ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:セラック
糸 巻:木ペグ(ペグヘッズ)
弦 高:1弦 2.8mm/6弦 3.7mm
〔製作家情報〕
1966年生まれ。スペイン、グラナダの製作家。父親は同地の代表的な名工の一人マヌエル・ベジードで叔父はやはり製作家のホセ・ロペス・ベジード。13歳のころより父の工房に入り、17歳で最初のギターを製作しています。1989~1995の間はギター製作の講師としての職に就き、その後最初の工房を設立して製作に専念。1999年に父マヌエルの工房に戻り現在に致ります。古今の名工たちの多くのギターを修理や復元した経験から、特に自国の銘器に対する造詣が深く、それは彼の作るトーレス、サントス・エルナンデス、マヌエル・デ・ラ・チーカなどのレプリカモデルに顕著に反映されています。また彼のオリジナルモデルもまたこうしたヴィンテージギターのように素朴で明朗、木質の味わい深い響きと迫力を同時に備えており、古き良きアンダルシアの音を蘇らせたものとして高く評価されています。発音は生々しく、非常な速さで立ち上がってくる音はダイナミックレンジ、音量ともに比類ありません。造作にはやや粗さが見られるものの、セラック塗装でいかにも手作りといったその外観は音色同様に素朴なたたずまいを見せ、やはり魅力の一つとされています。
〔楽器情報〕
ヘスス・ベジード製作のトーレスモデル (Torres 6とラベルには表記)2007年製Usedの入荷です。彼自身のオリジナルモデルとともに常にラインナップされている「トーレス」のひとつ。同地グラナダの先達マヌエル・デ・ラ・チーカのレプリカをはじめとするヴィンテージシリーズは彼の純粋な敬意が表れたどれも秀逸なものですが、クラシックギターの祖と言えるトーレスに対してはやはり特別なものがあったようです。よく知られているのは1883年製 SE54 のレプリカで、19世紀ギターを思わせる小柄なプロポーションでボディ厚も薄く、しかし豊かな鳴りを備えた魅力的なトーレスモデルですが、本作Torres 6はそれよりも現代的なサイズ感に近いミドルサイズのトーレス。
糸巻はPegheds製のギア付き木製ペグ仕様。そのためもあってかヘススらしい、耳に直接触れてくるような生々しい木質の響きで、彫りが深く、程よく粘り、弦に触れるだけで反応するような発音の鋭敏さが特徴的。そして特に高音は意外なほどにしっかりと艶を湛えており、これが古雅とフレッシュネスが同居したような音響を生み出しています。
彼のこうした特性はオリジナルと非常に相性が良く、実に自然にトーレス的キャラクターとして着地しています。現在世界中のあまたのブランドが同様のモデルを製作していますが、そのほとんどが現代的感覚でいわば rework あるいは remodel した楽器となっているのに対して、ヘススのそれはまさにreplicaとしての19世紀的な存在感を放っています。
表面板内部構造はサウンドホール上下に1本ずつのハーモニックバー、ボディ下部は左右対称5本の扇状力木、駒板位置には薄い補強プレートが貼られているという配置。ボトム部にクロージングバーは設置されておりません。5本の扇状力木はが駒板の幅の中に収まるようにして設置されており、これは上記1883年 SE54のスタイルを踏襲しているとのこと。レゾナンスはG#の少し上に設定されています。
全面オリジナルのセラック塗装で、表面板の特にサウンドホール周辺はやや演奏時の搔き傷が目立ちますが年代相応のレベルです。割れなどの大きな修理履歴はありません。ネックは厳密にはわずかに順反りですが許容範囲、フレットは適正値を維持しています。ネックシェイプは薄くフラットなDシェイプでベジードの特徴的な仕様です。
この後2010年前後からヘススのギターはさらに軽量化し、塗装はさらに繊細に、ボディ厚も薄くした仕様へと一旦シフトしてゆきますが、本作はその直前の、製作家の嗜好とモデルが要求するものとが円満なバランスで体現された一本となっています。
〔商品情報〕
楽器名 | ヘスス・ベジード Jesus Bellido |
カテゴリ | 輸入クラシック 中古 |
品番/モデル | トーレスモデル Torres 6 |
弦 長 | 644mm |
国 | スペイン Spain |
製作年 | 2007年 |
表 板 | 松単板 Spruce |
裏 板 | 中南米ローズウッド単板 South American Rosewood |
程 度※ | 7 |
定 価 | 時価 |
販売価格(税込) | お問い合わせ下さい。 |
付属品 | ケース別売 |