ブランドは1991年より息子のリアムが共同作業に正式に加わり、ラベルもJose Luis Romanillos&Son に変更、現在に至っています。今年2020年には、彼の講習会のアシスタントを務めていたJosep Melo氏によりロマニリョス1993年以降の製作史を総括する大著「Romanillos Guitarras The Guijosa Period 1993~2015」が上梓され、現役最大の巨匠としていままた世界的に更なる評価の高まりを見せています。
[製作家情報] フアン・フランシスコ・サルバドール・ヒメネス Juan Francisco Salvador Gimenez(1946~2010)スペイン、アンダルシア州アルメニアの La Canada de San Urbano 生まれ。ラベルには製作家名と共に「Bisnieto deTorres」と印刷されており、現在に至るクラシックギター製作の創始となり、その原型を作りあげた名工で同じアルメリア生まれのアントニオ・デ・トーレス(1817~1892)の曾孫であることが示されています。1959年、13歳のころから木工職人としての修行をはじめ、1973年の23歳の時には曾祖父の遺した型板を基にギター製作を開始。当時イギリスのSemley に工房を構えていた名工ホセ・ルイス・ロマニリョスのもとを何度か訪れ、製作に関する助言を受けています。トーレスのスタイルを踏襲し、なおも自身の研究を深めながらじっくり作られたギターには偉大なる曾祖父のそれとはまた異なる魅力があり、年間製作数がおよそ1~2本という寡作なブランドということもあって現在マーケットでは非常に珍しい楽器となっています。
1993年には自身の製先技法を詳細に記した著書「El Arte de un Guitarrero Espanol」を上梓しており、書中では大工工房でみっちりと修行した彼らしく木材の適正な伐採時期(彼によると1月の、満月から一日経った最初に欠ける日に伐採するのが最適だという)から極めてユニークな内部構造の設計についてなどが語られています。