カセレスのギターはオリジナルのラベルとデザインによるものと、アルカンヘル工房品として「Para casa Arcangel Fernandez」のラベルを貼って出荷されているものとがあり、後者は基本的にアルカンヘルの監修による仕様に準拠していますが、オリジナルラベルによるモデルは内部構造からヘッドシェイプ、細部の仕様からラベルデザインに至るまでいくつかのタイプがあり、音色の傾向もそれぞれ異なり、個性的なものになっています。
〔製作家情報〕 カナダ出身で現在はスペインのグラナダで製作している。伝統工法に忠実で研究心旺盛な製作家。彼は1989年に訪西、マラガにてホセ・アンヘル・チャコンの指導を受けた後にグラナダをに居を構え、アントニオ・マリンやロルフ・アイヒンガ―の指導を受けて現地で工房を設立。その後2006年に彼の製作過程の写真集[EL ARTE DELA GUITARRA]を刊行、また2007年にはコルドバで開催されたアントニオ・デ・トーレスの展示会にて、1892年(SE153)の復元モデルを発表し、高い評価を得ている。
ブランドは1991年より息子のリアムが共同作業に正式に加わり、ラベルもJose Luis Romanillos&Son に変更、現在に至っています。今年2020年には、彼の講習会のアシスタントを務めていたJosep Melo氏によりロマニリョス1993年以降の製作史を総括する大著「Romanillos Guitarras The Guijosa Period 1993~2015」が上梓され、現役最大の巨匠としていままた世界的に更なる評価の高まりを見せています。
[製作家情報] ドイツ、ヘッセン州の豊かな自然が拡がるタウヌスの地に1960年生まれる。16歳の頃より3年間ディーター・ホッフ工房にてドラガン・ムスリンのもとギター製作を学びます。一旦兵役のため製作から離れましたが、その後は再びD.ホッフのもとで働くことになり、そこで後に共同でブランドを立ち上げることになるフランツ・ウルリッヒ・アルバートと出会います。1983年に厳しいマスターディプロマ工芸部門の試験に合格し、翌年アルバートと共にAlbert and Mullerを設立。クラシックギターのみならずアコースティックやマンドリン、古楽器に至るまでの広範なラインナップと極めて高い品質によりドイツでも指折りの手工品ブランドとして名を馳せるようになります。1990年半ばよりミュラーはより高い演奏性と完璧な音響を模索し独自の理論によるクラシックギター開発に専念するようになり、そして2007年二層構造の表面板によるギターを発表するに到ります。これはいわゆる「ダブルトップ」の構造をミュラーなりに解釈し再構成したもので、自然素材のみ(Nomex素材を使用しない)で作られます。これが大変な反響を呼び、現在ミュラーの「ダブルトップ」はコンサートギタリストを中心にマストアイテムの一つとしてなんと10年以上のウェイティンリストを抱えるまでになります。2013年には故郷ヘッセン州のアールベルゲンに工房を設立し息子のFelix とともに現在も製作を続けています。