は人気のアイテムと言えるでしょう。付言すれば、イギリスのヘヴィメタルアーティストOzzy Osbourneの初期バンドメンバーであった夭折の天才ギタリストRandy Rhodes(彼は優れたメタルギタリストであると同時にクラシックの正統な教育も受けていました)が1979年製のヘロニモ・ペーニャ製作のクラシックモデルを愛用していたことで、ハードロックファンにはいまも伝説的かつ垂涎のアイテムの一つとなっています。

[楽器情報]
ヘロニモ・ペーニャ・フェルナンデス製作、1978年製 Especial モデル。非常に状態の良い美品Usedが入荷致しました。このブランドの符牒とも言える尖塔形のヘッドシェイプではなく、トーレスを思わせるスタイルで彫刻のデザインも異なります。またラベルも羊皮紙の巻物を紐解いたようなレトロなデザインでこれも彼の通常モデルとは異なり、Especialモデルのみの仕様のようです。ヘッドと駒板などの、印象的ですがしかしぎりぎりのところで抑制されたデザインの彫刻や意匠、彼の面目躍如たる厳選された材(おそらくSequoia杉を使用した表面板の赤みの深さ、横裏板は野趣溢れる中南米ローズウッドの組み合わせ)の美しさ、たっぷりとした容量のあるボディながらしかしスマートさを感じさせるきりっとした外観がやはり素晴らしい。指板エンド部分もささやかな木彫が施され、サウンドホールラベルを慎ましく引き立てていることも特筆すべき点でしょう。

実に特徴的な内部構造を持ったギターです。基本となるのはトーレス的なハーモニックバーと扇状力木の組み合わせ。サウンドホール上下に一本ずつのかなり強固なハーモニックバーを設置していますが、このうち下側のほうのバーはサウンドホールの真下部分を頂点として大きくネック方向に湾曲して設置されています。またネック脚を貫通するようにして1本、そしてネック脚と上側ハーモニックバーとの間にも1本の短くやや繊細な造りのバーを設置。下側ハーモニックバーの低音側のほぼくびれに近い部分からは同じように強固な造りのバーが横板に向かって斜めに下がってゆくようにしかもやはり湾曲して設置されています。サウンドホール周りにはまず一枚の補強板が貼られた上に高音側と低音側それぞれに一枚ずつの幅の狭い補強板が貼られているという二層構造。そしてボディ下部は左右対称5本の扇状力木と3本の等間隔に設置されたバー(これらはハーモニックバーよりも細く低い形状)とが交差しており、そのグリッド状になった枡目の一つ一つに対角線を結ぶようにしてX状の力木が設置されています。この小さなX状力木はサウンドホールの高音側と低音側にも(補強板縁から横板との範囲を覆うように)設置されています。これらXの延長線をつなげてゆくとちょうど表面板下部全体がモダンギターの特徴的な構造の一つラティスブレーシングと同じような格子状配置になるのが興味深い(ちなみにオーストラリアの製作家Greg Smallman が格子状力木を実用化したのも1970年代後半であり、名手ジョン・ウィリアムスが使用したのが1981年製で世界中に認知されるのは1980年代以降であるから、ヘロニモ・ペーニャとスモールマンの直接の影響関係は考えにくいのですが、両者の同時代的な進歩的精神の偶然の一致はギターの製作史を俯瞰してみると非常に象徴的なものを感じさせもします)。また裏板には両横板を繋ぐ計5本のバーと、センターの接ぎ部分にやはり二層構造で補強プレートが設置されている他、高音側と低音側のボトムからネック付け根までを繋ぐ各一本の補強板(裏板と同じ素材で作られている)がほんのわずかに湾曲して設置されてています。レゾナンスはF#とGの間に設定されています。

表面板のはスタンダードなサイズですが、ボディ厚みがアッパー部で10.6cm、ボトム部で11cmあるその容量の大きさと、木材の性質を十全に活かした響き。ふっくらとした奥行きを持ち、レゾナンスが低めながら低音に偏ることがなくむしろ高音域に渡るまで全体に整った、そして非常に洗練された統一感があり、構造的に格子状力木と近似しているせいか、弾性感をともなった、表面板から直に立ち上がってくるような発音が心地よい。音量はしかしモダンギターのような過度に増幅されたような感覚はなく、あくまでも自然に豊かに響きます。演奏において、特に高音の輪郭のはっきりした艶やかな音像が、十分なサスティーンと奥行きを持ちながらまるで形の整った玉のように連なってゆくのがなんとも魅力的で、それを低音の(低音自体も非常に引き締まった音像なのですが)たっぷりした響きが支えるような全体の音響はやはりスペインならではと言えるでしょう。

(コンディションについて)
表面板は駒板下1弦側に弦とび跡がありますが、その他は指板脇に数か所の軽微なスクラッチあとと衣服等による微細な摩擦あとのみで、横裏板もほぼ無傷に近く、年式を考慮すると全体に非常な美品と言える一本。割れ等の大きな修理や改造等の履歴はありません。ネックもほぼ真直ぐを維持しており、フレットも適正値、糸巻きはスペインの老舗ブランドFusteroを装着し、こちらも動作状況に問題ありません。ネックは普通の厚みのDシェイプ。ネックの差し込み角、ブリッジの設定などが絶妙で、670㎜の長いスケールを全く感じさせてない左手の演奏性。弦高値は2.8/3.9mm(1弦/6弦 12フレット)で、サドル余剰は0.5~1.0mm。弦の張りはスケールの割には中庸からむしろ弱めで、この点でも左手のストレスが軽減されています。重量は1.9㎏。


新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

製作家/商品名 パウリーノ・ベルナベ Paulino Bernabe演奏動画あり
モデル/品番 Model/No. コンシエルト Concierto
001_Pbernabe_1_02_220
弦長 Scale Length 650mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 2020年
表板 Top 杉単板 Ceder
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド Solid South American Rosewood
付属品 Option ハードケース(ヒスコック)、オリジナル仕様書&保管説明書
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:セラック
糸 巻:シャーラー
弦 高:1弦 3.0mm/6弦 4.0mm

〔製作家情報〕
パウリーノ・ベルナベ1世(1932~2007)スペイン、マドリッドの製作家。自身も演奏を能くし、タレガの高弟ダニエル・フォルテアにギター演奏を師事していたのは有名な話。製作家としてはホセ・ラミレス3世の厚い信頼のもと、同工房にて1950年代から1960年代にかけて職工長を務め、この巨大ブランドの黄金期を支えた最重要人物の一人として、まずはギター製作史にその名を残す存在となりました。その後1969年に独立してからは伝統的な製法に則りながらも独自のメソッドによる個性的なギターを作り続け、1974年にドイツ、ミュンヘンで開催された国際クラフト博覧会で金メダルを受賞。そして往年のギターファンにとってはなんと言っても忘れ難い、ナルシソ・イエペスが愛用することになる有名な10弦ギターを製作することになります。息子のパウリーノ・ベルナベ Jr(1960~)は幼少の頃より父の仕事姿に親しみ、17歳の時には正式に弟子入りし20年以上に及ぶ厳しい修行と共同製作の時期を経て、2007年に1世亡き後はこのブランドを引き継ぎます。その後現在に至る2世の時代は父親のブランドコンセプトを十全に継承しつつ、より時代のニーズに合わせた(コストパフォーマンスとプレイヤビリティの双方において)充実したラインナップを展開し、若手のプロギタリストの使用率も高くなっている。現在マドリッドを代表するブランドの一つとして高い評価を得ています。

〔楽器情報〕
パウリーノ・ベルナベ Conciertoモデル 2020年 表面板杉仕様のUsed良品が入荷致しました。
ベルナベは2000年前後から上位機種でも4種類以上のモデルをカタログ化しており(現在はConcierto、Especial、Torres、Royalの5種)、それぞれ使用材のグレードなどによってランク分けされていますが、当モデルはその導入に位置するモデルとなります。とはいえこの名門ブランドのプロフェッショナルシリーズとだけあって、そのクオリティは確かなもの。またベルナベ独自の構造的工夫、時代のニーズを敏感に感じ取りそれを伝統的スタイルの中に落とし込むその着地点の絶妙さについては、マドリッド派の中でもやはり際立ったものといえるでしょう。

以前のConciertoモデルと比較すると本作では板はより薄く加工され、全体も軽量化しており(1.60㎏)、更に塗装も薄めの仕上げとなっています。そのためかフラメンコ的ともいえるような生々しさ、反応の速さ、木がじかに震えるような太く乾いた響きがぎりぎりまで追及され非常な迫力、そして適度な色彩感が備わっています。やや大柄なボディですが弦の張りは中庸で、ネックはかなり薄めのCシェイプタイプのため左手の感触は非常にコンパクトに感じます。レゾナンスもまたかなり低く、E~Fに設定されています。

内部構造はサウンドホール上下各一本のハーモニックバー、そしてサウンドホールの丁度真下の位置から高音側と低音側の横板に向けて1本ずつ斜めに伸びる力木がちょうどハの字型になるように設置、ボトム部にもハノ字型に2本のクロージングバーが設置され、表面板中心部分を菱形に囲むような形になっています。その菱形になったスペースの中心に表面板の木目に沿うように平行に設置された3本の力木とブリッジ位置に貼られたプレートという独特な力木構造で、これはベルナベ1世のEspecialモデルなどに採用されていた構造を忠実に踏襲しています。さらに2世はここで非常に独特な工夫を加えており、上記の菱形になった部分の表面板に円形の浅い掘り込みを何重にも入れており、ちょうど1センチ幅ほどの同心円が表面板下部をブリッジを中心としてまんべんなく張り巡らされているような形になっているうえ、同部分のみ何か焼き込みをを施したように明確に黒くなっています。この仕様は現在の同モデルでは採用されておらず、この年式特有のものとなっています。

表面板指板脇の高音側とサウンドホール下側にわずかに細かなスクラッチあとがあるほかはほとんど傷もなく、また割れなどの大きな修理履歴もありません。ネック、フレット等の演奏性に関わる部分も良好です。オリジナル仕様書と保管説明書(英語)が付属しています。





定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

製作家/商品名 ルベン・モイセス・ロペス Ruben Moises Lopez
モデル/品番 Model/No.
001_Rlopez_2_03_202
弦長 Scale Length 648mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 2002年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides インディアンローズウッド Solid Indian Rosewood
付属品 Option 軽量ケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:セラック
糸 巻:ゴトー
弦 高:1弦 3.4mm/6弦 4.0mm

[製作家情報]            
1967年 スペイン、マドリッドの生まれ。父親は同地の名工として名高いマルセリーノ・ロペス・ニエト(1931~2018)。楽器ミュージアムと工房が一緒になったような自宅の環境の中で、彼は5歳の頃より木工についての基礎知識とギター製作を学び始めます。父親の工房でじっくりと熟成させるようにその技術を磨いていった彼は、満を持して1990年代の後半より自身のラベルにてギターを出荷するようになります。父親譲りの丁寧な仕事で仕上げられたギターは音色と外観とに独特の滋味を漂わせ、スペインの先達への敬意に溢れた楽器として、当初より高い評価を得てきました。現在は製作を行っておらず、父マルセリーノも他界してこの工房からの新作の知らせがなくなったことが、多くのギターファンから惜しまれています。

<楽器情報>
ルベン・モイセス・ロペス 2002年製 クラシック、オリジナルモデルです。父親であるマルセリーノ・ロペスの作風をさらに渋くしたようなヴィンテージ感漂うたたずまいは、同時代の製作家の中ではむしろ個性的とさえいえるマドリッド独特の雰囲気を湛えています。音色と響きも同様に渋く、しかしながら音量、表情、ダイナミックレンジや発音の反応性などどれも不足ありません。

全体に弾き傷、打痕等やや多くありますが大きな修理履歴はなく、ネック、フレット等演奏性に関わる部分での問題もありません。現在では貴重となってしまったブランドの珍しい中古での入荷です。


定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

製作家/商品名 セバスチャン・ステンツェル Sebastian Stenzel
モデル/品番 Model/No.
001_SStenzel_02_193
弦長 Scale Length 650mm
国 Country ドイツ Germany
製作年 Year 1993年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides インディアンローズウッド Solid Indian Rosewood
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:表板 セラック /横裏板 ラッカー
糸 巻:ゴトー
弦 高:1弦 2.8mm /6弦 3.7mm

[製作家情報]
セバスティアン・ステンツェル Sebastian Stenzel 1966年ドイツ、ゲッティンゲンに生まれる。父親は文学の教授(父親が愛聴していたジュリアン・ブリームのレコード演奏が自身の原点だとセバスチャンは語っています)ですが、高校を卒業するまでは物理学を専門に学ぶ青年でした。しかし同時に幼いころから木工を得意とし、そしてギターに惹かれ、なんと13歳の時に最初のギターを作ったという彼は自然に物理学への進路を離れ、製作家を志すことになります。1989年から1991年まで地元のギター職人Gert Esmyol のもとで修行し、その後も自身の製作哲学を醸成しながら製作と改善を続けてゆきます。1996年にドイツのマイスター試験に合格した後ミュンヘンに自身の工房を設立。もともと卓越した木工技術と楽器製作におけるセンスの良さを持ち合わせていた彼のここからの活躍は目覚ましく、1998年にバイエルン州政府賞を受賞。教育の分野においてもザルツブルグのモーツァルティウム大学、このモーツァルトの名を冠した音楽と舞台芸術の歴史ある総合大学にて、2002年からギター製作についての教鞭をとっています。2004年に同国のゼルデンに、2011年にはエメンディンゲンに工房を移設し現在に至ります。また彼は自身の報酬の一部を熱帯雨林の保護と再生に取り組んでいる団体に寄付し、その活動を積極的に支えていることは、彼をはじめとして主にヨーロッパの楽器職人の環境保護と製作という未来に向けての円満なサイクルを形成するための同時代的な意識の高まりを顕著に示す一例として特記すべきでしょう。

彼の楽器は、常にその目指す理想としての’Sonorous’なギターという一語に集約されますが、非常な探求心によって工学的、音響学的そして歴史学的な多彩なアプローチが試みられてきており、またそれぞれの地点において非常な完成度の高さを有していることが特筆されます。そしてそのような彼の製作の変遷において、常にその基礎となったのはスペインの伝統的なギターであることもまた彼のギターの特性を端的に表していると言えます(しかも驚くべきことにトーレスよりもさらに前のFrancisco Sanguino のギターにまでその構造原理の源をたどることができるというもの)。さらにはそこにドイツ的な音響嗜好と数学的な緻密さが実によい案配に付加されており、モダンギターの潮流とは一線を画す、現代の名品としての評価を確立しています。

[楽器情報]
セバスティアン・ステンツェル1993年製 Usedの入荷です。彼が修行時代を経て間もないころの作ですが、その製作技術と音響の完成度において既に名品と言ってもよいレベルにまで達しており、誠に瞠目すべき一本となっています。表面板の内部構造は伝統的なスタイルで、サウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に一本ずつのハーモニックバー、ネック脚と上側ハーモニックバーの間に一枚の補強板、下側のハーモニックバーは低音側から高音側に向かってほんのわずかに斜めにボトム方向に下がってゆくように設置されています。ボディ下部は左右対称5本の扇状力木にそれらの先端を(センターの一本を除いて)受けとめるように2本のクロージングバーがハの字型に配置されているという全体の構造。扇状力木はほぼ駒板の幅の中に納まるように中央に寄せて、平行に近い角度で設置されています。レゾナンスはFとF#の間という低めの設定で、ボディ重量も1.47㎏と軽めの造りになっています。

ドイツらしい、低音から高音までを一つの線で繋いでゆくような均整なバランス感で、各音は硬質な基音に真綿のような肌理を纏わせた音像。その整った音像が瞬間的な速さで現前するような発音で、その密度を維持したまま終止する、その終止における身振りにもあいまいさがなく、音楽的な意味での持続性(単に音が伸びるという意味でのサスティーンとは異なり)を備えています。表情は優しくそして凛としており、やや翳を含んだ響きがなんとも魅力的。その繊細な変化の中に音楽的な機微があり、この辺りは実にクラシカルな、敢えて言えば印象派的な響きの感覚があります。和声的な機能も優れており、和音におけるまとまりと内声のアイデンティティが両立しており、これは対位法的な楽曲においても十全に機能しています。これら音楽的な反応性という意味でのタッチに対するリニアニティが秀逸で、奏者は細やかさからダイナミックな振幅までを十全に表現することができます。

外観においてもその佇まいはどちらかと言えば地味ですが、ロゼッタの個性的なデザインとその精緻さ、赤茶、濃茶、ベージュを基調としたパーフリング等の意匠は慎ましくも様式美を打ち出しており、全体のしかりとしたアクセントになっています。

(コンディションについて)
表面板のサウンドホール周りや指板両脇などに細かな弾きキズありますが微細なものなのであまり目立ちません。駒板下1弦部分に弦とびあとがあります。横裏板は衣服等による軽微な摩擦あとのみの綺麗な状態です。割れや改造などの大きな修理履歴はありません。ネック、フレットともに良好な状態を維持しており、ネックは薄めのCラウンドシェイプで左手のコンパクトなグリップ感が追及されています。ネックとヘッド部はVジョイント接合。弦高値は2.8/3.7mm(1弦/6弦 12フレット)の弾きやすい設定になっています、サドル余剰が1.0~1.5mmありますのでお好みに応じてさらに低く設定することも可能です。


品切れ 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

製作家/商品名 アンヘル・ベニート・アグアド Angel Benito Aguado演奏動画あり
モデル/品番 Model/No. エストューディオ Estudio
002_AguadoAB_02_208_1779
弦長 Scale Length 650mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 2008年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides インディアンローズウッド Solid Indian Rosewood
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:ポリウレタン
糸 巻:ゴトー
弦 高:1弦 2.8mm /6弦 3.5mm

[製作家情報]
1949年スペイン、マドリッド生まれ。最初は家具職人として身を立てていましたが、20代半ばにはギター製作家に転身。スペイン古楽演奏の名手ホセ・ミゲル・モレーノとのコラボレーションは彼のキャリアにおいて極めて重要な位置を占めており、ビウエラ、リュート、テオルボやバロックギターなどの古楽器への知見を深めるとともに、トーレス以降現代にまで続くスペインギターの伝統を跡付けるように製作を展開してゆきます。特にトーレスへの傾倒を明らかにしながらも、完全なレプリカではなく自身の研究と音響嗜好と盛り込んだ彼のギターはトラディショナルな響きを愛好するギタリスト達の支持を集めています。

[楽器情報]
アンヘル・ベニート・アグアドのEstudioモデル 2008年製Used の入荷です。プロフェッショナル用として展開するConcert シリーズや歴史的名品の研究を活かしたEarly Guitars シリーズと併せてラインナップされているStudentシリーズの一本。文字通り入門者から中級用として作られているバランスフルなモデルです。表面板は松、横裏板はインディアン・ローズウッド合板、650㎜スケールでネックシェイプは普通の厚みのDシェイプ。スペインのマドリッド的(特にラミレス3世以降の)な特徴を不足なく備えた音で、十分な音圧、重厚な響き、程よく艶を湛え、表情も豊か。表面板内部構造はサウンドホール上側(ネック側)に長短1本ずつのハーモニックバー、下側(ブリッジ側)に1本のハーモニックバーとその中央、ちょうどサウンドホールの真下部分から高音側に向かって斜めに下がってゆくように設置された1本のトレブルバー、そして6本の扇状力木がセンターに配された1本を境に高音側に2本、低音側に3本を配置。ボトム部にはそれらの先端を受け止めるように2本のクロージングバーがハの字型に配置され、駒板位置にはほぼ同じ範囲に薄い補強プレートが貼られているという全体の配置。扇状力木はそれぞれの間隔は均等ではなく、やや低音に寄った形で配置されており、トレブルバーの設置など、全体にアシンメトリな構造になっています(この力木配置もやはりマドリッド派によく採用されていたスタンダードなパターンの一つ)。レゾナンスはG#~Aの間に設定されています。

表面板のサウンドホール周りや下部全体に細かな搔き傷や小さな打痕ががあります。裏板低音側は恐らく湿度変化等の影響による塗装の若干の変色が見られます。裏板にはネックヒール近くに木目に沿って段差を生じている部分がありますが、現状で割れには至っておらず、適切な環境下での使用であれば継続しての使用に問題はありません。ネックはわずかに順反りですが標準設定の範囲内。弦高値は2.8/3.5mm(1弦/6弦 12フレット)、サドルは現在下敷きが設置されており、その状態で1.5~2.0mmの余剰があります。糸巻はGotoh のSchaller モデル。





定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

製作家/商品名 ヘスス・ベジード Jesus Bellido演奏動画あり
モデル/品番 Model/No. トーレス6 モデル Torres 6
002_bellidoJ_02_207
弦長 Scale Length 644mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 2007年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド Solid South American Rosewood
付属品 Option ケース別売
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:セラック
糸 巻:木ペグ(ペグヘッズ)
弦 高:1弦 2.8mm/6弦 3.7mm

〔製作家情報〕
1966年生まれ。スペイン、グラナダの製作家。父親は同地の代表的な名工の一人マヌエル・ベジードで叔父はやはり製作家のホセ・ロペス・ベジード。13歳のころより父の工房に入り、17歳で最初のギターを製作しています。1989~1995の間はギター製作の講師としての職に就き、その後最初の工房を設立して製作に専念。1999年に父マヌエルの工房に戻り現在に致ります。古今の名工たちの多くのギターを修理や復元した経験から、特に自国の銘器に対する造詣が深く、それは彼の作るトーレス、サントス・エルナンデス、マヌエル・デ・ラ・チーカなどのレプリカモデルに顕著にあらわれています。また彼のオリジナルモデルもまたこうしたヴィンテージギターのように素朴で明朗、木質の味わい深い響きと迫力を同時に備えており、古き良きアンダルシアの音を蘇らせたものとして高く評価されています。発音は生々しく、非常な速さで立ち上がってくる音はダイナミックレンジ、音量ともに名工の多いグラナダスクールの中でも際立っています。造作にはやや粗さが見られるものの、セラック塗装でいかにも手作りといったその外観は音色同様に素朴なたたずまいを見せ、やはりこのブランドの大きな魅力の一つとされています。

〔楽器情報〕
ヘスス・ベジード製作のトーレスモデル (Torres 6とラベルには表記)2007年製Usedの入荷です。彼自身のオリジナルモデルとともに常にラインナップされている「トーレス」のひとつ。同地グラナダの先達マヌエル・デ・ラ・チーカのレプリカをはじめとするヴィンテージシリーズは彼の純粋な敬意が表れたどれも秀逸なものですが、クラシックギターの祖と言えるトーレスに対してはやはり特別なものがあったようです。よく知られているのは1883年製 SE54 のレプリカで、19世紀ギターを思わせる小柄なプロポーションでボディ厚も薄く、しかし豊かな鳴りを備えた魅力的なトーレスモデルですが、本作Torres 6はそれよりも現代的なサイズ感に近いミドルサイズのトーレス。

糸巻はPegheds製のギア付き木製ペグ仕様。そのためもあってかヘススらしい、耳に直接触れてくるような生々しい木質の響きで、彫りが深く、程よく粘り、弦に触れるだけで反応するような発音の鋭敏さが特徴的。そして特に高音は意外なほどにしっかりと艶を湛えており、これが古雅とフレッシュネスが同居したような音響を生み出しています。

彼のこうした特性はオリジナルと非常に相性が良く、実に自然にトーレス的キャラクターとして着地しています。現在世界中のあまたのブランドが同様のモデルを製作していますが、そのほとんどが現代的感覚でいわば rework あるいは remodel した楽器となっているのに対して、ヘススのそれはまさにreplicaとしての19世紀的な存在感を放っています。

表面板内部構造はサウンドホール上下に1本ずつのハーモニックバー、ボディ下部は左右対称5本の扇状力木、駒板位置には薄い補強プレートが貼られているという配置。ボトム部にクロージングバーは設置されておりません。5本の扇状力木はが駒板の幅の中に収まるようにして設置されており、これは上記1883年 SE54のスタイルを踏襲しているとのこと。レゾナンスはG#の少し上に設定されています。

全面オリジナルのセラック塗装で、表面板の特にサウンドホール周辺はやや演奏時の搔き傷が目立ちますが年代相応のレベルです。割れなどの大きな修理履歴はありません。ネックは厳密にはわずかに順反りですが許容範囲、フレットは適正値を維持しています。ネックシェイプは薄くフラットなDシェイプでベジードの特徴的な仕様です。

この後2010年前後からヘススのギターはさらに軽量化し、塗装はさらに繊細に、ボディ厚も薄くした仕様へと一旦シフトしてゆきますが、本作はその直前の、製作家の嗜好とモデルが要求するものとが円満なバランスで体現された一本となっています。






定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。


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