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国産クラシック 中古   写真をクリックするとさらに大きなカタログ写真が表示されます。
製作家/商品名 尾野 薫 Kaoru Ono
モデル/品番 Model/No. ロマニリョスモデル model Romanillos No.289
005_001_onoK_02_217_289
弦長 Scale Length 645mm
国 Country 日本 Japan
製作年 Year 2017年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド Solid South American Rosewood
付属品 Option BAM Case
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:表板 セラック
   :横裏板 セラック
糸 巻:スローン
弦 高:1弦 2.6mm
   :6弦 3.8mm

〔製作家情報〕
尾野薫 Kaoru Ono(ラベルはCaoru Onoでプリントされています)1953年生まれ。中学生の頃からギターを弾き始め、大学の木材工芸科在学中その知識を活かして趣味でギターを製作。 その類まれな工作技術と音響に対するセンスは注目を集めており、愛好家達の要望に応えて27歳の時にプロ製作家としての本格的な活動を開始。 同時期にアルベルト・ネジメ・オーノ(禰寝孝次郎)に師事し、彼からスペインギターの伝統的な工法を学びます。 その後渡西しアルベルト・ネジメの師であるグラナダの巨匠アントニオ・マリン・モンテロに製作技法についての指導を受け、 2001年には再びスペインに渡りホセ・ルイス・ロマニリョスの製作マスターコースも受講しています。 さらにはマドリッドの名工アルカンヘル・フェルナンデスが来日の折にも製作上の貴重なアドバイスと激励を受ける等、 現代の名工達の製作哲学に直に接し学びながら、スペイン伝統工法を科学的に考察し理論的に解析研究してゆく独自の方法でギターを製作。 日本でのスペイン伝統工法の受容の歴史において、アルベルト・ネジメと並ぶ重要な製作家の一人として精力的な活動を展開しています。 その楽器はあくまで伝統的な造りを基本としながら、十分な遠達性、バランス、倍音の統制において比類なく、極めて透徹した美しい響きを備えた、 現在国内のギター製作における最高の成果を成し遂げたものとして高い評価を得ています。

尾野薫氏は2024年7月その生涯を終えられました。謹んで哀悼の意を表します。


〔楽器情報〕
尾野薫 2017年製作のホセ・ルイス・ロマニリョスモデル No.289 Usedです。2024年に世を去ることになるこの碩学の職人にとっては、図らずも彼のレイトワークスの一つとして位置づけられてしまうことになる本作は、彼の最大の特徴と言える精妙極まりない音響設計とオリジナルであるロマニリョスとの美学とが信じ難いほどの高次において1個のアイデンティティを持つに至ってしまった稀有な一例と言えます。

尾野氏は自身のオリジナルモデルのほか、ロベール・ブーシェ、ヘルマン・ハウザーそしてアントニオ・デ・トーレスといったいわゆるオマージュモデルも製作しており、それぞれ氏ならではの再解釈によって洗練を経たものとして、レプリカの枠に収まらない独自の存在感を持つに至った個体となっています。ロマニリョスモデルとして彼が採用することになる構造は、ロマニリョスの自著「Making a Spanish Guitar」の中でPlan1として掲載されているもので、トーレス~ハウザー的美学のひとつの帰結として音響的完成度の高いシステムとされています。このトーレス、ハウザーそしてロマニリョスの三人によって弁証法的に統合された音響をさらに再解釈しようという、ギター製作史そのものを俯瞰するような大がかりな仕事を、尾野氏はあっさりと達成しています。ここで聴かれる明晰で、音楽的にどこまでも精密な音響はまさに氏の美学の到達点ともいえるもので、奏者はこの透明でかつ濃密な音響に自由に色を付けてゆくことができます。そしてこの、最上の楽器は奏者が完成させるべきものだというポリシーこそはロマニリョスとしっかり通底する製作哲学となっていること、その意味においても本作がオマージュモデルとしての特別な意義を持っていると言えます。

オリジナルのロマニリョスギターにおける、音どうしの親密な集合体としてのトーレス的響きに粘りのある発音特性を付加し、一音一音に弦の震えと弾性を十分に感じさせるような音響特性、そしてやはりスペイン的な生々しい不整合性をも含む全体をしっかりと本質的につかみながら、尾野氏はここで一気に洗練させ、さらに解像度をぐっと上げて音響化します。その手際は本当に見事なもので、さらにはその音響の音楽的トータルバランスは比類なく精密なものとなっています。

尾野氏らしい安定した、十分に低い重心感覚のもと、すべての音がそれぞれ中心として成立しうるような有機的集合体としての音響が構築されており、完璧な和声感、心地良い弾性感をともなった発音、「gentle」なと言いたくなるような上品な粘り、整った点の繋がりとしての旋律等々どれも極めて音楽的な身振りと佇まいで素晴らしい。さらに特筆すべきは発音から減衰までの音像の密度の持続、そして終止のあとの沈黙さえ音楽的である点でしょう。

表面板力木配置は上述のロマニリョスのオリジナル設計に準拠したものとなっています。サウンドホール上側(ネック側)に2本、下側(ブリッジ側)1本の計3本のハーモニックバーを設置。それらのすべての高音側と低音側にはそれぞれ開口部が設けられており、力木が2本ずつその開口部をくぐってバーと直角に交差しながら表面板上部縁から3本目のバーのところまで設置されています。そしてくびれ部分から下は左右対称7本の扇状力木とそれらの下端をボトム部で受け止めるように逆ハの字型に配置された2本のクロージングバー、駒板の位置にはほぼ同じ面積で薄いプレートが貼られているという全体の構造。この緻密な計算に基づいた構造を本モデルは忠実に再現しています。表面板と横板との接合部に設置されるペオネス(木製の小さなブロック)は大小のサイズ違いのものを交互に設置しており、この点もオリジナルに準拠。重量は1.72㎏。レゾナンスはF#~Gの間に設定されています。

内部構造、ボディのテンプレートに関してはオリジナルに準拠していますが、ロゼッタやパーフリングなどの意匠は尾野氏のデザインによるものとなっています。横裏板は上品な薄茶の中南米ローズウッドが使用されており、裏板のセンターには美しいフレイムメイプルをあしらって、さらにこれと呼応するようにヘッドプレートにも同様に慎ましく細工することで洒脱なアクセントにし、全体の一貫した雰囲気をつくりだしています。

とても良好な状態のUsedです。割れや改造等の大きな修理履歴はありません。表面板は指板脇や駒板下、サウンドホール付近などに目を近づけてそれと認識できるほどの微細なキズのみとなっています。横板はボトム部分に浅い搔きキズがやや多めにありますが、裏板は経年の湿度変化等による塗装のわずかな変色のみできれいな状態を維持しています。全体の塗装は出荷時の仕様のままのセラック塗装。ネック、フレット、糸巻き等の演奏性や機能性に関わる部分も全く問題ありません。ネック形状はやや厚めのDシェイプ、弦高値は2.6/3.8mm(1弦/6弦 12フレット)でサドル余剰は1.5~2.0mmとなっています。


品切れ 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

製作家/商品名 アルベルト・ネジメ・オーノ Alberto Nejime Ohno
モデル/品番 Model/No. サントスモデル エスペシャル・リオ
005_04_nejime1_02_198_01
弦長 Scale Length 650mm
国 Country 日本 Japan
製作年 Year 1998年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド Solid South American Rosewood
付属品 Option 軽量ケース(スーパーライトケース)
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:表板 セラック
   :横裏板 セラック
糸 巻:スローン
弦 高:1弦 2.8mm
   :6弦 4.0mm

〔製作家情報〕
アルベルト・ネジメ・オーノ Alberto Nejime Ohno(禰寝孝次郎)1952年生まれ。1979年にスペインに留学し、グラナダの名工アントニオ・マリンにギター製作を師事。2年に及ぶその期間中彼はほとんど家族の一員のようにして製作を共にし、単に技法の習得だけではなくその土地の文化風土や人間性をも吸収しながらスペインの伝統工法を学んでいます。帰国後に発表した彼の楽器は、感性的な領域にまで深くスペインのニュアンスを染み込ませた逸品として、国内では初めての本格的なスパニッシュギターと評価されるようになります。1988年にはチェコスロバキア・クツナホラ国際ギター製作コンクールにてグランプリを受賞し、国際的にもその実力は高く評価されるようになります。他の追従を許さぬ美しく気品のある外観の仕上がりと、重厚かつ濃密で艶やかな音色と十分な遠達性を備えた作風は近年益々円熟味を加え、師のアントニオ・マリン同様にマニア垂涎の楽器として、現在その評価は不動のものとなっています。また製作と同時に後進の指導や執筆活動にも尽力し、 第一回アマチュアギター製作コンテスト審査員、スペインにて第7回コリアギター講習会参加、ギター製作家in八郷審査員をつとめるなどのほか、雑誌<現代ギター>に「君もギタービルダー」を連載、愛好家からの大きな反響を得て「スペイン式クラシックギター製作法」として書籍化されています。2020年にはフランスの出版社Camino Verde刊 Orfeo Magazine No.15で彼のインタビューと楽器が紹介されました。

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オルフェオ取材同行記 禰寝孝次郎編はこちら


〔楽器情報〕
アルベルト・ネジメ・オーノ(禰寝孝次郎)製作のサントス・エルナンデスモデル Especial Rio 1998年製 Usedです。サントス・エルナンデス(1874~1943)という、氏にとって取り分け特別な製作家であるだけに、その深い矜持が造作と音響の全てにゆきわたった見事なモデル。時期的にもクツナホラでのコンクール受賞から10年目の円熟期へと向かう頃のものだけに、現在の氏のギターとはまた異なる迫力が造作と音響の双方において感じられ、特に音色とその表現力のレベルは当時の国内の最高のレベルを体現したものと言えるでしょう。モデル名が示す通り非常に上質な松材とブラジリアン・ローズウッドが使用されており、経年の変化は若干ありますが、繊細極まりないセラック塗装の質感が醸し出す、全体に凛とした気品漂う外観もこのブランドならでは。

表面板力木配置は、サウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に1本ずつのハーモニックバー、これら2本の間、サウンドホールの両脇に1枚ずつの補強プレート、そして左右対称の7本の扇状力木がボディウェストより下側をまんべんなく覆うように設置されており、駒板位置の補強プレートやボトム部にクロージングバーのない設計で、原案となるサントス・エルナンデスの特徴的な配置パターンの一つを踏襲したものになっています。レゾナンスはG~G#に設定されています。

サントスが確立したともいえるスペイン的な音響設計を禰寝氏が再解釈、再構築したような音響で、オリジナルサントスにおいてはそのしばしば不均整な音が逆に独特の肌理を生み出していたのに対し、禰寝氏はそうした各音の不均整を美しく整えたうえで、高音、中低音、低音のそれぞれを大胆と言えるまでにアイデンティファイし、全体で非常な立体感と彫塑感を生み出すことに成功しています。特に中低音から低音部の活き活きと自然なうねりを持って現前してくる音が魅力的で、これに高音がさらっとした触感の角の取れた音像でしっかりと歌い、歌と伴奏のこの対比、そして旋律におけるいかにもスパニッシュな身振りが素晴らしい。各部がそれぞれの特性を備えながら、全体としての響きは実に心地よく着地している、その製作家としての技量と音感のセンスはやはり見事というべきでしょう。

割れや改造などの大きな修理履歴はなく、表面板サウンドホール付近などにわずかなスクラッチ、弾き傷など細かなものがあるのみで他はほとんど傷のないとても綺麗な状態です。ネック、フレット等の演奏性に関わる部分も良好です。ネックはやや薄目のDシェイプで左手のフィット感が良く、弦の張りも中庸なので全体に弾き心地良く感じます。弦高値は2.8mm/4.0mm(1弦/6弦 12フレット)サドル余剰は0.5~1.0mmあります。糸巻きはスローン製のLeaf柄モデルを装着。ナットとサドルそしブリッジの弦を巻きつける部分の意匠には象牙が使用されています。



新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

製作家/商品名 栗山 大輔 Daisuke Kuriyama演奏動画あり
モデル/品番 Model/No. サントスモデル model Santos Hernandez No.98
005_05_kuriyama_02_223_98
弦長 Scale Length 650mm
国 Country 日本 Japan
製作年 Year 2023年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides シープレス Solid Cypress
付属品 Option 軽量ケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:表板 セラック
   :横裏板 セラック
糸 巻:ピンウェル
弦 高:1弦 2.9mm
   :6弦 3.9mm

〔製作家情報〕                                 
栗山大輔 Daisuke Kuriyama 1981年生まれ。東京造形大学在学中に独学でギター製作を始めます。卒業後の2003年大手楽器店に入社し修理部門として10年以上従事し、そこで多くの国内外の名器を実地に研究する機会を得たことが、現在の彼の類まれなバランス感覚に支えられた音色への感性を育んだと言えるでしょう。在籍中に製作家の尾野薫を紹介され、2010年より尾野氏の工房にて直接指導を受けるようになります。その後独立し年間6~8本程のペースで極めて精緻な造作による上質なギターを製作。トーレス、ドミンゴ・エステソ、マルセロ・バルベロ1世モデル等のスペインの伝統工法に立脚した彼の楽器はどれも古き良きスパニッシュギターの味わいと響きが素直に体現されており、現在多くのジャンルのユーザーに愛されるブランドとなっています。2020年にはフランスの出版社Camino Verde刊 Orfeo Magazine No.15で彼のインタビューと楽器が紹介されました。
オルフェオマガジン「日本の製作家」特集掲載号 オンラインショップ商品ページはこちら
オルフェオ取材同行記 栗山大輔、清水優一、禰寝碧海編はこちら

〔楽器情報〕 
栗山大輔 製作 サントス・エルナンデス モデル 2023年製 No.98 Used の入荷です。スペインギターの本質を探求するものにとって(製作家であれギタリストであれ)、その最良の答えと新たな挑戦へのポテンシャルを有した名工として、何よりもまずサントス・エルナンデス(1874~1943)を通過せねばなりません。トーレスからマヌエル・ラミレス、そしてハウザーとブーシェまでの「伝統」へのオマージュモデルを製作してきた栗山氏にとって、サントスがギター製作史全体の一つの極点となっていたように、彼のラインナップの中心と自然に位置づけられてきているサントスモデル。数々の実作をじかに検分してきた氏が取り分け名品と確言するギター文化館所蔵の1924年製サントスに本器は準拠しています(ギター文化館所蔵のサントスについては製作家の中野潤 氏が自身の採寸による精密なブループリントが同館で販売されています)。近年における栗山氏のこうしたオマージュモデル群における成果はめざましく、本作もまた、極めて充実したサントスモデルとなっています。

栗山氏のオマージュモデルの一貫した特徴として、オリジナル設計から原理的に導き出される音響の純粋な再現と言えますが、そのあらゆるレベルでの解像度の高さが特筆されます。多くの同様のレプリカモデルが例えばサントスであれば100年を経過したギターの熟した音を目的とするかのような音響に着地しているのと比較して、栗山氏は上述のように原理的アプローチで直接抽出した、まさしくまっさらなギターとしてのサントスの音を提示してきます。

表面板力木構造はサウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に1本ずつのハーモニックバー、上側のバーとネック脚との間には上部を切妻型に加工した薄い補強板、またサウンドホールまわりを囲むように補強板が貼られ、扇状力木は左右対称7本を設置、これら7本の先端をボトム部で受け止めるように逆ハの字型に配置された2本のクロージングバーという設計。重量は1.33㎏。

レゾナンス Fの少し上というしっかりと低い重心設定、そのまさしくBassとしての太い低音からきりっとした高音に至るスペイン的音響設計。弦よりもむしろ板の弾性が音質化されたような、音そのものが濃密な粘性をふくんだ発音と持続、シープレス材特有の明るくさらっとした木質感を帯びた音像がなんとも心地良い。箱が震えるようにヴィヴィッドに鳴りますが、余計な音の一切が抑制されており、音そのものが現前するようなリアリティがあります。発音の反応はもちろん、表現におけるレスポンスも鋭敏で、音楽的なポテンシャルも高い一本。

表面板の高音側はやや弾きキズが多く見られますがさほどに深いものではありません。駒板下1弦側には弦とび跡の塗装タッチアップ歴があります。横裏板はわずかな塗装の擦れや白濁が見られますが軽微なものであまり目立ちません。ネック、フレットは良好な状態を維持しています。ネックシェイプはやや厚めのDシェイプ、弦高値は2.9/3.8mm (1弦/6弦 12フレット)でサドル余剰は2.5mmありますのでさらに低く設定することも可能です。糸巻はピンウェル製のものに交換されており、こちらも現状で機能的に良好です。
 





定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

製作家/商品名 清水 優一 Yuichi Shimizu演奏動画あり
モデル/品番 Model/No. ロマニリョスモデル model Romanillos No.29
005_08_shimizu_02_225_29
弦長 Scale Length 645mm
国 Country 日本 Japan
製作年 Year 2025年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides インディアンローズウッド Solid Indian Rosewood
付属品 Option ヒスコックケース 黒
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:表板 セラック
   :横裏板 セラック
糸 巻:アレッシー
弦 高:1弦 2.8mm
   :6弦 4.0mm

〔製作家情報〕                               
清水優一 Yuichi Shimizu 1980年東京都府中市生まれ。16歳の時に茶位幸信のギター製作教室に参加し、その後氏が校長を務めるフェルナンデスギター・エンジニアスクールに入学。 在学中に河野ギター製作所の桜井正毅に手紙を書き、これがきっかけとなり2000年に同製作所に入社、製作技法を学ぶと共にギターと音楽についての見識を深めていきました。 2013年の退社後すぐにその探究心の赴くままスペイン各地を廻り、ホセ・ルイス・ロマニリョス、マヌエル・カセレス、アントニオ・マリン・モンテロ、イグナシオ・フレタら名工たちの工房を訪れます。そして帰国後は禰寝孝次郎、尾野薫からのアドバイスや指導を受けながら、満を持して自身のラベルによる製作を開始。様々なジャンルの音楽と文化に対する知的好奇心、そして常に広く柔軟な視野を持ちながら、スペインギターの真髄に迫ろうとするその真摯な姿勢は一貫しており、彼の楽器はもはや端倪すべからざる高みに達していると言えます。現在は年間5本前後のペースで製作。 そのクラシカルで透徹した響きとじっくりと綿密に造り込まれた美しい仕上がりとで、こだわりを持つユーザーから高い評価を得ています。彼が河野ギター製作所時代に製作した作品をレゲエミュージック界の巨匠アール・チナ・スミスが長年愛用していることが国内のギターマガジン誌上で大きく取り上げられ、新たなファン層を拡大していることは記憶に新しい。2020年にはフランスCamino Verde社出版のOrfeo Magazine No.15 にインタビュー記事が掲載され、国内外での評価もさらに高まりを見せている若手の一人です。
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〔楽器情報〕                                  
清水優一製作 ロマニリョス 特注モデル 2025年製 No.29 Usedです。本作はクライアントによる完全オーダーメイドによる一本、いわゆるビスポークモデルになります。基本となるのは清水氏のモデルラインアップ中でも特に人気の高いホセ・ルイス・ロマニリョスのギターで、ボディ型や内部構造はロマニリョスのオリジナル設計にほぼ準拠した形で製作されています。外観においてはあの有名なモスク柱廊を表したロゼッタや矢羽根文様の象嵌細工、宗教的とも言える雰囲気を纏った尖塔風のヘッドシェイプといったロマニリョスギターの符牒ともなっているようなデザインではなく、清水氏自身のオリジナルデザインによるもので、スペイン的意匠に類するところはありつつも、氏自身の独自の感覚が通底しており、パーソナルな楽器としての存在感を持つに至っています。

表面板力木設計はロマニリョスオリジナルに正確に準拠。サウンドホール上側(ネック側)に2本、下側(ブリッジ側)に1本で計3本のハーモニックバーを配置。3本すべてのバーの高音側と低音側とに1か所ずつ長さ4センチ高さ3mmほどの開口部が設けられ、これらの開口部を垂直に交わるように(つまり表面板木目と同方向に)通過する形で高音側2本、低音側2本の力木がボディの肩部分からくびれ部分まで伸びるように平行に設置されています。そしてボディ下部(くびれより下の部分)は、左右対称7本の扇状力木に、センターの1本以外の6本の先端をボトム部で受け止めるようにちょうど逆ハの字型に設置された2本のクロージングバー、ブリッジ位置には駒板とほぼ同じ範囲をカバーするように薄い補強板が貼られているという全体の構造。表面板と横板の接合部には大小のペオネス(三角形型の木製のブロック)を交互にきれいに設置してあります。これらの配置的特徴はホセ・ルイス・ロマニリョス著「Making a Spanish Guitar」の中ではPlan1として掲載されているものと同じもので、トーレス=ハウザー的スタイルをロマニリョスが再構築したものとしてスタンダード化している設計の一つ。難度の高いこの設計を清水氏は忠実になぞるとともに、楽器全体の構造的必然性になかにしっかりと着地させています。レゾナンスはF#の少し上の設定になっています。

Plan1設計を採用したこれまでのモデルでは、清水氏はハウザー/トーレスを通過したロマニリョスによるひとつの極点ともいうべき音響を自身の音質嗜好のなかに自然に着地させ、どこまでも端正な音響を構築していましたが、本作ではトーレス的な親密なまとまりとしての音の在り方を提示しており、ギターにおける最も自然な響きが追及されています。それは例えばサントス・エルナンデスのような室内楽的な彫りの深さを持った響きや、ハウザーのような鍵盤的なバランス感とも異なる、あくまでもギターとして有機的なひとつのかたまりのような響きで、ギターそのものの自然な声のような音響だと言うことができます。しかしながら完全にトーレス的音響に着地させるのではなく、ここでしっかりとロマニリョスのあの震えるように歌う豊かな表情のポテンシャルもしっかりと備わっていることも特筆すべきでしょう。清水氏らしい、木の性質そのもののような、「等身大」という言葉が相応しい一本。

表面板のサウンドホール周りに軽微な傷が数か所あるほかは、衣服等によるわずかな摩擦あとのみの状態です。割れ等の大きな修理履歴はありません。ネック、フレットなど演奏性に関わる部分も適正な状態です。ネック形状はDシェイプで薄めに加工されており、とてもコンパクトなグリップ感。弦高値は 12フレットで1弦2.8mm/6弦4.0mmでサドル余剰は1.5~2.0mmとなっています。お好みに応じてさらに低く設定することも可能ですが、ネックシェイプのコンパクトな感触と、弦の張りが中庸なので現状でも弾き易い印象です。糸巻はイタリアの高級ブランドAlessi 製、Ramirez 1912年スタイルのプレートデザインを装着しています。






新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

製作家/商品名 桜井 正毅 Masaki Sakurai
モデル/品番 Model/No. No.305
005_10_sakuraiK_02_181
弦長 Scale Length 650mm
国 Country 日本 Japan
製作年 Year 1981年
表板 Top 杉 Solid Ceder
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド Solid South American Rosewood
付属品 Option ギグバッグ グレー
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:表板 カシュー
   :横裏板 カシュー
糸 巻:ゴトー
弦 高:1弦 2.7mm
   :6弦 3.5mm

〔製作家情報〕
桜井正毅 Masaki Sakurai 1944年東京生まれ。1967年上智大学電気電子工学科卒業と同時に、河野ギター製作所に入社し研鑽を積みます。1988年には第4回パリ国際ギター製作コンクールで第1位を獲得。その時受賞したモデルと同デザインのものがその後P.C(Paris Competition)モデルとして氏のラインナップの中でも特に人気のアイテムとなっています。
河野賢が1998年に亡くなった後は工房を引継ぎ、河野ギターを「桜井・河野」ラベルとして継承しながら、同時に自身のブランド桜井正毅としても精力的に製作を続けます。工作精度が高く、良材を使用した美しい外観はこのブランドの特徴ですが、特に日本人の体格や好みにあった抜群の演奏性と安定感は海外でも絶大な人気を博し、師の河野同様に世界的な名声を獲得してゆきます。河野ギター製作所はその後、河野賢の孫にあたる君島聡が入所し、桜井氏のもとで研鑽を積んだのちに2021年より独自のラベルでのラインナップを開始、若き後継者を加えて製作所はさらに充実した生産体制を確立します。2025年7月に81歳で永眠。

〔楽器情報〕
桜井正毅 No.305 1981年製 Usedです。国内での足固めを十分に行ったあと1988年にパリの国際コンクールで優勝することに先立つ、氏のキャリア初期と言える時期のもの。しかしながら師である河野賢の薫陶を受け、この時には十全にその製作ノウハウを受け継いでいたであろう本作は、氏ののちのラインナップと比較しても遜色のない仕上がりとこのブランド特有の音響をしっかりと確立していたことが体感できる一本となっています。表板は杉材を、横裏板には中南米ローウッド材を使用した本作は当時のラインナップの中でもハイスペックなモデルだったと考えられます。

表面板内部構造はサウンドホール上側(ネック側)に一本、下側(ブリッジ側)に大小異なるサイズの2本のハーモニックバー、サウンドホール周りは3mm以上の厚みをもつ補強板で囲み、扇状力木はセンターに配された1本を境に高音側に3本、低音側に2本の計6本をほぼ平行に近い形で配置、駒板位置には横幅いっぱいに補強プレートが貼られ、そこから少しボトム寄りのところに6本の扇状力木の範囲で細く低いバー、そしてボトム付近には1本のクロージングバーが扇状力木6本の下端を受けとめるように設置され(実際には高音側から2番目の力木のみこのバーを通過しボトムまで到達しています)。全体は6本の扇状力木と合計5本のバーとがほぼ直角に交わるような位置関係を構成しており、これは河野賢のギターや桜井氏自身ののちの設計に現れるようなより複雑な格子状配置のシンプルなヴァージョンとみることもできるものになっています。力木とバーはすべてサイズ、高さともに設定が異なっており、全体の統一的音響バランスを模索したこのブランドならではの設計になっています。レゾナンスはG~G#に設定されています。

表面板は指板両脇に割れ補修歴があり、高音側のものは内側よりパッチ補強処理がされています。また駒板高音側脇に1ヵ所、駒板下端からボトムにかけて1ヵ所の割れ修理歴があり、これらは2か所とも内側パッチ補強処理がされています。表面板は全体に一度カシューによる上塗り又は再塗装がされています。横裏板はオリジナル塗装のままで割れ等の履歴はなく、全体に塗装の若干の白濁化はみられるものの衣服等による細かな摩擦跡のみの比較的きれいな状態を維持しています。ネック、フレットなど演奏性に関わる部分は良好です。ネックはごく普通のDシェイプ。弦高値は3.0/4.0mm(1弦/6弦 12フレット)、サドル余剰は2.5~3.0mmありますのでお好みに合せてさらに低く調整することも可能です。


新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

製作家/商品名 桜井 正毅 Masaki Sakurai
モデル/品番 Model/No. スペシャル Model Special F1027A
005_10_sakuraiK_02_215_02
弦長 Scale Length 650mm
国 Country 日本 Japan
製作年 Year 2015年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド Solid South American Rosewood
付属品 Option 軽量ケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:表板 カシュー
   :横裏板 カシュー
糸 巻:ゴトー
弦 高:1弦 2.8mm
   :6弦 3.7mm

〔製作家情報〕
1944年東京生まれ。1967年上智大学電気電子工学科卒業と同時に、河野ギター製作所に入社し研鑽を積みます。1988年には第4回パリ国際ギター製作コンクールで第1位を獲得しました。その時受賞したモデルと同デザインのものがPC(Paris Competition)モデルとして氏の現在のラインナップの中でも特に人気の一本となっています。
河野賢氏が1998年に亡くなった後は工房を引継ぎ、河野ギターを「桜井・河野」ラベルとして継承しながら、同時に自身のブランド桜井正毅としても精力的に現在も製作を続けています。工作精度が高く、良材を使用した美しい外観はこのブランドの特徴ですが、特に日本人の体格や好みにあった抜群の演奏性と安定感は海外でも絶大な人気を博し、師の河野同様に世界的な名声を獲得しています。


〔楽器情報〕
桜井正毅ブランドのラインアップ中、Maestro-RF、PCに続くミドルエンドモデル「Special」(現在は廃番)の2015年製 F1027A Used 良品が入荷致しました。

ふくよかで豊かな鳴り、フィット感の良いネックシェイプ(Dシェイプ)、そして奏者のタッチへの対応範囲が広い発音とそのレスポンスなど、あらゆるギターユーザーにとっての絶妙の着地点となった演奏性のクオリティはこのモデルにも通底しており、ストレスのない弾き心地は初心者にもおすすめです。コーティングされたように光沢感のある音像がハイフレットに至るまで均質な強さで響き、曲を弾くだけで自然に整った音響バランスを形成してくれるような(クラシックギターとしては異例と言えるほどの)オートマティックな表現力、またはデフォルトとしての確固たる音響設計があるので、演奏性だけでなく表現的な面でも奏者のストレスを軽減してくれるようなところもまたこのブランドの特徴と言えるでしょう。

表面板内部構造はサウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に一本ずつのハーモニックバー、このうち下側のバーは高音側と低音側とにそれぞれ1か所ずつ小さな(高さ2mm×長さ2cmほどの)開口部が設けられています。扇状力木は5本、センターに配された1本を境に高音側に3本、低音側は横板に近接したところに(つまりこの一本だけ離れたところに)1本を設置。駒板サドルの位置とその上下(サウンドホール側とエンドブロック側)に各1本で計3本のバーを設置しています。しかしこれら3本のバーは扇状力木よりもサイズの小さい平坦な形状をしており、また3本のうち横幅いっぱいに渡っているのは駒板位置の一本のみで、その上下の2本は低音側横板には接していますが高音側は一番外側の力木のところで止まっています。レゾナンスはF#の少し下に設定されています。近年の桜井氏の同様の力木配置においては木製の平たい円形ブロックを数か所に設置して音響効果を高める独自の工夫がされていますが、本器は力木とバーのみの構造となっています。

割れなどの大きな修理、改造歴はありません。表面板の指板脇や高音側上部膨らみ部分、低音側下部膨らみ部分などに2~5㎜ほどの打痕や浅いスクラッチ痕があります。横裏板は1~2か所の1mm程度の浅い打痕と、ほとんど目立ちませんが衣服等による細かな擦れがあります。ネック裏はほんのわずかなキズのみとなっており全体にキズは総じて軽度なものなので外観を著しく損なうものではありません。ネックは厳密にはほんのわずかに順反りですが標準設定の範囲内、フレットも適正な状態です。ネックはDシェイプの通常の厚みで程よいグリップ感。弦高値は2.8/3.7mm(1弦/6弦 12フレット)でサドルには2.5~3.5mmの余剰がありますのでさらに低く設定することが可能です。ただし弦の張りは中庸ですので現在値のままでもさほどに左手はストレスを感じさせない設定になっています。


定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

製作家/商品名 西野 春平 Shunpei Nishino
モデル/品番 Model/No. TYPE30
005_12_nishinoS_02_195
弦長 Scale Length 650mm
国 Country 日本 Japan
製作年 Year 1995年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド Solid South American Rosewood
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:マホガニー
指 板:エボニー
塗 装:表板 ラッカー
   :横裏板 ラッカー
糸 巻:ゴトー
弦 高:1弦 3.2mm
   :6弦 4.2mm

〔製作家情報〕
西野春平 Shunpei Nishino 1947年茨城県の日立市生まれ。10代よりギターの製作を始め、1964年17歳の時に黒澤常三郎の工房に弟子として入門。1969年には独立して所沢に工房を設立。以来、その製作キャリア初期より傾倒していたハウザー1世ギターを研究した成果を活かし、音響バランスに優れたギターを作り続けています。国内の製作家としてはいち早くエレガットの製作にも着手するほか、その類まれな工作精度からアコースティックギターの分野からもオファーが相次ぎ、少数ながらこちらも良質なモデルを製作。しかしながら氏の特徴と美学が最もあらわれているのはのはなんといってもハウザーモデルと言えるでしょう。その造作の美しさ、艶やかな音色、音響の見事なバランスはハウザーの名前に恥じない仕上がりをどの個体でも常に維持しており、使用材もまたこの価格帯では申し分のないグレード。コストパフォーマンスの点でも国内屈指と言ってもよいブランドです。

〔楽器情報〕
西野春平 Type30 1995年製 Used の入荷です。製作当時30万円定価のモデルですが、横裏板は中南米ローズウッド仕様で現在のこのブランドのリスト中ではNo.50(定価50万円)に相当するものです。また現在の同モデルはドイツの名工ヘルマン・ハウザーのレプリカモデルとなっていますが、本作は内部構造にわずかにハウザーモデルの仕様とは異なる箇所があり(むしろ設計的にはアントニオ・デ・トーレスのギターに近い)、また板の厚みの設定や力木のサイズなども現在のハウザーモデルよりも強固な造りになっています。それゆえか、全体の響きにはどっしりとした重厚感があり、各音も力強い。整った艶やかな音像はやはり西野氏らしい、そして表情の変化にも不足なく、演奏性も中庸の設定が見極められており、いまから30年前の作ながら、さすがにその完成度はこの価格帯において抜きんでたものがあります。

表面板力木構造はサウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に各一本のハーモニックバー、左右対称7本の扇状力木にボトム部でこれらの先端を受け止めるようにV字型に配置された2本のクロージングバーという全体の配置。レゾナンスはAの少し下に設定されています。上述のとおりヘルマン・ハウザーモデルではさらに駒板位置に薄い補強プレートが貼り付けられ、また扇状力木とクロージングバーはより繊細な(幅も高さも2/3ほどのサイズの)設定になっています。またレゾナンスの位置も本作ではやや高めの設定になっています。

ネック、フレットなど演奏性に関する部分は良好な状態を維持しています。表面板は過去に一度オリジナルと同じラッカーでの再塗装が施されており、その際に細かな打痕(駒板下2弦部分の弦とび跡など)やスクラッチなどもタッチアップされています。また表面板は駒板下高音側からボトムにかけての割れ修理歴があります(内側からパッチ補強されています)。また割れは横板ボトム部分に6~7か所ほどのひび割れ補修あと、裏板高音側のボトム付近に15cmほどの割れ修理歴がありますがいずれも適切な処置がされており、継続しての使用には問題ございません。ネックシェイプはDシェイプの薄めで丸みのある形状。指板は1~5、8~10フレットで凹みの補修あとがあります。指板高音側は20フレット仕様。弦高値は3.2/4.2mm(1弦/6弦 12フレット)でサドル余剰は1.5~3.0mmありますのでお好みに応じてさらに低く設定することが可能です。

定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  198,000 円
注文数 :   

製作家/商品名 西野 春平 Shunpei Nishino
モデル/品番 Model/No. N3
005_12_nishinoS_02_224
弦長 Scale Length 650mm
国 Country 日本 Japan
製作年 Year 2024年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides インディアンローズウッド Solid Indian Rosewood
付属品 Option 軽量ケース
備考 Notes
ネック:マホガニー
指 板:エボニー
塗 装:ラッカー
糸 巻:ゴトー
弦 高:1弦 2.7mm /6弦 4.0mm

〔製作家情報〕
西野春平 Shunpei Nishino 1947年茨城県の日立市生まれ。10代よりギターの製作を始め、1964年17歳の時に黒澤常三郎の工房に弟子として入門。1969年には独立して所沢に工房を設立。以来、その製作キャリア初期より傾倒していたハウザー1世ギターを研究した成果を活かし、音響バランスに優れたギターを作り続けています。国内の製作家としてはいち早くエレガットの製作にも着手するほか、その類まれな工作精度からアコースティックギターの分野からもオファーが相次ぎ、少数ながらこちらも良質なモデルを製作。しかしながら氏の特徴と美学が最もあらわれているのはのはなんといってもハウザーモデルと言えるでしょう。その造作の美しさ、艶やかな音色、音響の見事なバランスはハウザーの名前に恥じない仕上がりをどの個体でも常に維持しており、使用材もまたこの価格帯では申し分のないグレード。コストパフォーマンスの点でも国内屈指と言ってもよいブランドです。

[楽器情報]
西野春平 モデルN3 2024年製Used 美品入荷致しました。いわゆる35号ハウザーモデルとほぼ同仕様によるモデルで、西野氏のラインナップのうち最もよく知られ、普及しているモデルです。大変に良好な状態で、表面板のサウンドホール低音側脇に一か所、同じくボトム付近に一か所軽微な打痕があるほかはほんのわずかな擦れなどがあるのみのとても綺麗な外観。ネック、フレット、糸巻きなど演奏性に関わる部分も良好です。ネックシェイプはDシェイプの普通の厚みで日本人の好みに合わせてコンパクトなフィット感。指板は高音側は20フレットで昨今の演奏事情にも対応。弦高は2.7/4.0mm(1弦/6弦 12フレット)でサドル余剰は1.5~3.0mmありますのでお好みに応じてさらに低くすることも可能です。ただし現状でも、もともとのネック差し込み角の設定が絶妙で、弦の張りも中庸ですので現状のままでも十分に楽に弾ける感触です。

表面板内部構造はサウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)1本ずつのハーモニックバー、上側のバーとネック脚との間にちょうどサウンドホールの直径の長さの範囲だけを覆うように薄い補強板を貼り付けており、ホール周りも同心円状に補強板が貼り付けられています。扇状力木は左右対称7本、ボトム部でこれらの先端を受け止めるようにV字型に配置された二本のクロージングバー、駒板位置にはブリッジプレートとほぼ同じ面積に薄い補強板が貼られています。レゾナンスはGの少し上に設定されています。上述のようにこれはヘルマン・ハウザーによるセゴビアモデルの構造を基礎としたもので、音響のバランスもそれに準じ、全体が同一の位相の中に一つの整った線を形成するようないわば鍵盤的とも言える音響設計となっており、この点においてもただの外面的なレプリカとは一線を画す、西野氏ならではの達意の仕上がりとなっているところはさすが。

定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  253,000 円
注文数 :   

製作家/商品名 三浦 隆志 Takashi Miura
モデル/品番 Model/No. 344/140 - C/AG
005_miuraT_02_200
弦長 Scale Length 644mm
国 Country 日本 Japan
製作年 Year 2000年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド Solid South American Rosewood
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:表板 セラック
   :横裏板 セラック
糸 巻:スローン
弦 高:1弦 2.9mm
   :6弦 4.2mm

[製作家情報]
三浦隆志 Takashi Miura 1951年北海道生まれ。1973年札幌にてギター製作を開始。1980年、84年スペイン、グラナダにて同地の名工アントニオ・マリン・モンテロ(1933~)にスペインの伝統的な工法について学びます。1985年帰国後、仙台に工房を設立し自身のブランドとして製作を開始。アントニオ・マリンの指導を受けたことから、日本国内におけるグラナダ派の直系と位置付けられることの多いブランドですが、伝統的なスペインギター工法を基礎としながらも、ダブルトップなどモダンタイプの製作法も実践し、それぞれ高い評価を受けている製作家です。

[楽器情報]
三浦隆志 2000年製作 344/140 C/AG Usedの入荷です。いかにもこのブランドらしい良材をセレクトし、しかるべき重厚な佇まいへと着地させた外観。氏が学んだグラナダ的な響きとは趣を異にし、色彩感が抑えられたややストイックとも言える音色が特徴で、音響的にも全体にフラットで、やや高音寄りのバランス感覚でまとめられています。

表面板力木構造はサウンドホール上側(ネック側)に2本の強固なハーモニックバー、下側(ブリッジ側)にも1本のハーモニックバー、サウンドホール両側には薄い補強板がやや広めの範囲で貼られており、それらの縁から近接する横板とをつなぐように短い力木が高音側と低音側とにそれぞれ1本ずつが設置されています。また上記のホール下側ハーモニックバーは低音側から高音側に向かって表面板を斜めに下がってゆくようにして設置されています。表面板ウエストより下は左右対称7本の扇状力木にこれらの先端をボトム部で受け止めるように2本のクロージングバーを設置、駒板部分にはほぼ同じ面積の薄い補強板が貼られています。ボトム部に設置された2本のクロージングバーは長さが左右対称ではなく、高音側がほんの少し長くなっている設計で、通常ならV字型(または逆ハの字型)で配置されるところ、ここではむしろ逆ヘの字型の配置となっています。また7本の扇状力木のうち、センターの1本はサウンドホール下側のバーを貫通しホール縁まで延伸しており、ボトムのほうもクロージングバーを貫通しエンドブロックまで到達しています。さらに一番外側(高音側と低音側)の2本はやはりクロージングバーを貫通しボトムまで到達しています(ホール側はバーの手前で止まっています)。レゾナンスはGの少し上に設定されています。

表面板のサウンドホール高音側にやや弾き傷多めに見られますが浅いもので、その他指板脇や駒板下なども掻き傷ありますがやはりいずれも浅く軽微なものなのであまり目立ちません。横裏板は塗装の細かいウェザーチェックや演奏時に衣服の触れる部分に擦れなどを生じていますが著しく外観を損ねるものではありません。割れ等の修理履歴はありませんが、ボディ内部のネック脚の木部に幅5mm 長さ1.5㎝ほどの欠けがあります。強度上の問題はありません。ネック、フレットなど演奏性に関わる部分も良好です。ネックは薄めでフラットな形状のDシェイプ。指板高音側は20フレット仕様になっています。弦高値2.9/4.2mm(1弦/6弦 12フレット)、サドル余剰は1.5~3.0mmありますのでお好みに応じてさらに低く設定することが可能です。


定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

製作家/商品名 中山 修 Osamu Nakayama演奏動画あり
モデル/品番 Model/No. Bamboo Guitar
005_NakayamaO_02_209_04
弦長 Scale Length 650mm
国 Country 日本 Japan
製作年 Year 2009年
表板 Top 松 Solid Spruce
横裏板 Back & Sides 孟宗竹 Bamboo
付属品 Option 軽量ケース
備考 Notes
ネック:孟宗竹
指 板:エボニー
塗 装:表板 ポリウレタン
   :横裏板 ポリウレタン
糸 巻:ゴトー
弦 高:1弦 3.0mm
   :6弦 4.2mm

〔製作家情報〕
1941年 秋田県に生まれ、新潟県で育つ。中学の時からクラシックギターの演奏を始め、東京に出て小原安正に師事。1960年にはスペインに渡り、ナルシソ・イエペスに師事します。この時現地のギター製作家から自身が所持していた国産ギターを酷評されたのをきっかけに発奮し、本場スペインのギター製作を学ぶことを決意します。師イエペスにより当時まさに隆盛を極めんとしていたホセ・ラミレス3世の工房を紹介され、9年もの間、昼は演奏を夜はギター工房で製作修行をする日々を過ごします。帰国後に長野に工房を構え、自身が製作したモデルをイエペスが使用するなどしてその名声と評価は高まりますが、1979年38歳の時に事故により両手を負傷、深い絶望とともに演奏と製作の両方を完全に断念します。その後九州の久留米に転居して木工職人として働いていましたが、夢に現れた「竹製のギター」が啓示となり、製作を辞してから21年後の2000年に地元久留米の孟宗竹を使用してクラシックギターを再び製作することを決意。前例のないギターだけに3年の試行錯誤を経てようやく最初の一本を製作。その後も改良を続ける内にユーザーの評価も注目度も高まりを見せるようになり、おそらく世界で唯一の竹製ギターは文字通り中山修ブランドのフラッグシップモデルとして人気を博すことになります。

中山氏自身の説明によると、Bamboo Guitar に使われる竹は工房がある福岡県久留米市の孟宗竹のみを使用。1本につき直径18cmほどの竹を8本、それを4つ割りにして釜茹でした後に半年間じっくりと日干しにする。細く切った竹板を80枚以上貼り合わせて厚さ9センチの合板を作りあげ、それをギター各部の部材として加工して組み合わせるだという。竹という素材の性質からその加工には非常な困難が伴いますが、これを細心の注意を払って作業をすることで造作的にも音響的にも完成度の高い1本として仕上げる技量は見事なもので、同時に彼の製作家としての出自たるスペインギターへの深い敬意も感じられる作品は非常な魅力があり、熱心なファン層を形成しています。


〔楽器情報〕
中山修製作のバンブーギター 2009年製 Used美品の入荷です。表面板は松、横裏板は孟宗竹を使用したモデル、まずは誰もが清澄でしかし野性的な竹ならではのヴィジュアルに目が奪われるでしょう。表面板はやや飴色がかったヴィンテージニュアンスの松材を使用しており、これが孟宗竹との不思議なコントラストを生み出しています。

表面板力木構造はサウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に一本ずつのハーモニックバー、そして表面板低音側上部のふくらみ部分から高音側下部のふくらみ部分へと斜めに横切るように設置されたもう一本のバー(このバーはサウンドホール下に設置されたハーモニックバーとちょうどその中央で交差している)が設置され、扇状力木は計6本がセンターに配置された一本を境に高音側に2本、低音側に3本の配置となっており、ボトム部分でそれらの先端を受け止めるように2本のクロージングバーがハの字型に配置されています。ブリッジ位置には駒板よりも長く、ほぼ横幅いっぱいに渡ってパッチ板が貼られています。レゾナンスはG#の少し上に設定されています。2本のハーモニックバーと斜めに交差するバーの3本とも低音側に4~5cmほどの低い開口部が設けられており、これを含む上記の表面板内部構造は彼がスペインで製作修行をしたホセ・ラミレス3世の有名な「1A」 モデルを踏襲しています。

松と竹材との組み合わせによる音響はやはりとてもすっきりとしたもので、単音は硬めのきりっとした音像が低音から高音まで均質に行き渡っており、スペインギター的などっしりとした重心感覚とは異なりフラットな感覚。そこに竹材特有のドライな響きとラミレス的表情が不思議に合わさって、古楽器的とも南米的とも言える音色を作り上げており、これがなかなか個性的。

ほぼ無傷で修理履歴のない美品です。ネック(これも孟宗竹製)、フレットなどの演奏性に関する部分も良好な状態。ネック形状はやや厚みのあるDシェイプでフラットな加工がされており、指板はクラシックギターとしてはやや強めのラウンド加工が施されています。弦の張りは柔らかめなので両手ともに演奏上のストレスが軽減されています。弦高値は3.0/4.2mm(1弦/6弦 12フレット)でサドルには1.0~1.5mmの余剰がありますのでお好みに応じて調整が可能です。





品切れ 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  198,000 円


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