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区分 輸入クラシック 中古
製作家/商品名 アントニオ・ラジャ・フェレール Antonio Raya Ferrer
モデル/品番 Model/No. No.174
001_007_arFerrer_02_214
弦長 Scale Length 650mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 2014年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides インディアンローズウッド Solid Indian Rosewood
付属品 Option ハードケース(ヒスコックス 旧タイプ)
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:表板 セラック
   :横裏板 セラック
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 2.8mm / 6弦 3.4mm

[製作家情報]
アントニオ・ラジャ・フェレール Antonio Raya Ferrer 1980年 スペイン、グラナダの生まれ。現在も同地に工房を構え製作を行っています。父は同地を代表する製作家の一人として日本でも人気のあったアントニオ・ラジャ・パルド(1950~2022)、そして母ピラール・フェレールは現在のグラナダ派形成の最重要人物ともいえるエドゥアルド・フェレール(1905~1988)の孫娘であり、彼は文字通り物心つく前からこの二人の工房で製作する姿を見ながら育ったといいます。14歳の頃から父の工房で働き始め、17歳の時には自身のラベルで製作を開始。父親そしてグラナダの伝統に最大限の敬意を払いながら、慎ましくその継承者としての任を自覚している誠実な彼は、やはり父親同様にどこか柔和で素朴な作風が魅力的なブランドとして出発し、現在はあくまでも彼自身の成熟ゆえの帰結として、音響的そして造作精度的に高度の洗練を成し遂げた俊秀としての位置を確立しています。

[楽器情報]
アントニオ・ラジャ・フェレール 2014年製 No.174 クラシックモデル Used。彼らしい、いかにも若々しい明るさと力強さ、そしてシャープな身振りの中にどこか柔和なニュアンスが同居した、愛すべき1本となっています。

ラジャ・フェレールのギターにおいて特筆されるのは撥弦から発音へのメカニズムの自然さで、弦の弾性を木がしっかりと受け止め(これは撥弦の際の反発感として体感できます)、それを音へと洗練させてゆくプロセスにおける適切さが常に保たれているのですが、ここに一切の無駄なアクションを敢えて加えない彼の技量と、製作家として中庸であることの美徳が通底しており、その抑制された円熟ともいうべきスタンスは充実したグラナダ派の中堅ブランドの中でも逆に際立っていると言えるでしょう。

音響バランスは重心が低すぎず、また高音側に寄せ過ぎずまさしく中庸なバランス感でこれが実に心地良く、そこに上記のようなシャープな身振りと発音の速い反応による自然なドライブ感が生まれ、音楽に瑞々しさを加えていきます。

形の整った音像は自然な艶を湛え、すべての音が有機的な繋がりを生み出してゆくので音楽はごく自然に流れてゆきます。タッチの変化による音色の変化はもちろん、同時に音の位相感さえも微妙に(やはり音楽的に)変化してゆくので、工夫によって様々なパースペクティブをを形成し曲に深みを与えることができます。全体は慎ましく明るい音でまとめられているので派手さはありませんが(といって地味というわけでもまったくないのですが)、その凛とした響きの中にいくつもの音楽的な相貌を内包している、まさしくクラシカルな表現にふさわしい一本となっています。

表面板力木配置は、現在の彼のモデルとは異なり、興味深いアシンメトリ配置が採用されています。サウンドホール上側に1本のハーモニックバーと、ネック脚近くに幅2cm 厚さ1mm未満の非常に薄い補強プレートが横幅いっぱいに貼られており、下側(ブリッジ側)も1本のハーモニックバーを設置。扇状力木は6本がセンターに配された1本を境にして高音側に3本、低音側に2本配置され、これらの下端をボトム部で受け止めるように逆ハの字型に配置された2本のクロージングバー、そして駒板位置には短辺が駒板のそれの半分ほどの薄い補強プレートが、一方は低音側横板に接し、もう一方は扇状力木の一番高音側の1本に接したところで止まっています。構造自体はオーソドックスな扇状力木配置と言えるものですが、力木は高音側に、駒板位置の補強プレートは低音側に寄せたこの組み合わせは、いかにもありそうですが実はなかなか珍しい。レゾナンスはG#~Aの間に設定されています。

全体はセラックによるオリジナル出荷時のままの塗装。表面板は指板両脇やサウンドホールの高音側などに弾きキズ等がやや多くあり、また駒板下には弦交換時のものと思われるキズが少々あります。指板と表面板の接合部分(指板両脇とも)に軽微な割れを補修した履歴があります。横裏板は衣服等による摩擦あとがわずかにあるのみできれいな状態を維持しています。ネックはほんのわずかに順反りですが標準設定の範囲内、フレットは適正値を維持しています。ネック形状は薄めのDシェイプでコンパクトなグリップ感、弦高値は2.8/3.4mm(1弦/6弦 12フレット)でサドル余剰は高音側は0mm、低音側は1.0mmほどあります。糸巻はスペインの高級ブランド Fustero の フレタモデルを装着しており、現状で機能的な問題はなく良好です。全体の重量は1.57㎏。


新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

区分 輸入クラシック オールド
製作家/商品名 ヘルマン・ハウザー1世 Hermann Hauser I
モデル/品番 Model/No. 19世紀ギタータイプ
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弦長 Scale Length 600mm
国 Country ドイツ Germany
製作年 Year 1912年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド Solid South American Rosewood
付属品 Option ハードケース黒
備考 Notes
ネック:マホガニー
指 板:エボニー
塗 装:表板 セラック
   :横裏板 セラック
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 2.6mm / 6弦 3.3mm

[製作家情報]
ヘルマン・ハウザー1世 Hermann Hauser I (1882~1952)。その比類ない完成度と以後のギター界全体への影響の大きさにおいて、20世紀最大の製作家とされ、現在もクラシックギター至高のモデルとしてフォロワーの絶えない「セゴビアモデル」を世に出したことで知られるドイツ、ミュンヘンのブランド(のちに現在のライスバッハに移ります)です。

高名なチター奏者、作曲家で製作もした多才な父ヨーゼフ(1854-1939)の影響を受け、18歳のころより自身もチター製作を始めます。ハウザー家が居を構えていたドイツ、バイエルン州のミュンヘンは当時非常にギター文化が盛んであり、ヘルマンはチターだけでなく合奏用ギターやリュート、そして彼の類まれな製作技術を知ることのできる顕著な例として現在でも有名な「ウィンナモデル」や「ミュンヘンモデル」など、父親に負けず劣らず多様で精力的な製作活動を展開しています。この当時まだトーレスから始まるギターの新たな潮流はドイツには入っていませんでしたが、ミゲル・リョベートそしてアンドレス・セゴビアという二人の名手が演奏旅行に訪れたことで、彼らの奏でる音色とともにスペインギターへの文化的需要が急激な高まりをみせます。

ヘルマンは1913年にリョベートに会い、彼の愛器トーレス(おそらく1864年製)に初めて触れ、その構造的革新性と音色の素晴らしさに感動します。そして1916年にもリョベートと再会しその時彼が所有していた1859年製トーレスを仔細に検分する機会を得て本格的にトーレススタイルのスパニッシュギター製作に乗り出します。リョベート自身からも多くのアドバイスを得ていくつもの試作品(と言ってもどれも高度に完成されたものですが)を製作。純粋にトーレスのレプリカに近いものから、それまで自身で作っていた様式とトーレスとを融合したようなものまであり、あるべき音響を求め試行錯誤を繰り返していたことがうかがえます(この時期に製作されたトーレスレプリカのギターは「リョベートモデル」としてのちにハウザー2世、3世によって復刻されます)。

そして1924年、ドイツに演奏旅行で訪れた若き日のアンドレス・セゴビアはヘルマンの製作家としての才能を高く評価し、自身が携えてきた1912年製マヌエル・ラミレス(製作は同工房の職工長サントス・エルナンデス)のギターを見せてレプリカの製作を促します。トーレスを再解釈し、より現代的でクラシック音楽の表現にトータルに応え得るマヌエルのギターにヘルマンは感動し、新たに探求と試作を始めます。それから10年以上の時を経て1936年に完成した一本は、トーレス~マヌエル・ラミレスのスタイルを基本としながらハウザー独自の音響感覚を盛り込み極めて高いバランス精度で全体を仕上げたもので、その未聞の音色の素晴らしさにセゴビアは心から感動し「これ以上のものは作らなくてよい」という有名な言葉で称賛しています。その言葉通り、セゴビアは翌年1937年に製作されたヘルマン・ハウザー1世のギターに持ち替え、1962年まで使い続け数多くの名演を生み出してゆくことになるのですが、これがギター史上至高の名品とされる「セゴビアモデル」で、現在の3世、4世(カトリン・ハウザー)に至るまでこのブランドのフラッグシップモデルとなっています。それはギターの完璧な理想形としてグローバルスタンダード化しており、世界中の製作家によって研究、フォローされ、また現在でもギタリストたちの垂涎のアイテムとなっています。

ハウザー家は戦禍を逃れミュンヘンからライスバッハに工房を写し、戦後も名品を製作。そのレガシーはハウザー2世(1911~1988)に受け継がれ、よりドイツ的なニュアンスを増した逸品を世に出してゆきます。

世界的に有名なオークションではクラシックギターのカテゴリーにおいてトーレス、ロベール・ブーシェと並び最高値で落札されています。

[楽器情報]
ヘルマン・ハウザー1世 1912年製作 のロマンティックタイプギターです。ミゲル・リョベートがトーレスギターを携えてドイツに演奏旅行に訪れる1年前のもので、つまりハウザー1世がまだスパニッシュギターメソッドを取り入れる前とされている時期のもの(ただしこれについては同時期の作とされているギターにかなりトーレス的な要素が認められるものがあり、再考が必要となっています)。ここで特筆すべきはロマンティックギターのボディシェイプやサイズ、意匠などをかなり忠実にそのニュアンスに至るまでを踏襲しており、その他のモデルではかなり特徴的で個性的な仕様やデザインで製作していたことを考えると、むしろこのスタンダードな仕様は逆に特別なものを感じさせる点でしょう(実際同様のモデルはほとんど見かけることがありません)。

表面板の力木構造について、サウンドホール上側(ネック側)に2本、下側に1本のハーモニックバーを設置、サウンドホール周りを補強するように4枚のパッチ板が貼られており、扇状力木は左右対称5本を設置、駒板位置にほぼ同じ面積を覆うように(ただしやや高音側に寄せて)補強板が貼られているという全体の配置。

上記の配置について、おそらく後年の改造によりオリジナルの仕様から変更された可能性があります。駒板より僅かにボトム寄りの所にもともと存在していたバーを取り外した形跡があり(サイズも上述のハーモニックバーと同じだったと推測されます)、扇状力木と駒板位置の補強プレートに関しては経年の変化がその他のパーツに比較して著しく異なっていますることなどから、製作時は19世紀ギターの基本的な仕様であるバーのみの設置であったと推測されます。またやはり1912年という年式において後年の「セゴビアモデル」とほぼ同様の設計配置が採用されていることも推測の根拠としています。

内部構造における上記の可能性は否定できないものの、使用材のグレード、確かな造り、ロゼッタやパーフリングなどの品のある意匠、そして製作時のポテンシャルを維持しているであろうその響きについてはさすがと思わせるものがあります。特に音響は、上記のように現代的なスパニッシュメソッドの力木配置となっているものの、響箱が爪弾きの感触に生々しく反応するような鳴りがまさしくロマンティックギターそのものであり、古雅なニュアンスを十全に醸し出すことに成功していますので、この点においてはこの時代の楽器を嗜好するファンには嬉しいところでしょう。レゾナンスはC#~Dの設定で、高音寄りの音響設計になっており、低音は重厚になりすぎずに慎ましくメロディを支えるようなバランス感になっています。

表面板は指板両脇、サウンドホールと駒板の間、駒板からボトムにかけてなどそれぞれ数か所の割れ補修歴があり、一部は埋木処理が施されています。横板も低音側くびれ部分に補修跡、裏板はネックヒール脇から木目に沿って10センチ以上、またボトム部低音側にも10センチ以上の木目に沿っての割れ補修歴があります。ネックは現状で大きな反り等はなく標準設定の範囲内、フレットと指板はおそらく過去に一度以上の交換処理がされているかと考えられますがこちらも良好な状態です。ブリッジはいわゆるマスタシェブリッジ(口髭のような形状のデザイン)でサドルは金属製、タイブロックに巻き付ける仕様ではなくピンブリッジでの固定となっています(ピンは統一されていませんが安定性が保持されている為現状でのお渡しとなります)。ネックシェイプはCシェイプ、指板はややラウンド加工がされています。弦高値は2.6/3.3mm(1弦/6弦 12フレット)。糸巻はスペイン製のFusteroが装着されており、こちらも過去に交換されたものかと思われます。現状で機能的な問題はなく良好です。ボディ重量は1.54kg。


新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

区分 輸入クラシック オールド
製作家/商品名 マルセロ・バルベロ・イーホ Marcelo Barbero Hijo
モデル/品番 Model/No. パラ・カサ・アルカンヘル Para Casa Arcangel Fernande
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弦長 Scale Length 656mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 1978年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides インディアンローズウッド Solid Indian Rosewood
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:表板 セラック
   :横裏板 セラック
糸 巻:ロジャース
弦 高:1弦 2.7mm /6弦 3.7mm


〔製作家情報〕
マルセロ・バルベロ・イーホ Marcelo Barbero Hijo 1943年マドリッド生まれ。父は20世紀前半のスペインを代表する名工の一人マルセロ・バルベロ1世(1904~1956)。わずか13歳の時に父バルベロ一世が他界したあと、その弟子であったアルカンヘル・フェルナンデス(1931~)が1957年に自身の工房を開き、バルベロ・イーホは徒弟としてアルカンヘルの工房に入ることになります。アルカンヘルは最初彼をあえてホセ・ラミレス3世の工房に修行に出し、このスペイン最大のブランドで製作の基礎を学んだ彼は、1960年の17歳の年にはすでに最初のギターを製作するまでに技術を磨いていきます。その後アルカンヘル工房に戻り、師と共にまさに職人ならではの実直さと探求心で製作に打ち込みます。「アルカンヘル・フェルナンデス工房品」のラベルを貼って出荷されたそのギターは実質バルベロ・イーホ本人による完全手工品であり、師アルカンヘルに勝るとも劣らない非常なクオリティを有したものとしてコアなギターファンに愛されました。1990年代後半からは自身のオリジナルラベルでの製作も並行して行い、ますます洗練と充実の高まりを見せていた彼でしたが、2005年1月に早すぎる死を迎えてしまいます。渋くやや硬質な粘りを持ったその音色は師アルカンヘル、さらには父バルベロ1世にまでつながるスペインギター最良の伝統を感じさせ、特に晩年に近づくほどに評価の高まりを見せるその楽器は、まさにスペインギター随一の逸品としての評価を不動のものとしています。


〔楽器情報〕
マルセロ・バルベロ・イーホ 製作 Para Casa Arcangel Fernandez(アルカンヘル・フェルナンデス工房品)ラベルによる1978年製 Used クラシックモデルです。製作家 江崎秀行氏による全面セラックニスによる再塗装、カナダの高級糸巻ブランドRodgers のフステーロモデルへの換装、さらには内部構造におけるカスタマイズ(部品の付加)など、音響に関連する部分へのそれなりのアクションを経ているため、オリジナルとはまた異なるニュアンスを持つ楽器へとリモデルされた、興味深い一本となっています。

オリジナルの仕様からして若干ながら珍しいとも言えるのはその力木配置で、サウンドホール上下に各一本のハーモニックバーとサウンドホール周りの補強プレート(ちょうどロゼッタと同じ面積)、そして扇状力木は左右対称7本、ボトム部でこれらの下端を受け止めるように逆ハの字型に配置された2本のハーモニックバー、駒板位置には横幅を駒板よりも広くとった補強プレートという設計。アルカンヘル工房の場合、扇状力木は駒板の幅に収まるように表面板中央に寄り添うように5本(フラメンコ)または6本(クラシック、高音側に1本が加わる)が設置され、外側に行くほどに短くなり、さらにボトム部のクロージングバーは扇状力木の下端を受けとめる位置というよりは、扇状力木のいちばん外側に加えられたというように逆「ハ」の字の間が大きく空いた配置になっていることが特徴となっています。そのため7本という数の力木とオーソドックスなクロージングバーの配置関係は、もちろんアルカンヘル自身も含め採用されることはあったものの、やや珍しいと言える設計。レゾナンスはF# の少し上に設定されています。

上述の「部品の付加」は駒板位置の補強プレートの低音側上下に一枚ずつ、直径2~3cm×高さ3mmほどの木製の円形ブロックが貼り付けられていることで、音響特性の改良を意図しているものと思われます(同様の発想は桜井正毅のギターにも見られます)。

江崎氏によるセラック再塗装は氏自身のハイスペックモデルにも見られるのと同様に全くムラのない高度な仕上がりで、新作のような艶やかさを湛えています。

上記の仕様による効果からか、撥弦における強い粘りとどっしりとした重心感覚、ストイックで高密度な音像といったバルベロ・イーホ的なキャラクターは、素直で明朗な、つやつやと磨きをかけたようなフレッシュな音色へと変化しており、全体の音響設計もややフラットな、手元でのバランス感が際立ったものとなっています。

全体は上記セラック再塗装によりほぼ新品同様レベルのきれいな状態です(表面板の駒板下1弦位置には弦とび跡を補修したあとが見られますがさほどに目立ちません。ネック、フレットも良好です。ネック形状はほんのわずかに厚めのDシェイプ、弦高値は2.7/3.7mm(1弦/6弦 12フレット)でサドル余剰は0.5~1.0mm となっています。糸巻きは出荷時にはスペイン製のFustero が装着されていたと思われますが、現在はRodgersのFusteroデザインのものに換装されており、こちらも機能的に問題なく良好です。


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区分 輸入クラシック オールド
製作家/商品名 モデスト・ボレゲーロ Modesto Borreguero
モデル/品番 Model/No.
001_Borreguero_3_130
弦長 Scale Length 648mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 1930年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides シープレス Solid Cypress
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:マホガニー
指 板:エボニー
塗 装:表板 セラック
   :横裏板 セラック
糸 巻:不明
弦 高:1弦 3.0mm /6弦 3.6mm

〔製作家情報〕
モデスト・ボレゲーロ・オルテガ(1893~1969)スペイン、マドリッド生まれ。12歳の時にマヌエル・ラミレスの工房に徒弟として入り、その後同工房のサントス・エルナンデスやドミンゴ・エステソに続く重要な職人として製作。1916年にマヌエルが亡くなった後もボレゲーロは1923年に工房を閉鎖するまで残って製作を続けました。翌1924年には独立し工房を開きますが、間借りした建物の劣悪な環境のため設備を整えるのに相当の苦労をし、その後も同じマドリッドで何度か工房を移して製作を続けていたもののスペイン市民戦争のさなかでその工房も失い、また妻が二人の子供を残して他界するという不幸と困難に見舞われます。さらに何度かの転居の後、1945年に工房を再開し、彼のギターは少しずつ評判を取り戻すようになりますが依然苦しい生活が続きます。そして1948年、当時家具の修復をしていたエルナンデス・イ・アグアド(マヌエル・エルナンデスとヴィクトリアーノ・アグアド)が自分たちの工房の一部を仕事場として提供してくれることになるのですが、アグアド達はこのときボレゲーロの仕事を間近に眺めギター製作に興味を持ち、これが機会となり彼らは本格的にこの道に入ることになります。ボレゲーロは1952年に転居するまでここで仕事を続け、その後は楽器店 Casa Garrido の専属としてギターを製作。Casa Garridoではのちにアグアドの後継的な系譜に繋がる重要な製作家ビセンテ・カマチョにギター製作を教えています。彼の弟子としてはほかにもフェリックス・マンサネーロ、息子のエンリケ・ボレゲーロらがおり、二人ともその後ホセ・ラミレスⅢ世の工房に入りスタンプを与えられて製作しています。病気のため1963年には製作から退き、1969年にマドリッドでその生涯を終えます。彼のギターは戦前のマドリッド派が持っていた、力強く温かみのある音色、良く歌う艶やかな響きを備えたロマンティックなギターで、サントス、エステソと比較して語られることが多い。また歴史的にマヌエル・ラミレスとエルナンデス・イ・アグアドを繋ぐ製作家としての意義は大きく、その評価は現在でも揺るぎのないものとなっています。


〔楽器情報〕
モデスト・ボレゲーロ製作、1930年製 Usedです。横裏板がシープレス仕様であることと内部構造の特徴から、フラメンコモデルとして作られたものと考えられます(現在はゴルペ板は剥がされており、両方の用途で使われています)。ラベルには「Antigua oficiel de Manuel Ramirez」の文言が印字されており、この時すでにボレゲーロは独立していましたが、敬愛する師の名前を継続して使用することで自身が正統なマヌエル・ラミレス工房の職人であったことを訴求していたことがうかがわれます。ラベルデザインもまたマヌエル・ラミレス的な意匠を受け継いでいるのですが、工房住所のところに貼り紙をして「Desengano.2」と訂正されており、ちょうどこの時期不安定な生活の中で転居を繰り返していた様子も読み取ることができます。実際二つの世界大戦、さらにはスペイン市民戦争による世情の煽りをまともに受けたこの製作家にとって、その中間の時期である1920年代から30年代半ばにかけては例えば兄弟子のサントス・エルナンデスのように充実した製作期となったはずであろうところ、やはり相当な苦労をしながらなんとか製作を続けていたようです。

本作はまさにそのような時期の一作で、興味深く、また魅力的な一本となっています。一見してサントス・エルナンデスの影響下にあることが分かる外観(ヘッドシェイプ、ロゼッタデザインなど)で、その影響は表面板の力木配置にも如実に見て取れます。

サウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に1本ずつのハーモニックバーを設置し、サウンドホールまわりにはロゼッタとほぼ同じ面積をカバーするように薄い補強板が貼られ値ています。扇状力木は左右対称5本の力木がほとんど平行に、駒板の横幅の範囲内に収まるように中央に寄り添って設置されており、ボトム部には2本のクロージングバーが逆ハの字型に配置されています。この2本のクロージングバーは通常なら扇状力木の下端を受け止めるような位置に設置されるのですが、ここでは5本の力木の最外側よりもさらに外側の横板に近接した位置に配置されています(ちょうど間隔をとても広くとった逆ハの字を形成しています)。この単純ながら特徴的な全体配置はまさしくサントス・エルナンデスからマルセロ・バルベロ、そしてアルカンヘル・フェルナンデスへと継承された設計と同じものとなっており、ボレゲーロがサントスの影響を受けていたことは容易に想像できるものの、数ある設計の中からこの配置を採用していたことには、何か感動に近いものさえ喚起させます。レゾナンスはF#の少し下に設定されています。

この殊勝な製作家によって、マヌエル・ラミレス工房の、そして戦前のスペインギターのエッセンスが実に慎ましくも円満に体現されており、大変に魅力的な一本となっています。重厚で引き締まった、十分に低い重心感覚を備えた低音から雄弁な中低音、そしてシャープできりっとした、良く歌う高音へと至る鉄壁のスペイン的音響設計。響箱全体が一つの有機体となって一つの声を発するようで、その一つ一つの音が楽音としての実在性があり、洗練され、乾き過ぎず、艶があり、凛として明るい。単音での雑味のなさも素晴らしいですが、和音やアルペジオ、ラスゲヤードにおけるバランスフルな響きと各音(各弦)の明確なアイデンティティはとても心地良く、また清冽です。またフラメンコならではの反応の速さとドライブ感も申し分ありません。

おそらくフラメンコモデルとしてタフな使用をそれなりに経てきたのでしょう、表面板(駒板脇と下、指板脇など)、横裏板(ネックヒール部分とボトム部エリアなど)それぞれに数か所ずつの割れ補修歴、セラックによる全体の再塗装歴があるほか、表面板は駒板の上下でやや凹凸型の歪みが見られます。キズに関しては過去に行われた再塗装の際のタッチアップ処理を経ていることから、現状ではさほどに多くはありません。表面板のサウンドホール周辺はやや多く見られるものの、その他は衣服による擦れやスクラッチ痕が数か所にあります。またヘッドの糸倉、6弦部分に割れ補修歴があります。ネックは真直ぐで、フレットも良好な状態を維持していますが、上述の表面板の経年の歪みによりネック自体はボディに対してやや角度がついてしまった形になっており、弦高値は3.0/3.6mm(1弦/6弦 12フレット)とフラメンコとしてはやや高めな設定で弦の張りも少し強めとなっています。サドル余剰は現状で0.5mm。ネックシェイプは薄めのDシェイプでコンパクトなグリップ感です。全体の重量は非常に軽く1.14kgとなっています。


新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

区分 輸入クラシック オールド
製作家/商品名 ヘルムート・ブッフシュタイナー Helmut Buchsteiner
モデル/品番 Model/No. Meister No.001
001_buchsteinerH_03_188
弦長 Scale Length 650mm
国 Country ドイツ Germany
製作年 Year 1988年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド Solid South American Rosewood
付属品 Option ハードケース 茶
備考 Notes
ネック:マホガニー
指 板:エボニー
塗 装:表板:ラッカー
   :横裏板:ラッカー
糸 巻:ライシェル
弦 高:1弦 3.8mm / 6弦 4.5mm


〔製作家情報〕
ヘルムート・ブッフシュタイナー Helmut Buchsteiner 1940年オーストリア、グラーツ生まれ。1954年から弦楽器製作家のJakob Doriathのもとで修行を始め、めきめきと頭角をあらわすようになり、1957年にはジャーニーマン(徒弟制度を終了した職人)としての資格を得ます。この時期オーストリアのRosmeizel、ドイツの老舗メーカー Roger などに職人として働き、主にジャズギターの製作に従事していますが、ここでクラシックギターも製作も始めています。1961年には弦楽器、打楽器のマイスター称号を取得。1962年から2年間にイギリスに渡りエレキ、アコースティックギターの製作に従事、そして1964年から1966年までアメリカのニューヨークやシカゴでギターと弦楽器マスタービルダーとして現地のブランドと共同製作や修理に携わるようになります。1966年ドイツに帰国後はGIMA/Voss 社の工場長に就任し、主にアーチトップギターなどを製作。1968年には渡米前に働いていたノイマルクトの Roger工房を借りて自ら会社を設立しますが、最初は主に卸売り中心だったようです。1969年ごろからこの会社が経営をクラシックギターを含む多様なラインナップの製作と卸売りを行うブランド(b-ton)へと経営を拡大してゆき、その後は後進を育てながらクラシック、エレキ、アコースティック、弦楽器、古楽器など実に多様なジャンルで製作を続け、数々の賞を受賞。1985年には東京で世界の最もすぐれた10人の弦楽器製作者に選ばれるなど、その精緻極まる工作精度とバランスの良い音響は国際的な名声を獲得してゆきます。1989年からドイツ、ミッテンヴァルトにてヴァイオリン製作学校にて教鞭を執り、1992年からはオーストリア北部ハルスタットに移り、ハルシュタット大学木工芸科で教鞭をとる傍ら製作。

1980年代中頃に工房での不慮の事故で左手の指先を欠損してからは自身の製作本数は限定的になるものの、継続してすぐれた仕事を行っていましたが2010年に工房を閉鎖します。

そのキャリアにおいて、弦楽器、撥弦楽器の実に広範囲にわたる旺盛な製作を展開しており、ジャンルに応じて優秀な弟子たちを輩出した製作家ですが、クラシックではヘルマン・ハウザー3世、フリッツ・オベール、エドムンド・ブロヒンガーらがいます。

〔楽器情報〕
ヘルムート・ブッフシュタイナー 1988年製 モデル‘Meister‘ No.001 Usedの入荷です。このブランドで日本でもよく知られたB10 や 楕円形のサウンドホールが特徴的なワイスガーバーモデル等の通常ラインナップと別に限定的に出荷されたシリーズの第一作(No.001)となります。「マイスター」のモデル名が冠されていることからも(オリジナルラベルに加えてモデル名と製作番号を記したもう一枚のラベルが貼られています)、特にハイスペックなラインとして製作されたことがうかがえますが、木材の良質さや複雑な設計、全体的な仕上げなども彼らしい職人的精緻さと厳しさが行き渡っており、いつもながら納得させられる仕上がりとなっています。

表面板力木構造は非常に個性的なもので、サウンドホール上側(ネック側)に1本のハーモニックバー、そして下側は2本のハーモニックバーがやや高音側に寄った位置でX状に交差しており、しかもそれぞれのバーは片方が細く高い切妻型でもう片方が低く幅のある山型で加工されています。さらにこの2本が交差する箇所は切妻型のバーに開口部が設けられ、山型のバーがそこをくぐり抜ける方式で、お互いの長さも異なります(つまり2本のバーそれぞれの始点と終点の位置もまた左右非対称になっているので、正面から見たときにこのXは大きく傾いた形になっています)。ボディ下部は5本の扇状力木がちょうど表面板のセンターに設置された一本を境にして高音側に3本、低音側に1本、それぞれの間隔も角度も不均等に配置されています。ブリッジ位置には駒板とほぼ同じ面積に厚さ2mmほどの補強プレートが貼られています。表面板と横板との接合部分にはこれも特徴的な形状のペオネス(木製の小型ブロック状のものを並べてゆくようにして設置する)を3mmほどの間隔を空けて設置していますが、ボトム部分のみ接ぎのないライニングを設置しています。レゾナンスはG#の少し上に設定されています。

この独特のアシンメトリな力木配置はジャズギターやアコースティックギターの製作でもその腕を振るった彼だけに、クロスジャンルな試みとして発想されたものであることが推測できるのですが、彼自身この設計を一つの結論として認識していたのか、この後2000年代に至るまで、彼のメインモデルであるB10などで採用しています。

ドイツ的、というよりブッフシュタイナー的としか言いようのない独特な音響設計で、表面板からすべての音が等しく立ち上がってくるような平面性、同一位相感があり、その整然とした感覚はクラシック的なものとも親和性があります。音色もストイックなまでに磨かれているのですが、意外なほどによく歌い、このある種の冷たさとロマンティックさの同居がドイツ的とも言えます。発音の瞬間から無駄な奥行きを排した整った音が現れ、サスティーンもその充実さを保ちながら終止へと続きます。

新品同様と言えるほどの超美品で、視認できる傷はありません。割れや改造などの修理履歴もなく、ネックやフレットなどの演奏性に関わる部分も良好です。糸巻はドイツの高級ブランドでヘルマン・ハウザーに標準装着されていたことでも有名なライシェル製の珍しいキドニーボタン仕様を装着しており、こちらも機能的な問題はありません。ネックは普通の厚みのDシェイプで、ヘッドとのジョイント部分はハウザーギター等でも見られるVジョイント方式、弦高値は3.8/4.5mm(1弦/6弦 12フレット)と高めの設定になっています。サドル余剰は1.0~2.0mmあります。Meinel 製のオリジナルハードケースが付属しておりこちらもとてもきれいな状態です。


商談中 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

区分 輸入クラシック オールド
製作家/商品名 エドワード・B・ジョーンズ Edward B.Jones
モデル/品番 Model/No.
001_EBJones_03_194
弦長 Scale Length 640mm
国 Country イギリス England
製作年 Year 1994年
表板 Top 杉 Solid Ceder
横裏板 Back & Sides インディアンローズウッド Solid Indian Rosewood
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:マホガニー
指 板:黒檀
塗 装:表板 ラッカー
   :横裏板 ラッカー
糸 巻:ライシェル
弦 高:1弦 3.6mm / 6弦 4.0 mm

〔製作家情報〕
エドワード B.ジョーンズ Edward B.Jones イギリス オックスフォード州 スティープル・アストン に工房を構える製作家。最初はギタ-製作ではなく、当時同じオックスフォードに工房のあったRobert Goble(1903~1991) にハープシコード、クラヴィコード等の鍵盤楽器製作を6年間学んでいます。その後1973年に、おそらくは同じGoble 工房出身者で当時デビッド・ホセ・ルビオ工房の職人だったポール・フィッシャーの薦めがあったのでしょう、ルビオからのオファーを受け、このイギリス屈指の名ブランドのスタッフとして名を連ねることになります。ここで彼はギターとリュート製作を学び、1979年まで同工房で従事したのちに独立し自身のブランドを立ち上げます。その後もクラシックギターとリュートをメインとしたラインナップで、1980~1990年代に人気を博します。

上記のような出自からもうかがえるように、職人としての実直さと工作の精緻さはもとより、西洋音楽のイディオムに即した無駄のない音作り、イギリス人らしい癖のなさなど、他の同工房出身者(上述のフィッシャーやカズオ・サトーなど)がその後モダンなアプローチを展開してゆくのに対し、あくまでトラディショナルなスタンスを維持し続けたのがむしろ特徴的で、潔ささえ感じさせる製作美学の持ち主といえるでしょう。彼の楽器は表面的にはモノトーンともいえる渋い響きですが、そこにクラシカルな繊細さと多様な表情を内包しており、大変に魅力的なものとなっています。

〔楽器情報〕
エドワード・B.ジョーンズ 1994年製作 クラシックギター 640mmスケール仕様 Usedです。
例えば彼の師であるデビッド・ルビオが生涯にわたってジャンルを軽々と横断し続け、ポール・フィッシャーは科学的アプローチを導入し独自の音響を追及し、カズオ・サトーがモダンな潮流を積極的に取り入れた設計を開発してゆくなど、ルビオ工房出身者はとかく進取の気性に富んだ製作家が多いのですが、ジョーンズは独立後もルビオの教えをほぼ忠実に継承し、深い味わいのある楽器を作り続けました。

彼の楽器の特徴はいわば、まごうかたなき「英国性」ともいうべき正確かつ柔和な音の所作にあります。落ち着いた、しかし極めて厳密な音の動きの中にしっかりと楽音としてのニュアンスが宿っており、ここぞというところで十全に表出するような、その抑制の美学がなんとも素晴らしい。それは自然にクラシカルな楽曲表現と親和し、抑揚と色彩の変化をともないながらジェントルな佇まいの中に落ち着いてゆきます。

すっきりとした雑味の無い響きで、発音の瞬間から整った音像がさっと現れ、その密度を持続するので音楽が弛緩せず、旋律の細かなところまで明晰な身振りがゆき渡る感覚があります。これは例えば最弱音においてもそうで、弱音が「弱さ」に繋がってしまいがちなギターという楽器においては稀有であり、ここでのニュアンスを伴った強度の持続はなんとも心地よく、そして音楽全体に拡がりを生み出すのに寄与しています。実際に音量のダイナミックレンジは現代のギターとしては決して広くはないものの、どの瞬間にも音楽的表情が行き渡るその充実度は、音量依存の表現性を十分に補うものと言えます。

表面板の力木構造について、サウンドホール上側(ネック側)に2本、下側に1本のハーモニックバー、左右対称7本の扇状力木とこれらの下端をボトム部で受け止めるようにしてV字型に配置された2本のクロージングバーとなっており、7本の扇状力木のうち高音側3本の間を短くセパレートしたバーが(ちょうどブリッジサドルの延長線上をなぞるように)設置されているという全体の設計。レゾナンスはG#の少し下に設定されています。

高音側にだけ短いバーを設置するこの設計の原型はルビオの1960年代ニューヨーク時代に製作したギターにまでさかのぼることができ、ロベール・ブーシェの有名なトランスヴァースバーを応用したものとされるこの構造を(ルビオの設計ではバーを力木が貫通する組み込みになっている)、エドワードはさらにシンプルに自身の設計に落とし込んでいます。

表面板は高音側の指板脇からサウンドホールにかけてやや弾き傷が多くみられます。その他も1~2cmほどの掻き傷や1~2mmほどの打痕などありますが経年相応のレベルといえます。横裏板は演奏時の衣服の摩擦跡等がやはり経年相応に見られますが、全体に外観を著しく損ねるものではありません。割れや改造等の大きな修理履歴はありません。ネックは真っ直ぐを維持しており、フレットは1~3フレットでほんの僅かに摩耗ありますが問題のないレベル。ネック形状は薄めのDシェイプで角の取れたラウンドに近い形状ですのでコンパクトなグリップ感。弦高値は3.6/4.0mm(1弦/6弦 12フレット)と高音側で高めな設定になっており張りも強めなので、左手のストレス軽減をご希望のかたは弦高調整をおすすめいたします(サドル余剰は現状で1.5~2.0mmあります)。糸巻はドイツ製高級ブランドのライシェルを装着しており、こちらも機能的に良好です。


新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  440,000 円
注文数 :   

区分 輸入クラシック オールド
製作家/商品名 ホセ・ラミレス3世 Jose Ramirez lll
モデル/品番 Model/No. IM スタンプ
001_joseramirez_03_164
弦長 Scale Length 664mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 1964年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド Solid South American Rosewood
付属品 Option スーパーライト黒
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:表板 セラック
   :横裏板 セラック
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 3.1mm / 6弦 4.8mm

[製作家情報]
ホセ・ラミレス Jose Ramirez スペイン、マドリッドのクラシックギターブランドで、ホセ・ラミレス1世(1858~1923)、2世(1885~1957)の時代から現在のホセ・ラミレス5世まで、1世紀以上に渡りスパニッシュギター製作史のなかで最も重要なブランドの一つとしてその名を刻み続けており、いまなおワールドワイドにマーケットを展開する工房です。

なかでもとりわけ評価が高く「Ramirez dynasty」 と言われるほどに豊饒の時代とされたホセ・ラミレス3世(1922~1995)の時期に製作されたギターは、革新的でありながら幅広いポピュラリティを獲得し、世界中のギタリストとギターファンとを魅了し続けました。1950年代末から1960年代、パウリーノ・ベルナベ、マリアーノ・テサーノスといった名職人が職工長として働き、高級手工品の品質を維持しながら大量生産を可能した独自の工房システムを確立します。そして1964年にこのブランドのフラッグシップモデルとして世に出した「1A」は、表面板にそれまでの松材に代わって杉材を使用、胴の厚みを大きくとり、横板は内側にシープレス材を貼り付けた二重構造、弦長は664mmで設定(通常は650mm)、さらに塗装には従来のセラック塗装からユリア樹脂のものに変更し耐久性を飛躍的に増すとともに、「ラミレストーン」と呼ばれる独特の甘く艶やかな音色を生み出し、真っ赤にカラーリングされた印象的な外観と相まってクラシックギター史上空前のポピュラリティを獲得することになります。

これらラミレス3世がクラシックギターに対して行った改革はマーケット戦略の面でも、また製作の面でも実に独創的でしかも時代の要請に十全に応じたもので、のちのギター製作全般に大きすぎるほどの影響を及ぼしたのと同時に、まさにクラシックギターのイメージを決定するほどに一世を風靡しました。

ラミレス3世の息子4世(1953~2000)は18歳の時に父ラミレス3世の工房にて徒弟として働くようになり、1977年には正式に職人として認められます。1988年には妹のアマリアと共にブランドの経営を任されるようになり、父の製作哲学を引き継ぎながら、より時代のニーズに則した販売戦略(エステューディオモデルの製作、標準的な650mmスケールの採用等々)を展開しさらにシェアを拡大してゆきますが、3世亡き後わずか5年後の2000年にこの世を去ります。

4世亡きあとアマリアは彼の意を継いでより柔軟な商品開発、生産ラインの監修、そして4世の子供たち、クリスティーナとホセ・エンリケの二人の姉弟の工房スタッフとしての教育に心血を注ぎます(二人は2006年から工房で働き始めています)。現在二人は正式にブランドを継承し、クリスティーナ(グラフィックデザイナー、音響技術者としての資格も有する)がマーケティングプロジェクト全般を、ホセ・エンリケが製作と工房運営を担当しています。

名手アンドレス・セゴビアの名演と共にその音色が記憶に残る3世と4世の時代につくられたモデルは現在も人気があり、特に製作を担当した職人のイニシャルが刻印されていた1960年代のものは往年のファンに愛奏されています。


〔楽器情報〕
ホセ・ラミレス 3世 IMスタンプ 1964年製 クラシックモデル、ラベルに記載はありませんが、このブランドのフラッグシップモデルとしてこの後定着することになる「1A」にあたる、ラミレス最上位機種になります。よく知られているようにラミレス3世の工房では当時製作を担当したマスタービルダーのイニシャルがボディ内部にスタンプされており、本作「IM」はイグナシオ・マンサーノ・ロサス Ignacio Manzano Rozas 製作であることを示しています。ロサスは1961年から1970年までラミレス工房で働き、その後はマヌエル・コントレラスの工房で職工長として1989年まで精力的に製作に従事したあと満を持して1990年に自身の工房を設立、2008年に製作を引退しますが、マドリッドらしい豪壮さと渋めの音色が大変に魅力的な楽器で人気を博し、現在でもファンの多いスペインブランドの一つとなっています。

1964年は「1A」の原型がほぼ完全に出来上がっていた年で、この直後に表板が杉仕様、塗装はセラックニスからユリア樹脂へと仕様を変更し、あのラミレススタイルが確立します。本作は表面板に松材を使用し(横板は内側に別の木を貼り付ける2重仕様がすでに実装されています)、仕上げもセラック塗装など、1A プレスタイルともいえる1本ですが完成度の高さはさすがで、当時の工房の充実度がこの一本からも見て取ることができます。

表面板の力木構造もここですでに1A モデルの定式が確立しています。サウンドホール上側(ネック側)に1本のハーモニックバー、下側には同じく一本の横方向のハーモニックバーとほぼその中央で斜めに交差する(低音側横板上部から高音側横板下部に向かって)もう一本のバーが設置されており、この3本のバーはそれぞれ低音側に高さ2mm 長さ5cmの開口部が設けられています。サウンドホールまわりにはロゼッタと同じ面積の補強板が貼られています。表面板下部は6本の扇状力木がセンターに配された一本を境として高音側に2本、低音側に3本配置されており、ボトム部でこれらの下端を受け止めるように2本のクロージングバーが逆はハの字型に設置され、駒板位置には駒板横幅よりも若干広い補強板が貼られているという全体の設計、レゾナンスはGの少し上に設定されています(のちのラミレスではほぼAに近い高めの設定になっています)。

ラミレストーンと呼ばれることになる杉仕様の1Aと比較すると、その音響バランスにまずは違いがあります。本器では重心がしっかりと低く、重厚な低音がシャープで繊細でさえある高音を支えるようないわば「オーソドックス」なスペイン的バランスで音響が形成されています。撥弦にもまだ「爪弾き」の感触があり、表面板の弾性と反発感によって音が跳ね返ってくる感覚があります。しかしながら同時に、撥弦の瞬間のアタック感がそのままパーカッシブに箱を響かせ、圧倒的な放射力で音を発してくるあのラミレス特有の感触もまたここに萌芽を感じ取ることができ、まさしく本器においてラミレスというブランドの「現在と過去」の最高度の融合を体感することができます。特にラミレスファンには忘れがたい、独特のコクのある高音についてもやはり同時期のスペインギターの中でも抜きんでたものがあります。

全体はセラック塗装仕上げ。割れなどの大きな修理履歴はありません。表面板の指板脇からサウンドホール周辺や駒板下部分などに浅く軽微なキズがありますがあまり目立ちません。横裏板は衣服等による擦れが少々、ネック裏も少々の爪キズのみとなっており、全体的に経年考慮するときれいな状態と言えます。ネックも良好な状態を維持しており、フレットは1~4フレットでやや摩耗見られますが演奏性への影響はなく継続してお使いいただけます。ネックはDシェイプのフラットでスクエアな形状をしており、指板はクラシックとしてはやや強めのラウンド加工となっており、さらに6弦側から1弦側に向けて強く傾斜させて高音弦の弦高を低く設定しており、左手の演奏性を追及しています。この仕様は60年代後半からはほぼデフォルトの設定になりますが、この64年の時点ではむしろ珍しい設定と言えるでしょう。ただしネックのボディに対する差し込み角は先述の60年代後半のラミレスよりもぐっと浅くなっており、左手のストレスはこの点でも軽減されています。弦高値は3.1/4.8mm (1弦/6弦 12フレット)でサドル余剰は2.0~2.5mmあります。糸巻はFustero 製を装着しており、現状で機能的に良好です。ボディ重量は1.51㎏。


新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

区分 輸入クラシック 中古
製作家/商品名 コルヤ・パンヒューゼン Kolya Panhuyzen
モデル/品番 Model/No.
001_PanhuyzenK_2_02_201_01
弦長 Scale Length 650mm
国 Country ドイツ Germany
製作年 Year 2001年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides インディアンローズウッド Solid Indian Rosewood
付属品 Option スーパーライトケース(ホワイト)
備考 Notes
ネック:マホガニー
指 板:エボニー
塗 装:表板 ラッカー
   :横裏板 ラッカー
糸 巻:シャーラー
弦 高:1弦 3.1mm / 6弦 4.0mm

〔製作家情報〕
1941年生まれ。母親のイレーヌはドイツの名工エドガー・メンヒ(1907~1977)の妹にあたる。1964年に当時トロントに住んでいたパンヒューゼン一家をメンヒが訪れるところからメンヒとカナダスクールの関係、またパンヒューゼンの製作家への最初の道のりが始まります。当時は学校の教師をしていたパンヒューゼンは、トロントに移住し同地の楽器店の為に旺盛な製作活動を行う叔父の姿を見て、製作への興味を持ち始めます。そして1967年に最初の「全く不出来な」ギターを造り上げ(メンヒに当時師事していたJean Larriveeに酷評されながらも)、ギター製作家になることを決意。教師の職を辞して2年間メンヒに師事し、1971年にメンヒがドイツに帰国した際には自身もドイツに移り、1976年までメンヒの工房で働きます。その後トロントに戻り自身の工房を設立、そして1992年に再びドイツに移住しシュトゥットガルト近郊に工房を移設、現在も同地で製作を行っています。

当初彼は叔父の作風を継承した伝統的なスタイルで製作をしており、1970年代メンヒの工房で働いていた時にはメンヒ2世ラベルのギターを手がけるなどしていました。一度カナダに戻り独立した後はモダンギターの潮流へのアプローチも行うようになり、再びドイツに移住してからはその姿勢はより明確化してゆくようになります。叔父メンヒ譲りのドイツ的なしっかりした構築感と様々なユーザーや時代のニーズに合わせた柔軟な感性との融合により生まれた彼のギターは、伝統的な音色にごく自然に現代的な高機能性を付加したような極めて見事なバランスを達成したものとなっており、ヒューバート・ケッペルらの名手が愛用している事でも知られています。

〔楽器情報〕
コルヤ・パンヒューゼン 2001年製作 Usedの入荷です。のちにはラティスブレーシング(格子状力木)構造などのモダンな工法においても高い成果を上げることになる彼の、伝統的スタイルからの移行期とも見てとれる設計で作られたモデルです。ここでパンヒューゼンはまさしくスパニッシュ的要素とメンヒ的(ドイツ的)な要素とを無理なく融合させながら、独特かつ自然な方法で彼自身の音響へと着地させるとともに、現代の演奏者のニーズに十全に応える極めてバランスフルな1本として完成させています。

外観はいかにもメンヒスクールらしい素朴で凛とした佇まいですが、内部力木構造は特徴的なものとなっています。サウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に各一本のハーモニックバーを設置し、さらに強固な2枚の補強板(幅2cm×高さ1cmほどもある)がネック脚付け根両側からサウンドホール両脇をかすめるようにして下側ハーモニックバーに至るまでをがっちりと固定するように設置されており(この2本の補強板はネック付け根両側を起点としてボディ下部方向に向かって広がってゆくような配置関係になっており、その延長線上をなぞるようにして後述の扇状力木が同じ角度でもって設置されています)、表面板上部の振動をしっかりと抑制しています。ホール上側のハーモニックバーは厳密には1本のバーではなく2本の補強板によって分断されています。またホール下側のハーモニックバーは低音側にのみ高さ3mm×長さ4mmほどの開口部が設けられています。

ホール下側のハーモニックバーとブリッジの間には一本の薄いバーが設置され、同じようにブリッジとボトムの間にも1本の薄いバーが設置されており、これら2本の間を繋ぐように左右対称の5本の扇状力木がほとんど平行に近い角度で設置されています(扇状力木はいちばん高音側の1本のみボトム側のバーを貫通してボトムまで到達している)。ブリッジ位置には薄いプレート板がほぼ横幅いっぱいに貼り付けられています。このような数本のバー配置とほぼ垂直に交差する力木というスクエアな全体構造は例えば日本では河野賢が積極的に採用してきたものですが、直接の影響関係があったかどうか定かではありません。表面板はドイツ製のギターとしてはかなり薄めに加工されており、上記のような構造によって表面板上部の振動をしっかりと抑え、ブリッジを中心とするボディ下部を効果的に振動させています。レゾナンスはF#~Gに設定。

パンヒューゼンの慎ましい個性として、いかにもドイツ系らしい透徹さと、おそらくは彼自身の気質にも由来するのであろう澄んだ優しさとが同居した、何とも言えない清々しさが挙げられます。その魅力的なブレンドはカナダにおけるメンヒスクールの面々にも、現代のドイツでも見つけることのできないもので、曲の演奏にもさりげなくしかし確かな表情として現れてきます。やはりドイツ的といっても良い(しかしハウザーのような硬質さとは異なる)粘りを持った発音と雑味のないきりっとした音像。穏やかで優しい、自然なリリシズムが楽器自体に備わっており、それがドイツ的音響特性と絶妙に相乗してこの上なく上品な、凛とした表情を湛えています。機能的にも申し分なく、心地よくタッチにまとわりついてくるような速い反応、しっかりとした和音での統一感、音量のダイナミズムも、どれも先述の通りあくまでも慎ましくしかし精緻さにおいて申し分ありません。

ネック形状は普通の厚みのDシェイプでグリップ感はコンパクトな印象です。割れなどの修理履歴は無く、表面板はわずかにスクラッチ痕などがあるのみ、裏板は演奏時の衣服の摩擦痕などがありますが、全体に綺麗な状態を維持しています。表面板は薄く加工されているためか、力木の位置に沿ってほんの若干の波うちがありますが、現状継続しての使用には全く問題のないレベル。ネックは真っすぐを維持しており、またフレット等演奏性に関わる部分は全く問題ありません。糸巻はシャーラ―製を装着しておりこちらも現状で機能的な問題はありません。弦高はおそらく出荷時のままですが、ブリッジサドルの調整余地が十分にありますのでさらに低く設定することも可能です。

また全体は薄めの上品なラッカー仕上げで、茶と黒を基調にしたロゼッタの渋く洒落たデザインはじめ、細部まで行き届いた造作と全体の慎ましい佇まいも気品があり、この点でも特筆すべき1本となっています。

新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

区分 輸入クラシック オールド
製作家/商品名 マヌエル・ベラスケス Manuel Velazquez
モデル/品番 Model/No.
001_velazquezM_03_194
弦長 Scale Length 650mm
国 Country アメリカ U.S.A
製作年 Year 1994年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド Solid South American Rosewood
付属品 Option スーパーライトケース 黒
備考 Notes
ネック:マホガニー
指 板:エボニー
塗 装:表板 ラッカー
   :横裏板 ラッカー
糸 巻:スローン
弦 高:1弦 2.7mm/6弦 3.6mm


[製作家情報]
マヌエル・ベラスケス Manuel Velazquez(1917~2014)
1917年プエルトリコ生まれ。母方の祖父母はスペイン人で、名工サントス・エルナンデスの縁戚にあたります。農業に従事する家系に生まれながらも彼は家具職人として修業を始め、同時にギターも製作するようになります。16歳で最初のギターを製作し、その頃に製作したギターの完成度の高さに感銘を受けた地元のある音楽家からニューヨーク行きを勧められ、1941年移住。第二次大戦の時期には造船所で木工に携わります。地道に製作を続けていた彼のギターは1940年代後半から地元の名演奏家たちに愛用されるようになり、その後はアンドレス・セゴビアが彼のギターを称賛するなど、瞬く間に名声を獲得してゆきます。1972年にプエルトリコに戻りそこで工房を設立、1982年には再びアメリカに戻りヴァージニア州で9年間過ごした後、フロリダに移り製作を続けます。この頃から息子のアルフレッドも製作に参加するようになり、2014年にマヌエルが亡くなった後は彼が工房を引き継いでいます。

もともとマヌエルの製作美学の根底にはトーレス、ハウザー、サントスらのトラディショナルなものへの憧憬があり、特にハウザーの影響が濃くあらわれた1950年代から60年代のものは高い評価を得ています。1970年代から1980年代までの楽器はユーザーの需要もありボディが大型化し、ちょうど人気の絶頂にあったラミレス的な要素を感じさせる力強く豊かな音量を備えたギターになっています。その後はもとのハウザースタイルを基調とした伝統的スタイルへと回帰し、2014年にその生涯を閉じるまでアメリカ最大の巨匠と崇敬されました。

[楽器情報]
マヌエル・ベラスケス 1994年製 Used の入荷です。1970~80年代のいわゆる大型化の時期を経てハウザー的な作風に回帰したのが1990年代に入ったころとされ、そのままその「原点」に回帰したままのように認識されがちですが、実際はこの後にさらに大きなフェーズの転換が起こります。1990年代後半からは言ってみれば軽さの時代に入り、楽器は軽量化し、表面板に力木構造はラミレス系マドリッド派によく見られるようなブリッジを中心に菱形にバーを配置してその中央を3本の平行の力木を設置するといった設計(ここでも力木やバーはマドリッド派のそれよりも著しく繊細な造りになっています)を採用、さらにはラッカー塗装からオイルフィニッシュへと移行することで音とボディの双方における軽さへの志向が2000年代には完成することになります。

本作1994年製は一旦ハウザー的作風へと回帰したのちの、上記の「軽さ」志向への萌芽を感じさせる1本となっています。表面板力木構造はこの時点まで長くベラスケスの定型となっていたものを踏襲しています。サウンドホール上側(ネック側)に2本のハーモニックバーとこれらの間をサウンドホールの幅に合わせて貼られた薄い補強板、同じく下側(ブリッジ側)にも1本のハーモニックバーを設置、さらにその中央を起点として高音側横板に向かって斜めに下がってゆくように設置されたトレブルバー、扇状力木は左右対称7本(上述のトレブルバーの設置により高音側の力木は短くなっていますが)、これらの下端をボトム部で受け止めるようにV字型に配置された2本のクロージングバー、駒板位置にはほぼ同じ面積の補強プレートが貼られているという全体の設計。レゾナンスはG#の下に設定されています。

上記設計はむしろスペインの例えばエルナンデス・イ・アグアドなどとの相同性が見て取れるものですが、音響は位相差のないいわば鍵盤的ともいえるバランス設計で、発音も雑味がなく、また無駄な奥行きもなく洗練された音像が現れるようにして発されるなどいかにもハウザー的であるところが興味深い。位相差のないバランスとはいっても結して平坦ではなく、ポリフォニックな楽曲における各声部の明確な分離、低音~中低音~高音それぞれのアイデンティティの表出などもハウザーと共通する部分があります。ただしここでのベラスケスは、ハウザー的な厳粛さや重力のある密度というよりも、上述の「軽さ」への志向を感じさせ、爽やかで、スマートで、時にチャーミングでさえある響きを創出しています。

本作はラッカー塗装仕様、ダークブラウン(よりもさらに黒いに近いような)のブラジリアンローズウッドを横裏板に使用し、これもまた上質な松の表面板との対比を艶やかな仕上げの中に落とし込むベラスケスならではの佇まい。割れや改造などの大きな修理履歴はありません。表面板の指板脇からサウンドホールにかけての高音側にわずかに弾きキズありまが浅く細かなもののみで、同じくボトムエリアには2~3mmほどの打痕、またスクラッチあとが数か所にありますがいずれも浅いものでさほどに目立ちません。横裏板も衣服による軽微な摩擦あとのみ、ネック裏は高音側全体爪キズありますが深いものはなく塗装表面上にとどまっていますので演奏に支障はありません。ネックは真っ直ぐを維持しており、フレットは1~3フレットでほんのわずかに摩耗見られますが演奏性に影響はありません。ネック形状は薄めのDシェイプでフラットな加工がされており、グリップ感はかなりコンパクトです弦高値は2.7/3.5mm(1弦/6弦 12フレット)でサドル余剰は0~2.0mmとなっています。糸巻はSloane 製を装着。表面板内側の上部に2か所ベラスケスの直筆サインあり。


新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

区分 輸入クラシック 中古
製作家/商品名 ヘスス・ベジード Jesus Bellido
モデル/品番 Model/No. トーレス6 モデル Torres 6
002_bellidoJ_02_207
弦長 Scale Length 644mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 2007年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド Solid South American Rosewood
付属品 Option ケース別売
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:セラック
   :セラック
糸 巻:木ペグ(ペグヘッズ)
弦 高:1弦 2.8mm / 6弦 3.7mm

〔製作家情報〕
1966年生まれ。スペイン、グラナダの製作家。父親は同地の代表的な名工の一人マヌエル・ベジードで叔父はやはり製作家のホセ・ロペス・ベジード。13歳のころより父の工房に入り、17歳で最初のギターを製作しています。1989~1995の間はギター製作の講師としての職に就き、その後最初の工房を設立して製作に専念。1999年に父マヌエルの工房に戻り現在に致ります。古今の名工たちの多くのギターを修理や復元した経験から、特に自国の銘器に対する造詣が深く、それは彼の作るトーレス、サントス・エルナンデス、マヌエル・デ・ラ・チーカなどのレプリカモデルに顕著にあらわれています。また彼のオリジナルモデルもまたこうしたヴィンテージギターのように素朴で明朗、木質の味わい深い響きと迫力を同時に備えており、古き良きアンダルシアの音を蘇らせたものとして高く評価されています。発音は生々しく、非常な速さで立ち上がってくる音はダイナミックレンジ、音量ともに名工の多いグラナダスクールの中でも際立っています。造作にはやや粗さが見られるものの、セラック塗装でいかにも手作りといったその外観は音色同様に素朴なたたずまいを見せ、やはりこのブランドの大きな魅力の一つとされています。

〔楽器情報〕
ヘスス・ベジード製作のトーレスモデル (Torres 6とラベルには表記)2007年製 Usedです。同地グラナダの先達マヌエル・デ・ラ・チーカのレプリカをはじめとするヴィンテージシリーズは彼の純粋な敬意が表れたどれも魅力的なものですが、クラシックギターの祖と言えるトーレスに対してはやはり特別なものがあったようです。よく知られているのは1883年製 SE54 のレプリカで、19世紀ギターを思わせる小柄なプロポーションでボディ厚も薄く、しかし豊かな鳴りを備えた魅力的なトーレスモデルですが、本作Torres 6はそれよりも現代的なサイズ感に近いミドルサイズのトーレス。

糸巻はPegheds製のギア付き木製ペグ仕様。そのためもあってかこのブランドらしい、耳に直接触れてくるような生々しい響きで、木を叩いたようなパーカッシブで鋭敏な発音とその木質感はまさしくベジードならではでしょう。そしてそこには適切な粘りもあり、木の感触を大切にしつつも特に高音においては意外なほどに艶を湛え、表情も深みがあります。彼はこの後の2010年頃よりさらに楽器を軽量化しさらにボディ厚も薄くした仕様に変更していた時期があり、響きに生々しさが増した分あるべき抑制を欠いたともいえる楽器を製作していたこともありましたが、それに先立つ時期の本器ではクラシックギターとしての品と野性味が無理なく同居した佳品となっています。

表面板内部構造はサウンドホール上側(ネック側)に1本のハーモニックバーとこのエリアのほとんどを覆うように1枚の薄い補強板が貼られており、サウンドホール下側(ブリッジ側)にも1本のハーモニックバーを設置、ウェストから下部エリアは左右対称5本の扇状力木、駒板位置には同じ面積の1mm未満の非常に薄い補強プレートが貼られているという配置構造。扇状力木は幅と高さともに3mmほどの繊細な造りで、上端が下側ハーモニックバーから4㎝ほども離れた位置に設定され、下端はボトムぎりぎりのところに設定、5本すべてが駒板の幅の中に収まるように配置されています。ボトム部にクロージングバーは設置されておりません。これは上記1883年 SE54のスタイルを踏襲しているとのこと(ただし駒板位置に貼られた薄い補強板はオリジナルと異なります)。レゾナンスはG#の少し上に設定されています。

全面出荷時オリジナルのセラック塗装で、表面板の特に指板脇からサウンドホール周辺はやや演奏時の搔き傷が目立ちますが年代相応のレベル、その他はわずかな傷のみとなっており、また横裏板も演奏時に胸の当たる部分などは若干の搔きキズなどありますがその他は衣服等によるわずかな摩擦あとのみとなっており、きれいな状態と言えます。割れなどの大きな修理履歴はありません。ネックは厳密にはわずかに順反りですが許容範囲のレベル、フレットも適正値を維持しています。ネックシェイプは薄く、フラットで角のあるDシェイプでベジードの特徴的な形状です。弦高値は2.8/3.7mm(1弦/6弦 12フレット)でサドル余剰はありません。弦の張りは中庸と言える感覚ですので十分に弦高値の割に押さえやすく感じます。前述のPegheds製のギア付き木ペグも機能的に良好で、チューニングにおけるストレスやデメリットは完全に解消されています。



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