ギターショップアウラ
ようこそ ゲスト さま
会員登録 ログイン カート お気に入り
English
ポータルサイト
アウラ音楽院
アクセス
お問い合わせ
トップ > ギターカテゴリー > 輸入クラシック 中古
輸入クラシック 中古   写真をクリックするとさらに大きなカタログ写真が表示されます。
製作家/商品名 コンデ・エルマノス Conde Hermanos(Fellipe)
モデル/品番 Model/No. Classic(AC-25)
001_001_conde_02_190
弦長 Scale Length 648mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 1990年
表板 Top 杉 Solid Ceder
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド Solid South American Rosewood
付属品 Option ハードケース 黒
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:表板 ラッカー
   :横裏板 ラッカー
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 2.7mm
   :6弦 3.8mm

〔製作家情報〕
数多いスペインのフラメンコギターブランドの中でも、屈指の定番とされるコンデ・エルマノス。ブランドの始まりはマドリッドの伝説的なマヌエル・ラミレス(1864~1916)工房で、サントス・エルナンデス(1874~1943)と共に職人として働いていたドミンゴ・エステソ(1882~1937)が、1919年に同じマドリッドのグラヴィーナに工房を開くところまで遡ります。彼の教えを直接受けた甥のファウスティーノ・コンデ(1913~1988)がその弟達マリアーノ(1916~1989)とフリオ(1918~1995)とともにエステソの工房スタッフに加わり、エステソ亡きあとも「Viuda y Sobrinos de Domingo Esteso」(エステソ未亡人とその甥達による)というラベルでこのブランドを継続してゆきます。1959年にエステソの妻(※Nicolasa Salamanca エステソギターの塗装を担当していた)が亡くなるとラベルを「Sobrinos de Domingo Esteso/Conde Hermanos」に変更し、この時からコンデ・エルマノスの名前がブランド名として使われ始めます。

1960年代に入るとそれまでエステソを踏襲していたモデルを全てデザインから内部構造に至るまでオリジナルのものに一新し、半月型にカットした有名な Media Luna ヘッドシェイプもこのころからハイエンドモデルの符牒として採用され、この時期世界的に高まる需要もあり飛躍的に名声とシェアを広げてゆきます。

1980年にはマリアーノがマドリッドのフェリーぺに工房を立ち上げ、彼の息子たち(フェリーぺ1世とマリアーノ2世の兄弟)とともに製作。グラヴィーナ工房と連携して製作していましたが、1988年にファウスティーノが亡くなったのを機にフェリーぺ工房は独自の操業を開始します。しかし翌年の1989年に後を追うようにマリアーノ1世もこの世を去り、2人の息子たちがフェリーぺ工房を継承します。ここからフェリーぺ工房は3つのコンデ工房の中でも特に時代のニーズに柔軟な対応を見せ、安定した商業ベースを維持するようになります。

そして2010年にはフェリーぺ1世はFelipe Conde、マリアーノ2世はMariano Conde としてそれぞれの独立したブランドとして工房を立ち上げ、それまでのコンデ・エルマノスの伝統を継承しながらもそれぞれの個性を濃密に注ぎ込んだ良品を現在も製作しています。

グラヴィーナ工房はファウスティーノ亡き後は彼の未亡人が2000年代まで工房を継続させていましたが現在は閉鎖しています。フリオは1950年代にアトーチャに設立されたコンデ・エルマノス工房を運営し、1995年に亡くなった後は娘と孫娘が経営を引き継いで現在もConde Hermanos ブランドとして安定した生産を維持しています。

コンデ・エルマノスギターは名手パコ・デ・ルシアが愛奏していたことをはじめとし、まさに名だたるフラメンコギタリストによって使用され、フラメンコギターファンには現在も欠かすことのできないマストアイテムとなっています。

[楽器情報]
コンデ・エルマノス フェリーペ工房、クラシックモデルの珍しい一本 1990年製Usedの入荷です。もちろんコンデブランドはあくまでフラメンコをそのラインナップのメインとしながら、それと並行してクラシックラインも継続しており、その意味では決して珍しいとは言えないのですが、本作はその仕様と構造の点において、このブランドとしてはやや異色ともいえるモデルとなっています。

外観的にはこのブランドのハイスペックモデルの符牒となっている有名なmedia lunaヘッド(俗に闘牛ヘッドとも言われる角を模したような独特のデザイン)となっており、そのアイデンティティを揺るぎなく提示しています。仕様としてはこれはクラシックに合わせて弦長を648mmとしており、表面板は杉材、ボディはかなり厚め(ネック部分で9.7㎝、ボトム部分で10.7cm)で作られています。そして内部構造(表面板の力木配置)ですが、サウンドホール上側(ネック側)に1本のハーモニックバー、下側(ブリッジ側)は1本のハーモニックバーとその中央で交差するもう一本の斜めのバー(低音側横板上部から高音側横板下部に向かって斜め下がってゆくように設置され、交差部分はお互いに強固に組み込まれている)、扇状力木は計6本がセンターに配された1本を境に高音側に2本、低音側に3本、ほとんど角度をつけずに互いに平行に近い角度で配置されており、ボトム部にはこれらの下端を受け止めるように逆ハの字型に配置された2本のクロージングバー、そして駒板位置にはほぼ同じ面積で薄い1mmほどの補強板が貼られているという全体の配置。

この力木配置(力木それぞれの形状やサイズなども含め)はあまりにも有名なホセ・ラミレス3世の「1A」 モデルとほぼ同一となっており、杉材を使用した表面板や厚いボディサイズなど、ラミレスがその移行期である1986年頃に製作したものとほぼ完全な相同性がみられます。レゾナンスはG~G#の間に設定されています(これに関してはラミレスはほぼAに設定されています)。

しかし上記のようなラミレスとの同一性が外形において認められながらも、コンデはここでいかにもこのブランドらしい(つまりややフラメンコ的な)手の直ぐ近くで音が立ち上がってくるような分離の良い乾いた音を作り出します。全体のバランスは太い低音から引き締まった高音へと至るスペインギターの典型がしっかりと構築されており、この点もラミレスとは異なり良い意味でオーソドックスな響き。このブランドが得意とするフラメンコ的な発音機能とクラシック的な情感とが他のギターでは聴かれないような独特の按配でマッチングしており、結果抑制された渋めの表情の中にダイナミックなうねりを見せる、個性的なクラシックモデルに仕上がっています。

表面板下部に複数の割れ修理歴があります。ブリッジ下中央んボトム部に計3か所の5~10cm弱の割れ、駒板低音側縁部分に20センチほどの割れが2か所、さらにこれらの割れの間に挟まれるようにしてボトム部分のやや低音側に何か強い衝撃による破損を修復した履歴があります。これらの割れはすべて接着後にボディ内側よりとても丁寧に補強処理を施したうえで表面板全体にラッカー再塗装を行っており、現状で目を近づけないとそれと認識できないほどにきれいな処置がされています。そのため表面板は現状で指板脇やサウンドホール付近などのほんの数か所の小さな打痕があるのみの状態となっています。横裏板は出荷時のままのラッカー塗装を保持していますが、こちらも横板の上部ふくらみ部分高音側に数か所の打痕、裏板の演奏時に胸の当たる部分の衣服等(おそらくボタンによる)スクラッチ傷といった経年考慮すると相応のレベルのキズのみとなっており、現状で外観的には良好と言えます。ネック、フレット、糸巻き等の演奏性に関わる部分も適正な状態を維持しています。弦高値は2.7/3.8mm(1弦/6弦 12フレット)でサドル余剰は0.5mm未満となっています。

コンデ・エルマノスのフェリーペ工房は2000年代まで同様の設計でクラシックモデルの製作を継続します。


新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  330,000 円
注文数 :   

製作家/商品名 パブロ・サンチェス・オテロ Pablo Sanchez Otero
モデル/品番 Model/No. “Acineira” No.38
001_003_PSotero_01_223
弦長 Scale Length 650mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 2023年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides ペアウッド Solid Pearwood
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:表板 セラック
   :横裏板 セラック
糸 巻:シャーラー
弦 高:1弦 3.1mm
   :6弦 4.0mm

〔製作家情報〕
1986年 スペイン北西部のガリシア州の美しい港湾都市ア・コルーニャに生まれる。
もともとは建築を学んでいましたが、机上での製図に終始する作業に飽き足らず、木にじかに触れることから生まれる仕事への興味が次第に増してゆきます。加えて音楽とその構造に対する深い関心は抑えがたくなり、何年か家具製作とデザインを学んだあと、2009年にバルセロナでJean Pierre Sardin のサマーコースでギター製作を受講。これを機に楽器製作を生業とする事を決心します。その後2009~2011年の2年間、美術工芸学校の古楽器製作のコースでヴァイオリンとルネサンスリュートの製作を学びます。そしてその間の2010~2012年の夏、シグエンサでの名工ホセ・ルイス・ロマニリョスの講習会に参加。そこでビウエラとスペイン伝統のギター製作法を、また楽器の修復技術についてのレクチャーを受講、彼にとって決定的な影響を受けることになりました。

その後スペインからイギリス、ノッティンガムシャーのニューアーク=オン=トレントに居を移し、同国のAdrian Lucas, James Listerらからもギターの製作を学びます。さらに2013年には居をベルギーのAmberesに移し、同地のLa Escuele Internacional de Luteria de Amberes(ILSA)にて楽器修復の学科を終了後、同校にて教鞭を執る傍ら本格的に製作活動を展開します。現在は工房を生まれ故郷であるスペイン、コルーニャに移し製作を継続。師ロマニリョスから受け継いだ、細部まで妥協を許さない繊細な造作、洒脱な意匠、トーレスを基本とするスペイン伝統工法に立脚した音色の魅力等は現在のスペインの若手の中でも静かに異彩を放っており、国内外で近年評価の高まりを見せています。

トーレスモデルをメインとするクラシックモデルの他、極めて個性的なデザインのブズーキ、マンドリン、ウクレレ、アコースティックギター等も製作。


〔楽器情報〕
パブロ・サンチェス・オテロ 製作の“Acineira”2023年製 Used 美品です。
スペイン、バダローナで開催された国際製作家フェスティバルのホセ・ルイス・ロマニリョスメモリアルに出品されたもので、文字通り彼にとっての最大のメンターであるこの名工へのオマージュとなるスペシャルモデル。彼のギターには(これも師の流儀に倣って)それぞれ固有名がつけられていますが、本作の“Acineira”は「ホルムオーク(常盤樫)」の意。師の自邸の庭に生えていた樫の木から加工した材を、ロマニリョス本人から直接譲り受けた彼が、その思い出を刻印するように本作の意匠にあしらっており、それを名前としたもの。すでにトーレスモデルで瞠目すべき仕事を世に出している彼ですが、その同じテンプレート(1888年製のSE114)と構造を採用しながら、ロマニリョスギターから得たインスピレーション、そして自らのクリエイションをそこに投入してつくり上げた渾身の力作となっています。

まずその外観に目を奪われますが、表面板はベアクロウの入ったヨーロピアンスプルース、横裏板は立体的な光沢のある美しいコーラルレッドのペアウッド(pearwood)を使用し、裏板は4ピース仕様。師との思い出の樫材は実に慎ましく、しかし存在感たっぷりにロゼッタの中央にあしらわれ、それを細かな長方形のモチーフと特徴的なヘリンボーンの象嵌が取り囲むというデザイン。このヘリンボーンはパーフリングや裏板のセンターにも使用され、茶と黒そして松材と同じ柔らかな黄色を基調とした文様が明るい外観の中で実に洒落たアクセントとなっています。また銀杏の葉のブランドロゴはヘッド裏に埋め込まれています。その細部まで精緻な細工はオテロ氏の真骨頂といえるものですが、本作においては特にその繊細さと大胆さが際立っており、美しいセラックニスの仕上げと相まってその佇まいはある種の高貴ささえ感じさせるほど。

表面板構造はサウンドホール上側(ネック側)に2本、下側(ブリッジ側)に1本のハーモニックバーが設置され(これら3本ともそれぞれ形状も大きさも異なる)、左右対称7本の扇状力木とそれらの先端をボトム部で受け止めるようにV字型に配置された2本のクロージングバーというパターン。レゾナンスはFの少し上に設定されています。

発音には十分な粘りがあり、しなやかでくっきりとした音像が素早く立ち上がってきますが、同時にとても深い奥行きを持っており、オールドスパニッシュを想起させる音響設計。低めのレゾナンス設定が絶妙な重心感覚を生み出しており、ボディ全体が震えるような低音から艶やかで洗練されたされた高音までの自然なバランスが素晴らしい。その清冽さと同時にどこか古雅なニュアンスを含んだ音と表情もまた彼ならではの個性と言えるでしょう。音量的にも非常に豊かに鳴っており、また多様な音楽的要求に応じて瞬間的に反応するその身振りの素早さも特筆すべき点となっています。ネック形状はDシェイプで丸みをしっかりととって加工されているのでほとんどCシェイプに近い感触、ナット幅もやや抑えたサイズで設定されているので左手にすっと収まるようなとてもコンパクトな感覚があります。

全体は繊細なセラック塗装で仕上げられており、丁寧に使用、保管されてきたであろう本体はまだ瑞々しい艶を湛えています。割れや改造などの大きな修理履歴はありません。裏板の下部、高音側2枚の板の接ぎ部分に沿って浅い段差が数センチの長さで生じていますが、内側から接ぎの補強がされている箇所のため現状のままとしています。その他はわずかに数か所の極めて軽微なキズがありますが目を近づけてそれと認識できる程度のもので、外観を損なうものではありません。ネック・フレットの状態も適正値を維持しています。

偉大なマエストロへの深い敬意と職人としての高い矜持、パブロ・オテロ入魂の濃密な一本です。

定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  1,100,000 円
注文数 :   

製作家/商品名 ヘルマン・ハウザー3世 Hermann Hauser III演奏動画あり
モデル/品番 Model/No. セゴビアモデル Segovia No.109
001_017_hauser_3_03_183_109
弦長 Scale Length 645mm
国 Country ドイツ Germany
製作年 Year 1983年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides インディアンローズウッド Solid Indian Rosewood
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:マホガニー
指 板:エボニー
塗 装:表板 ラッカー
   :横裏板 ラッカー
糸 巻:シェラー
弦 高:1弦 2.8mm
   :6弦 3.9mm

〔製作家情報〕
ヘルマン・ハウザー Hermann Hauser
20世紀ドイツ最高のギターブランドであり、現在も4代目がその伝統を継承し製作を続けている、クラシックギターの世界では屈指の名門です。ヘルマン・ハウザーI世(1882-1952)が、ミゲル・リョベートが所有していたアントニオ・トーレスとアンドレス・セゴビア所有のマヌエル・ラミレスをベースにして自身のギターを改良し、後に「セゴビアモデル」と呼ばれることになる「究極の」名モデルを製作した事は良く知られています。それはトーレスがギターの改革を行って以降最大のギター製作史における事件となり、その後のギター演奏と製作との両方に大きな影響を与えることになります。1世が成し遂げた技術的な偉業は2世(1911-1988)、更に1958年生まれの3世に受け継がれ、それぞれが独特の個性を放ちつつ、このブランドならではの音色と驚異的な造作精度を維持したギターづくりを現在も続けています。1世はいまやトーレスと並ぶほどの高値がオークションではつけられ、1世のニュアンスにドイツ的な要素を加味した2世の作品もまたヴィンテージギター市場では高額で取引されています。3世はますますその工作精度に磨きをかけながら、長女のカトリン・ハウザーとともに現在も旺盛に製作を続けています。

ヘルマン・ハウザー3世(1958~)が初めてギターを製作したのは1974年、そして翌年地元の弦楽器工房で修行を始めており、ここですでにその技術は優秀だったようで、優れた徒弟に送られる賞を国から授与されるなどしています。この後ドイツ弦楽器製作の中心地とされているミッテンヴァルトの楽器製作学校に入学(父親も同地のヴァイオリン工房で修行)。これと並行して1978年から父であるハウザー2世のもとで製作を始めています。この最初期からそのクオリティはすでに瞠目すべきものがあり、マスタークラフツマンとして円満に製作していたかと思わせるものの、やはり父親の(そして祖父の)あまりにも輝かしい歴史と厳しい指導のプレッシャーは相当なものだったようです。しかし3世はここでただのコピーモデルを製作することに落ち着くことなく、ブランドの美学を十全に継承しながら自身の創意や工夫を凝らしたモデルラインナップを展開してゆきます。それは1980年代から始まり、1988年にハウザー2世が亡くなり正式にこのブランドを継いだ後の1990年代から2000年代にかけて進められてゆくことになるのですが、いわばドイツ性の極限までの洗練化とでもいうべきもので、鍵盤楽器のように整った音響設計、音像はそのクリアネスをさらに増し、さらには楽器本体の造作精度もこの上ないものになってゆく、モダンギターの趨勢には全く与することのない姿勢を保ちながら彼なりの現代性を獲得してゆくことになります。ハウザー家には彼の曾祖父の時から100年以上にわたって受け継がれてきた豊富な良材があり、これらの材を贅沢に使用した豪華な外観もまた3世の楽器の大きな魅力の一つとなっています。

〔楽器情報〕                                   
ヘルマン・ハウザー3世製作の「セゴビア」モデル、1984年製 No.109が入荷いたしました。3世最初期の佳品と呼べる1本。父2世の教えと影響を如実に受けながら、やはり非凡と言える工作精度と音響における確かな完成度は見事なもので、ハウザーブランドの名に恥じぬ個体となっています。1980年代のこの時期(つまり2世存命の時期)の特徴としては軽めなボディと明朗でスペイン的な発音とがあり、これは1世のキャラクターとも通底するもので、1990年代後半以降ドイツ的な傾向を深めてゆくものとは対照的な魅力に溢れたものとして現在も人気があります。

1世が開発したセゴビアモデルをベースにしながら、ここでは3世独自の(おそらくは2世からの影響も受けての)力木構造における試みが為されています。サウンドホール上下に1本ずつのハーモニックバーを配置し、左右対称7本の扇状力木と駒板位置には同じ幅の薄いプレートが貼り付けられているという全体の構造。サウンドホール下側のハーモニックバーはちょうど真ん中(サウンドホール真下の部分)でほんのわずかにネック側に向かって屈折しており、これは2世後期のギターにも見られた特徴です。また通常のセゴビアモデルでは設置されている2本のクロージングバー(ボトム部で扇状力木の先端を受けとめるようにハの字型に配置される)がなく扇状力木がボトム近くまで伸びています。7本の扇状力木は1世そして2世のセゴビアモデルと比べると扇の中心角の角度が小さく、力木が表面板の中央にやや寄り添うようにして配置されているのも特徴と言えます。レゾナンスはG#~Aの間に設定されています。

ハウザー的な特性である、全体に位相差のない定位感のしっかりした音響設計で、適切な重心感覚を持った低音から高音までが均質に、鍵盤的と言ってよいほどのバランスで構築されています。スペイン的な木の感触を持った音像というよりは、しっかりと音楽的に精製されたような音像が心地よい反発感を伴いながら発音されます。ハウザーにおいては時に非常な透徹さで現れるこの音像は、ここではふっくらとした奥行き(オーディトリアム感)があり、ブランドが不可避的に内包している厳しさと彼の優しさとの案配がいかにもこの時期の3世らしい。音の表情もやや明るめで、あくまで気品を失わずロマンティックに表情を変化させてゆくその表現力、スタッカートやスラ―など装飾的な身振りをはじめとする反応性など機能的な面でも秀逸です。

割れ等の大きな修理履歴はなく、表面板は指板両脇やサウンドホール高音側などに軽微な打痕や弾きキズ、駒板下には1弦位置に弦とび跡などありますが概ねきれいな状態、横裏板も衣服等による摩擦が少々あるのみできれいな状態です。ネック、フレットなど演奏性に関わる部分も問題ありません。ネックシェイプは薄めのDシェイプ、ネックとヘッドはVジョイント方式で接合されています。弦高値は2.8/3.9mm(1弦/6弦 12フレット)でサドル余剰は0.5~1.0mmとなっています。糸巻はドイツの高級メーカーScheller 製に交換されており、現状で動作状況は良好です。重量は1.60㎏。





定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  2,640,000 円
注文数 :   

製作家/商品名 ヘルマン・ハウザー3世 Hermann Hauser III
モデル/品番 Model/No. セゴビアモデル model Segovia No.623
001_017_hauser_3_03_207_623
弦長 Scale Length 647mm
国 Country ドイツ Germany
製作年 Year 2007年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド Solid South American Rosewood
付属品 Option ゲヴァケース 黒
備考 Notes
ネック:マホガニー
指 板:エボニー
塗 装:表板:ラッカー
   :横裏板:ラッカー
糸 巻:ライシェル
弦 高:1弦 3.0mm
   :6弦 4.0mm

〔製作家情報〕
ヘルマン・ハウザー Hermann Hauser
20世紀ドイツ最高のギターブランドであり、現在も4代目がその伝統を継承し製作を続けている、クラシックギターの世界では屈指の名門です。ヘルマン・ハウザーI世(1882-1952)が、ミゲル・リョベートが所有していたアントニオ・トーレスとアンドレス・セゴビア所有のマヌエル・ラミレスをベースにして自身のギターを改良し、後に「セゴビアモデル」と呼ばれることになる「究極の」名モデルを製作した事は良く知られています。それはトーレスがギターの改革を行って以降最大のギター製作史における事件となり、その後のギター演奏と製作との両方に大きな影響を与えることになります。1世が成し遂げた技術的な偉業は2世(1911-1988)、更に1958年生まれの3世に受け継がれ、それぞれが独特の個性を放ちつつ、このブランドならではの音色と驚異的な造作精度を維持したギターづくりを現在も続けています。1世はいまやトーレスと並ぶほどの高値がオークションではつけられ、1世のニュアンスにドイツ的な要素を加味した2世の作品もまたヴィンテージギター市場では高額で取引されています。3世はますますその工作精度に磨きをかけながら、長女のカトリン・ハウザーとともに現在も旺盛に製作を続けています。

ヘルマン・ハウザー3世(1958~)が初めてギターを製作したのは1974年、そして翌年地元の弦楽器工房で修行を始めており、ここですでにその技術は優秀だったようで、優れた徒弟に送られる賞を国から授与されるなどしています。この後ドイツ弦楽器製作の中心地とされているミッテンヴァルトの楽器製作学校に入学(父親も同地のヴァイオリン工房で修行)。これと並行して1978年から父であるハウザー2世のもとで製作を始めています。この最初期からそのクオリティはすでに瞠目すべきものがあり、マスタークラフツマンとして円満に製作していたかと思わせるものの、やはり父親の(そして祖父の)あまりにも輝かしい歴史と厳しい指導のプレッシャーは相当なものだったようです。しかし3世はここでただのコピーモデルを製作することに落ち着くことなく、ブランドの美学を十全に継承しながら自身の創意や工夫を凝らしたモデルラインナップを展開してゆきます。それは1980年代から始まり、1988年にハウザー2世が亡くなり正式にこのブランドを継いだ後の1990年代から2000年代にかけて進められてゆくことになるのですが、いわばドイツ性の極限までの洗練化とでもいうべきもので、鍵盤楽器のように整った音響設計、音像はそのクリアネスをさらに増し、さらには楽器本体の造作精度もこの上ないものになってゆく、モダンギターの趨勢には全く与することのない姿勢を保ちながら彼なりの現代性を獲得してゆくことになります。ハウザー家には彼の曾祖父の時から100年以上にわたって受け継がれてきた豊富な良材があり、これらの材を贅沢に使用した豪華な外観もまた3世の楽器の大きな魅力の一つとなっています。


〔楽器情報〕
ヘルマン・ハウザー3世 2007年製 No.623 セゴビアモデル Usedです。この名を冠したモデルは1世作の1937年製をベースとしながらも、その息子2世の時代からすでに力木の配置や構造、表面板のシェイプ、ロゼッタデザインに至るまでほとんど個体ごとに異なる試みが為されており、それは3世に至って先達の豊かなアーカイブを基にした彼なりのヴァリエーションの拡大へと繋がってゆき、決して同一テンプレートの反復に陥らないブランドとしての矜持を維持し続けているところはやはり敬服に値すると言えるでしょう。これらの個体ごとの差異は微細なものでありながらそれぞれが明確に音響的特徴へと繋がっていると感じさせるもので、結果彼のギターはどれも異なる個性を有している、作家としての健全性を保持したものとなっています。

表面板力木構造は、サウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に1本ずつのハーモニックバー、ホールの両側(高音側と低音側)には一枚ずつ幅2センチほどの四角く薄い補強プレートを設置。このうちサウンドホール下側のハーモニックバーは中央でほんのわずかにネック側に向かって屈折して、両端がくびれ部分よりもやや上のところに位置しています(これは2世後期のギターにも見られた特徴です)。ボディ下部は左右対称7本の扇状力木と駒板位置の薄い補強プレート、クロージングバー(ボトム部で扇状力木の下端を受けとめるように逆ハの字型に配置されるもので、1世のセゴビアモデルでは設置されている)は設置されておらず扇状力木が7本ともボトムぎりぎりのところまで伸びているという全体の配置。珍しいのは7本の扇状力木のうち中央5本が駒板位置の補強プレートの上を通過しているのですが、他のセゴビアモデルでは力木がプレート上にしっかりと接着されているのに対し、ここでは力木が5本ともプレート部分をぎりぎりまたぐようにして設置されていることで、極めて微細な構造の違いながら、音響の特性に必然的な影響を与えていることが考えられます。また7本の扇状力木はセンターに配された1本が幅1cmに高さ1センチ弱と一番大きく作られており、外側に向かうにしたがって少しずつサイズダウンしてゆき横板に近接する力木は幅3mm高さ3mmとかなり繊細な造り。レゾナンスはGの少し上に設定されています。

実に丁寧に弾き込まれた1本で、ハウザー的なシャープさと硬質なキャラクターを保ちながら響きには角の取れた感触があり、力強さのなかにどこか柔和な雰囲気を湛えた個体となっています。低音から高音まで一本の線で結んでゆくようないかにもこのブランドらしい鍵盤的な音響設計を十全に備えながら、重心感覚がいつもよりも低く、どっしりとした風格ともいえるものが低音部にあり、対して高音のスマートできりっとした発音と音像との対比が魅力的。ドイツ的なストイックさの中に繊細な表情の揺らぎを感じさせ、表現楽器としての十分な一本です。

ハウザーの、特に3世の作は完成時にはかなり硬質で反発感のある響きが印象としては先立ちますが、本器はじっくりと時間をかけて彼の中にある1世的なポテンシャルを顕在化した、愛すべき佳品と呼ぶにふさわしいセゴビアモデルとなっています。

割れや改造などの大きな修理履歴はありません。表面板はサウンドホール周りや駒板下などに演奏によるスクラッチキズがやや多めにあり、ボトム付近には細かな打痕が散在していますがいずれもさほどに深くなく、楽器の品を損ねるものではありません。横板はラッカー塗装の部分的なわずかな変色や擦れ等によるムラが見られます、裏板は衣服等の軽微な摩擦あとがありますがやはり全体として外観を著しく損ねるものではありません。ネックは真っ直ぐを維持しており、フレットは1~7フレットで摩耗見られますが演奏性には影響のないレベル。ネックシェイプは丸みのあるDシェイプで普通の厚み、弦高値は3.0/4.0mm(1弦/6弦 12フレット)でサドルは1.0~2.0mmの余剰があります。このサドルは出荷時のオリジナルのままで、2弦と3弦部分は弦長補正処理がされています。糸巻はドイツの高級メーカーライシェルを装着しており、こちらも現状で機能的に良好です。ボディ内部のネック脚とその脇の表面板にはハウザーの署名、製作年、シリアルNo.が直筆で記されています。重量は1.64㎏。



商談中 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  2,420,000 円

製作家/商品名 ビセンテ・カリージョ Vicente Carrillo演奏動画あり
モデル/品番 Model/No. インディア エステューディオ INDIA ESTUDIO
001_carrilloV_02_208
弦長 Scale Length 650mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 2008年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides インディアンローズウッド Solid Indian Rosewood
付属品 Option スーパーライトケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:表板 ポリウレタン
   :横裏板 ポリウレタン
糸 巻:ゴトー
弦 高:1弦 3.2mm
   :6弦 3.8mm

〔製作家情報〕
1744年より代々続くギター製作の家系に生まれた当代ヴィセンテ・カリージョ Vicente Carrillo(1963~)は、著名なギタリストや弦楽器職人のアドバイスを積極的に取り入れると共に、精力的にその楽器の紹介にも取り組み2010年にはスペインの工芸家技術賞を獲得しています。良質なクラシックギターも製作していますが、特に彼のフラメンコギターは愛好者が多く、パコ・デ・ルシアやトマティートも所有していることで知られています。近年は名手カニサレスなどの使用によりますます世界的にシェアを拡大しているスペイン、クエンカの老舗ブランドです。                           

〔楽器情報〕 
ヴィセンテ・カリージョ製作 インディア・エステューディオ 2008年製 Used の入荷です。表面板はドイツ松、横裏板はインディアンローズウッド仕様のクラシックモデル。Estudioの名の通り「入門モデル」と位置づけられるもので、その機能性(音量の豊かさ、発音における反応の速さ)や演奏性(左手のグリップ感、弦のテンション感覚)において、アーティストからの厳しいフィードバックやモダンスタイルの設計なども柔軟に取り込みバランスフルな一本にまとめてしまう力量も持つ彼だけに、他のブランドの追従を許さぬような「ちょうど良い」着地点が見極められており、実に弾き心地のよいギターとなっています。加えていかにもスペイン的な明朗な響きも自然に備わっており、どのジャンルの音楽にも対応できるスタンダードな音色もまたこのブランドらしい。

カニサレスモデルなどでは格子状の力木構造を採用するなど現代的なアプローチもしていましたが、本作ではスタンダードな扇状力木の設計になっています。サウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に1本ずつのハーモニックバー、このうち下側の方のバーの中央部から高音側横板に向かって斜めに下がってゆくように設置された1本のトレブルバー的な力木と、これとは別に扇状に配置された5本の力木、ボトム部でこれらの先端を受け止めるようにハの字型に配置された2本のクロージングバーという全体の設計、レゾナンスはF#~Gの合い札に設定されています。

割れ等の大きな修理や改造歴はありません。表面板は高音側の指板脇からサウンドホールにかけて、ボトム部分の縁に沿って低音側~高音側まで弾き傷や打痕が見られます。また駒板下には1弦と3弦部分に弦飛び跡があるほか全弦のエリアで弦交換時のキズがあります。横裏板は全体に衣服による細かな摩擦跡やスクラッチ痕があり、また塗装は湿度の影響などによりやや白化していますが継続しての使用には問題ありません。ネックはほんのわずかに順反りですが標準設定の範囲内、ネック形状は薄めのDシェイプでフラットな設定になっておりコンパクトなグリップ感。弦高値は3.2/3.8mm(1弦/6弦 12フレット)でサドル余剰は2.0~2.5mmあります。スーパーライトケース(ブラック)付属。




定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  198,000 円
注文数 :   

製作家/商品名 クリストファー・ディーン Christopher Dean
モデル/品番 Model/No. No.122
001_Cdean_1_02_190
弦長 Scale Length 650mm
国 Country イギリス England
製作年 Year 1990年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド Solid South American Rosewood
付属品 Option ハードケース(黒)
備考 Notes
ネック:マホガニー
指 板:エボニー
塗 装:表板 ラッカー
   :横裏板 ラッカー
糸 巻:スローン
弦 高:1弦 2.7mm
   :6弦 3.5mm

[製作家情報]
クリストファー・ディーン Christopher Dean 1958年生まれ。イギリス、オックスフォードに工房を構える。10代の頃よりギターを演奏していましたが、17歳の時にプレゼントされたIrving Sloane のギター製作マニュアルを読んだことをきっかけに製作への興味を持ち始めます。1979年には有名なLondon College of Furnitureに入学し3年間楽器製作についての基礎を学びます(同校はゲイリー・サウスウェル、マイケル・ジーらの出身校でもあります)。ここでのカリキュラムにはホセ・ルイス・ロマニリョスやポール・フィッシャーの工房での実地研究も含まれていたことがきっかけになり、卒業後1年間ニュージーランドで家具製作に従事したのちに1982年フィッシャーの工房に職人として入ります。ディーン自身はフィッシャーのことを師として尊敬し実際に多くを学んでゆきましたが、フィッシャーはこの青年の成熟した感性と技術をすぐに見抜き、わずか3か月の「研修期間」のあとすぐに正式な職工としてフィッシャーラベルのギター製作を託すことになります。ここで充実した3年間を過ごした後に独立し自身の工房を設立、現在に至ります。

その作風は師であるフィッシャーや、さらにさかのぼってデヴィッド・ルビオをも想起させる堂々たる外観とたっぷりと濃密な艶を含んだ音色、力強い響きなどが挙げられますが、そうした彼の出自に直接つながるラインとは別にフランスのフレドリッシュ、トーレス、ハウザーからも多くのインスピレーションを得ており、とりわけサントス・エルナンデスからの大きな影響を受けています。1929年製のサントスギターを修繕する機会を得た彼は実地にオリジナルの構造を研究し、その後すぐれたサントスモデルを発表。憧れてやまないと公言する伝説的ギタリスト アンドレス・セゴビアへのオマージュさえも含んだすぐれたモデルとして高い評価を得ています。

[楽器情報]
クリストファー・ディーン製作オリジナルモデル 1990年製 No.122 Usedです。1980年代後半に入ってから自らの工房を立ち上げた彼にとって本作はいわばキャリア初期のモデルであり、その仕上がりには多分にフィッシャー的なものを感じさせながらも、すでに彼の後年の特質となるある意味学際的と言えるほどに多様性を内包しつつさりげなく伝統的な身振りのなかに自己をおいてみせる、その独特のスタンスの萌芽が見て取れます。師であるフィッシャーがアカデミックなアプローチにやや偏向し過ぎた感のある展開をちょうど同時期に見せ始めるのに対し、ディーンは自らの出自と語るルビオとフィッシャー、そしてセゴビアの音色を基礎としながら、まさに横断的に数々の先達の作のエッセンスを吸収し、持ち前のバランス感覚で見事にそれらの音響を新たな洗練へと昇華させていきます。

表面板の力木配置はスパニッシュギターの影響を如実に感じさせるもので、サウンドホール上側(ネック側)に高さと断面形状のそれぞれ異なる2本のハーモニックバー、下側(ブリッジ側)に1本のハーモニックバーともう一本のトレブルバー(低音側から高音側に向かってボトム方向に斜めに下がってゆくようにして設置されたバー、ここでは下側ハーモニックバーのやや低音寄りの部分を起点として高音側横板に向かって伸びています)、そしてこの上下バーの間、サウンドホール高音側と低音側とにそれぞれ各一本の短い力木がちょうど近接する横板のカーブに沿うようにして設置されています。ボディ下部は計6本の扇状力木がセンターの1本を境にして高音側に2本、低音側に3本を配置、ボトム部にはそれらの下端を受け止めるように2本のV字型に配されたクロージングバー、駒板位置にはほぼ同じ面積に2mmほどの厚さの補強プレートが貼ってあるという全体の構造。表面板と横板との接点にはペオネスではなくライニング板が設置されています。レゾナンスはAの少し上に設定されています。

いかにもスパニッシュギター的な構造を採用しながらここでディーンは敢えて低音の重心を下げ過ぎず、響きも太くし過ぎず、自然に高音の力強さが際立つような音響設計で全体を実にバランスよくまとめあげており、敢えて言えばホセ・ラミレス的マドリッド派との近似性はあるものの(レゾナンスの設定も含め)、これらのギターにおける高音の歌の強い前景化と比して、ここでのディーンはいかにも洗練されています。その高音の樹脂のような濃密な透明感とそれを適切に支える低音とのバランスが作り出す音響はとても魅力的。一つ一つの音像そのものはクリアで、自然な奥行きを伴って響きます。その表情も十分に豊かながら甘さを回避し、やや安直に言えばイギリス人らしいジェントルなニュアンスで統一されているので、バロックからロマンティックな楽曲までが自然にクラシカルな相貌におさまってゆきます。

現在彼はほぼすべてのギターをセラック塗装仕様にしていますが本作では厚みのあるラッカー塗装。湿度変化によると思われるウェザーチェックが表面板全体に見られますが、現状で継続使用には問題ございません。割れや改造等の大きな修理履歴はなく、また弾きキズなどのも指板脇やサウンドホールの周りなどにわずかにあるのみで、横裏板は衣服等による軽微な摩擦あと、ネック裏も細かなキズだけの状態となっています。ネックは真っ直ぐを維持しており、フレットは1~5フレットでわずかに摩耗ありますが演奏性には影響ありません。ネック形状はやや薄めのDシェイプでフラットな握り心地。弦高値は2.7/3.5mm(1弦/6弦 12フレット)でサドル余剰は1.0mmあります。指板は高音側20フレット仕様となっています。糸巻はスローン製を装着しておりこちらも現状で機能性に問題ありません。重量は1.76㎏。



新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  660,000 円
注文数 :   

製作家/商品名 ヘロニモ・ペーニャ・フェルナンデス Jeronimo Pena Fernandez
モデル/品番 Model/No. Especial
001_JeronimoPF_02_178
弦長 Scale Length 670mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 1978年
表板 Top 杉 Solid Ceder
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド Solid South American Rosewood
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:表板:ラッカー
   :横裏板:ラッカー
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 2.8mm
   :6弦 3.9mm

[製作家情報]
ヘロニモ・ペーニャ・フェルナンデス Jeronimo Pena Fernandez(1933~)スペイン、アンダルシア州のハエン県、マルモレホに生まれ、同地に工房を構える製作家。農家の子として育ちますが、9歳の時に大工の工房に弟子入りし(この工房ではしばしば地元の演奏家たちの楽器も修理していたようです)、ここで木工と装飾彫刻を学んでゆきます。幼少期からギターには興味を持っており、1950年代には独学でギターを作り始めています。それら初期の作の一つがフラメンコギタリストPepe Marchenaを通じてある数学教授兼コレクターのもとに渡り、その出来栄えに感動した彼は自身のコレクションから勉強のために銘器を貸し与えるとともに、フレッティングについての数学的な助言を与えるなどしています。1967年(1966年と記載している文献もあります)にはギター製作家として完全に独立して仕事をするようになりますが、ここに至るまでやはり全くの独学で製作技法を学んでいたものの、その木工技術の精密さ、音とデザインの独創性、すぐれた演奏性など楽器としてのトータルな完成度の高さによって評価と人気を得てゆくことになります。

1993年には自身の製先技法を詳細に記した著書「El Arte de un Guitarrero Espanol」を上梓しており、書中では大工工房でみっちりと修行した彼らしく木材の適正な伐採時期(彼によると1月の、満月から一日経った最初に欠ける日に伐採するのが最適だという)から極めてユニークな内部構造の設計についてなどが語られています。

彼のギターの特徴はまずその外観において、ヘッドと駒板の彫刻、厳選された木材の美しさ、やや大きめなサイズ感とその全体の比類の無い威容、エレガンスにまずはあると言えます。加えて内部構造ではアントニオ・デ・トーレスの伝統的なスペイン工法を土台としながら、より緻密で複雑な設計が為され、それは音響において彼がむしろアーティスティックな感性において追求し続けた音の丸み(redondez)を体現するものとして発想されているがゆえの、ある種数学的な有機性によって統一された極めて美しいものとなっています。またこうした独創性が決して発想の特異さのみに堕することなく、楽器として音楽的な豊かさに帰結しているところはやはり特筆すべきでしょう。

フラメンコとクラシックの両方を製作し、フラメンコではマノロ・サンルーカルらの名手が使用しそのカテゴリーでの名声が高まりますが、杉材の荘重な佇まいが印象的なクラシックがむしろ現在は人気のアイテムと言えるでしょう。付言すれば、イギリスのヘヴィメタルアーティストOzzy Osbourneの初期バンドメンバーであった夭折の天才ギタリストRandy Rhodes(彼は優れたメタルギタリストであると同時にクラシックの正統な教育も受けていました)が1979年製のヘロニモ・ペーニャ製作のクラシックモデルを愛用していたことで、ハードロックファンにはいまも伝説的かつ垂涎のアイテムの一つとなっています。

[楽器情報]
ヘロニモ・ペーニャ・フェルナンデス製作、1978年製 Especial モデル。非常に状態の良い美品Usedが入荷致しました。このブランドの符牒とも言える尖塔形のヘッドシェイプではなく、トーレスを思わせるスタイルで彫刻のデザインも異なります。またラベルも羊皮紙の巻物を紐解いたようなレトロなデザインでこれも彼の通常モデルとは異なり、Especialモデルのみの仕様のようです。ヘッドと駒板などの、印象的ですがしかしぎりぎりのところで抑制されたデザインの彫刻や意匠、彼の面目躍如たる厳選された材(おそらくSequoia杉を使用した表面板の赤みの深さ、横裏板は野趣溢れる中南米ローズウッドの組み合わせ)の美しさ、たっぷりとした容量のあるボディながらしかしスマートさを感じさせるきりっとした外観がやはり素晴らしい。指板エンド部分もささやかな木彫が施され、サウンドホールラベルを慎ましく引き立てていることも特筆すべき点でしょう。

実に特徴的な内部構造を持ったギターです。基本となるのはトーレス的なハーモニックバーと扇状力木の組み合わせ。サウンドホール上下に一本ずつのかなり強固なハーモニックバーを設置していますが、このうち下側のほうのバーはサウンドホールの真下部分を頂点として大きくネック方向に湾曲して設置されています。またネック脚を貫通するようにして1本、そしてネック脚と上側ハーモニックバーとの間にも1本の短くやや繊細な造りのバーを設置。下側ハーモニックバーの低音側のほぼくびれに近い部分からは同じように強固な造りのバーが横板に向かって斜めに下がってゆくようにしかもやはり湾曲して設置されています。サウンドホール周りにはまず一枚の補強板が貼られた上に高音側と低音側それぞれに一枚ずつの幅の狭い補強板が貼られているという二層構造。そしてボディ下部は左右対称5本の扇状力木と3本の等間隔に設置されたバー(これらはハーモニックバーよりも細く低い形状)とが交差しており、そのグリッド状になった枡目の一つ一つに対角線を結ぶようにしてX状の力木が設置されています。この小さなX状力木はサウンドホールの高音側と低音側にも(補強板縁から横板との範囲を覆うように)設置されています。これらXの延長線をつなげてゆくとちょうど表面板下部全体がモダンギターの特徴的な構造の一つラティスブレーシングと同じような格子状配置になるのが興味深い(ちなみにオーストラリアの製作家Greg Smallman が格子状力木を実用化したのも1970年代後半であり、名手ジョン・ウィリアムスが使用したのが1981年製で世界中に認知されるのは1980年代以降であるから、ヘロニモ・ペーニャとスモールマンの直接の影響関係は考えにくいのですが、両者の同時代的な進歩的精神の偶然の一致はギターの製作史を俯瞰してみると非常に象徴的なものを感じさせもします)。また裏板には両横板を繋ぐ計5本のバーと、センターの接ぎ部分にやはり二層構造で補強プレートが設置されている他、高音側と低音側のボトムからネック付け根までを繋ぐ各一本の補強板(裏板と同じ素材で作られている)がほんのわずかに湾曲して設置されてています。レゾナンスはF#とGの間に設定されています。

表面板のはスタンダードなサイズですが、ボディ厚みがアッパー部で10.6cm、ボトム部で11cmあるその容量の大きさと、木材の性質を十全に活かした響き。ふっくらとした奥行きを持ち、レゾナンスが低めながら低音に偏ることがなくむしろ高音域に渡るまで全体に整った、そして非常に洗練された統一感があり、構造的に格子状力木と近似しているせいか、弾性感をともなった、表面板から直に立ち上がってくるような発音が心地よい。音量はしかしモダンギターのような過度に増幅されたような感覚はなく、あくまでも自然に豊かに響きます。演奏において、特に高音の輪郭のはっきりした艶やかな音像が、十分なサスティーンと奥行きを持ちながらまるで形の整った玉のように連なってゆくのがなんとも魅力的で、それを低音の(低音自体も非常に引き締まった音像なのですが)たっぷりした響きが支えるような全体の音響はやはりスペインならではと言えるでしょう。

(コンディションについて)
表面板は駒板下1弦側に弦とび跡がありますが、その他は指板脇に数か所の軽微なスクラッチあとと衣服等による微細な摩擦あとのみで、横裏板もほぼ無傷に近く、年式を考慮すると全体に非常な美品と言える一本。割れ等の大きな修理や改造等の履歴はありません。ネックもほぼ真直ぐを維持しており、フレットも適正値、糸巻きはスペインの老舗ブランドFusteroを装着し、こちらも動作状況に問題ありません。ネックは普通の厚みのDシェイプ。ネックの差し込み角、ブリッジの設定などが絶妙で、670㎜の長いスケールを全く感じさせてない左手の演奏性。弦高値は2.8/3.9mm(1弦/6弦 12フレット)で、サドル余剰は0.5~1.0mm。弦の張りはスケールの割には中庸からむしろ弱めで、この点でも左手のストレスが軽減されています。重量は1.9㎏。


定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  792,000 円
注文数 :   

製作家/商品名 ホセ・ラミレス 3世 Jose Ramirez III
モデル/品番 Model/No. 1a No.15864
001_joseramirez_03_181_01
弦長 Scale Length 664mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 1981年
表板 Top 杉 Solid Ceder
横裏板 Back & Sides インディアンローズウッド Solid Indian Rosewood
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:表板 ポリウレタン
   :横裏板 ポリウレタン
糸 巻:ゴトー
弦 高:1弦 2.5mm
   :6弦 3.5mm

[製作家情報]
ホセ・ラミレス Jose Ramirez スペイン、マドリッドのクラシックギターブランドで、ホセ・ラミレス1世(1858~1923)の時代から現在のホセ・ラミレス5世まで、1世紀以上に渡りスパニッシュギター製作史のなかで最も重要なブランドの一つとしてその名を刻み続けており、いまなおワールドワイドにマーケットを展開する工房です。

なかでもとりわけ評価が高く「Ramirez dynasty」 と言われるほどに豊饒の時代とされたホセ・ラミレス3世(1922~1995)の時期に製作されたギターは、革新的でありながら幅広いポピュラリティを獲得し、世界中のギタリストとギターファンとを魅了し続けました。1950年代末から1960年代、パウリーノ・ベルナベ、マリアーノ・テサーノスといった名職人が職工長として働き、高級手工品の品質を維持しながら大量生産を可能した独自の工房システムを確立します。そして1964年にこのブランドのフラッグシップモデルとして世に出した「1A」は、表面板にそれまでの松材に代わって杉材を使用、胴の厚みを大きくとり、横板は内側にシープレス材を貼り付けた二重構造、弦長は664mmで設定(通常は650mm)、さらに塗装には従来のセラック塗装からユリア樹脂のものに変更し耐久性を飛躍的に増すとともに、「ラミレストーン」と呼ばれる独特の甘く艶やかな音色を生み出し、真っ赤にカラーリングされた印象的な外観と相まってクラシックギター史上空前のポピュラリティを獲得することになります。

これらラミレス3世がクラシックギターに対して行った改革はマーケット戦略の面でも、また製作の面でも実に独創的でしかも時代の要請に十全に応じたもので、のちのギター製作全般に大きすぎるほどの影響を及ぼしたのと同時に、まさにクラシックギターのイメージを決定するほどに一世を風靡しました。

ラミレス3世の息子4世(1953~2000)は18歳の時に父ラミレス3世の工房にて徒弟として働くようになり、1977年には正式に職人として認められます。1988年には妹のアマリアと共にブランドの経営を任されるようになり、父の製作哲学を引き継ぎながら、より時代のニーズに則した販売戦略(エステューディオモデルの製作、標準的な650mmスケールの採用等々)を展開しさらにシェアを拡大してゆきますが、3世亡き後わずか5年後の2000年にこの世を去ります。

4世亡きあとアマリアは彼の意を継いでより柔軟な商品開発、生産ラインの監修、そして4世の子供たち、クリスティーナとホセ・エンリケの二人の姉弟の工房スタッフとしての教育に心血を注ぎます(二人は2006年から工房で働き始めています)。現在二人は正式にブランドを継承し、クリスティーナ(グラフィックデザイナー、音響技術者としての資格も有する)がマーケティングプロジェクト全般を、ホセ・エンリケが製作と工房運営を担当しています。

名手アンドレス・セゴビアの名演と共にその音色が記憶に残る3世と4世の時代につくられたモデルは現在も人気があり、特に製作を担当した職人のイニシャルが刻印されていた1960年代のものは往年のファンに愛奏されています。


〔楽器情報〕
ホセ・ラミレス3世のフラッグシップモデル「1A」のインディアンローズウッド仕様 No.15864 1981年製Usedの入荷です。ボディ内部に数字「9」のスタンプがあり、これはラミレスのオフィシャルリストではJuan Garcia Rey(JG)製作となっています。このモデルの基本形は1964年に出来上がり、それは1986年頃を境として弦長を664mmから650mmに、またボディサイズやネック仕様もそれに即したサイズへと変更するまで同じ仕様で製作され続け、世界中で大変な人気を博しました。しかしながら1960年代、そして1970年代と比較して1980年代前半に至るまでの時期においても、やはり時代の要請に応じてかいくつものマイナーチェンジが行われており、それぞれ年代ごとに異なる特徴のあるギターとなっています。

1960年代の末頃から70年代のラミレスではネックのボディに対する差し込み角が深くなり、同時に指板は6弦側から1弦側にかけてかなりの傾斜角で設定され、その結果弦高値が低音から高音かけて一気に低くなってゆくような独特の演奏性を確立します。またこれによって全体の立体感と音圧における迫力が更に増大し、この時期のコンサートギターにおける一つの定式を作り上げたと言えます。

本作は1981年製作、直前の1970年代の物理的な仕様の面でも音響の面でもダイナミックな時期を経過して、特に演奏性の面でよりユーザーニーズに近づけた設定値で着地されています。独特の生々しさを備えた音の肌理は洗練され、整い、軽快ささえも感じさせる響きとなっているのですが、「ラミレストーン」最大の特徴であるロマンティックな表情と艶やかな質感はそのままに、同時に奏者のタッチ感覚に寄り添うような演奏性が追及されているのは嬉しいところ(70年代までのラミレスはそのダイナミックな音の身振りゆえに、演奏がしばしば困難と多くの人は感じたと思います)。低音の音圧とほぼ同等かと思われるほどに強い高音、その迫力、ポリフォニックな演奏における彫りの深い音響とその余韻などはやはりこのブランドならではでしょう。

表面板内部構造は1A モデルの基本形を踏襲しており、サウンドホール上下に一本ずつのハーモニックバー、そしてそのうち下側のバーの中央で(つまりサウンドホールのちょうど真下のところで)低音側から高音側に向かって下がってゆくように斜めに交差する一本のバーを設置。そしてその下のボディ下部は6本の扇状力木がセンターの1本を境にして高音側に2本、低音側に3本を配し、ボトム部分でそれらの先端を受け止めるように2本のクロージングバーがハの字型に配置されています。ブリッジ位置には駒板よりも長いパッチ板が貼られています。レゾナンスはG#の少し上に設定されています。

表面板のブリッジ下からボトムにかけて2か所、高音側と低音側に割れ補修歴があります(内側よりパッチ補強あり)、その他は年代相応の弾き傷や打痕等はありますが、外観を損なうことなく、横裏板も衣服等による軽微な摩擦あとのみとなっており、全体にきれいな状態を保持しています。ネックは真っ直ぐを維持しており、フレットも1~8フレットで若干の摩耗見られますが演奏性には全く問題のないレベルです。指板面はクラシックとしてはやや強めのラウンド加工、そして6弦側から1弦側にかけて強く傾斜させて低音側から高音側へと一気に弦高が低くなってゆくような感覚で、さらには1970年代のラミレスと異なりネックの差し込み角がやや浅く設定されているため、弦の張りは意外にもソフトな感触。ネックは普通の厚みのDシェイプでフラットな形状。弦高値は2.5/3.5mm(1弦/6弦 12フレット)で設定されており、総じて左手の演奏性が十全に追求されています。あくまで664mmスケールでのスタイルにこだわりつつ弾きやすさを求める方にはおすすめの一本。糸巻はGOTOHのリラモデル(フステロタイプ)に交換されています。



定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  385,000 円
注文数 :   

製作家/商品名 ホセ・ラミレス Jose Ramirez
モデル/品番 Model/No. C-650 オーディトリオ トラディシオナル X0-066
001_joseramirez_04_211
弦長 Scale Length 650mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 2011年
表板 Top 杉・ノメックス ダブルトップ Ceder/Nomex
横裏板 Back & Sides インディアンローズウッド Solid Indian Rosewood
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:表板 ポリウレタン
   :横裏板 ポリウレタン
糸 巻:ラミレス
弦 高:1弦 2.9mm
   :6弦 4.0mm

[製作家情報]
100年以上続く歴史あるスパニッシュギターブランド ホセ・ラミレス Jose Ramirez。ホセ・ラミレス1世(1858~1923)の時代から現在のホセ・ラミレス5世まで、1世紀以上に渡りスパニッシュギター製作史における重要なブランドの一つとしてその名を刻み続けており、いまなおワールドワイドにマーケットを展開する工房です。

なかでもとりわけ評価が高く「Ramirez dynasty」 と言われるほどに豊饒の時代とされたホセ・ラミレス3世(1922~1995)の時期に製作されたギターは、革新的でありながら幅広いポピュラリティを獲得し、世界中のギタリストとギターファンとを魅了し続けました。1950年代末から1960年代、パウリーノ・ベルナベ、マリアーノ・テサーノスといった名職人が職工長として働き、高級手工品の品質を維持しながら大量生産を可能した独自の工房システムを確立します。そして1964年にこのブランドのフラッグシップモデルとして世に出した「1A」は、表面板にそれまでの松材に代わって杉材を使用、胴の厚みを大きくとり、横板は内側にシープレス材を貼り付けた二重構造、弦長は664mmで設定(通常は650mm)、さらに塗装には従来のセラック塗装からユリア樹脂のものに変更し耐久性を飛躍的に増すとともに、「ラミレストーン」と呼ばれる独特の甘く艶やかな音色を生み出し、真っ赤にカラーリングされた印象的な外観と相まってギター史上空前のポピュラリティを獲得することになります。

これらラミレス3世がクラシックギターに対して行った改革はマーケット戦略の面でも、また製作の面でも実に独創的でしかも時代の要請に十全に応じたもので、のちのギター製作全般に大きすぎるほどの影響を及ぼしたのと同時に、まさにクラシックギターのイメージを決定するほどに一世を風靡しました。

ラミレス3世の息子4世(1953~2000)は18歳の時に父ラミレス3世の工房にて徒弟として働くようになり、1977年には正式に職人として認められます。1988年には妹のアマリアと共にブランドの経営を任されるようになり、父の製作哲学を引き継ぎながら、より時代のニーズに則した販売戦略(エステューディオモデルの製作、標準的な650mmスケールの採用等々)を展開しさらにシェアを拡大してゆきますが、3世亡き後わずか5年後の2000年にこの世を去ります。

その後もアマリアを中心に柔軟な商品開発を継続しますが、2000年代以降はむしろ名手アンドレス・セゴビアの名演と共にその音色が記憶に残る3世と4世の時代につくられたモデルに人気が集中するようになり、特に製作を担当した職人のイニシャルが刻印されていた1960年代のものは往年のファンに現在も愛奏されています。


〔楽器情報〕
ホセ・ラミレス C650 Auditorio Tradicional(Class 1A)2011年製 X0-066 中古の入荷です。ちょうどこの年2011年に開発し販売されたモデルで、表面板はダブルトップ、指板は高音側20フレット、指板は12フレットからエンド部分までの部分が表面板からやや盛り上がったように設定されているいわゆるレイズドフィンガーボード仕様となっており、ラミレスがモダンギターの主要なスペックを取り入れたことでも話題になったモデルです。ダブルトップはNomex という蜂の巣状の化学繊維シート(Dupont 社が開発した、耐熱性、耐炎性に優れており、あらゆる電気絶縁要件を満たすとされる素材で、航空宇宙業界や交通インフラなどに世界中で採用されている)を2枚の杉材でサンドイッチ型に貼り合わせることで形成される表面板のことで、高い音圧とレスポンスの速さ等の機能的な特徴が際立っており、主にコンサートギタリストに重用されることの多い設計です。

表面板内部構造は、サウンドホール上下に一本ずつ配されたハーモニックバー、そしてそのうち下側のバーのちょうど中央で(つまりサウンドホール真下の位置で)交差するようにして、高音側から低音側に斜めに下りてゆくようにもう一本のバーを設置。この3本のバーのそれぞれ低音側には長さ4センチ高さ1㎜ほどの開口部が設けられています。6本の扇状力木がセンターの1本を境にして高音側に2本、低音側に3本配されており、それらをボトム部で受け止める2本のクロージングバー、そして駒板の位置に貼られたパッチ板という全体の配置で。レゾナンスはG#の上に設定されています。上記の構造はラミレスの「1A」モデルの基本構造がそのまま採用されており、ラミレスがあくまで音質や音色的特徴としてのブランドカラーを保持しつつ、モダンスタイルの設計を取り入れ、より時代の要請にフィットしたモデルを打ち出した形となっています。

ダブルトップに特徴的なある種「打楽器的」ともいえる迫力よりも、従来のラミレスの音量をそのまま増幅させたような響き。全体は高音が前景化するような音響バランスで、中低音~低音は重厚さというよりも強さですっきりと高音を支えるように鳴り、結果メロディーを際立たせ濃密に歌わせるラミレスらしい特徴がここでも聴くことが出来ます。

割れ等の大きな修理履歴はありません。表面板は全体に1~3mmほどの浅い打痕が点在しており、特に低音側の縁部分は若干のスクラッチ跡なども含めやや傷が集中して見られます。横裏板は衣服等による細かな摩擦跡のみとなっており比較的綺麗な状態です。ネックは真っ直ぐっを維持しており、フレットは1~5フレットでやや摩耗見られますが現状で演奏性に影響はありません。ネックシェイプも仕様に合わせてか、このブランドのとしてはかなり薄めのDシェイプで角の取れた形状に作られており、コンパクトなグリップ感。弦高値は2.9/4.0㎜(1弦/6弦 12フレット)でサドル余剰は1.5~2.0mmあります(現状下敷きを設置しており、その状態での設定値になります)。重量は1.70㎏。オリジナルハードケース付属(一部留め具に欠損ありますがケースとしての使用には影響ありません)

定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  770,000 円
注文数 :   

製作家/商品名 オリヴィエ・ファントン・ダンドン Olivier Fanton d’Andon演奏動画あり
モデル/品番 Model/No.
001_OlivierFD_02_208
弦長 Scale Length 653mm
国 Country フランス France
製作年 Year 2008年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides インディアンローズウッド Solid Indian Rosewood
付属品 Option セミハードケース
備考 Notes
ネック:マホガニー
指 板:エボニー
塗 装:表板 セラック
   :横裏板 セラック
糸 巻:ゴトー
弦 高:1弦 3.0mm
   :6弦 4.0mm

フランスの伝統的なギター製作技術と現代的な感性を融合させたルシアー、Olivier Fanton d'Andon(オリヴィエ・ファントン・ダンドン)氏による2008年製の中古クラシックギターが入荷いたしました。

Fanton d'Andon氏は、フランス南部に工房を構え、精緻なクラフトマンシップと音響設計の高さで知られる気鋭のギター製作家。伝統的なトーレス〜ブーシェの流れを汲みながらも、洗練された音色バランスと繊細な表現力を備えたギターを世に送り出しています。これまでに多くのコンサートギタリストや上級奏者に愛用されており、フランス国内外で着実に評価を高めている存在です。

今回入荷した本器は、2008年製の一本。深く柔らかい音色が印象的で、特に中音域のふくらみと高音の透明感が絶妙なバランスで共存しています。ピアニッシモからフォルテシモまでのダイナミックレンジも広く、表現力を追求する奏者にとっては非常に魅力的な楽器です。

外観には年式相応の小傷や使用感がございますが、演奏性・構造面においては非常に良好な状態を保っており、即戦力の一本としておすすめできます。

音色の美しさと深み、そしてフランス的エレガンスを併せ持った逸品。個性的かつ繊細な表現を求める方に、ぜひご試奏いただきたいギターです。

ご試奏や仕様の詳細につきましては、お気軽にお問い合わせください。




定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  2,200,000 円
注文数 :   


株式会社アウラ
〒110-0004
 東京都台東区下谷
 3-3-5アズール上野2F

TEL 03-3876-7207
FAX 03-3876-7206
営業時間 11:00-19:00
 (定休日:毎週水曜日)