ネック:セドロ
指 板:黒檀
塗 装:ラッカー
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 2.6mm /6弦 3.0mm
〔製作家情報〕
アンティグア・カサ・ヌニェスは アルゼンチンのブエノスアイレスで設立され、150年以上にわたって現在も営業を続けているショップ&ファクトリーです。もともとはスペイン人の Francisco Nunez Rodriguez(1841~1919)が1858年にブエノスアイレスに移住し、同地の製作家 Salvador Ramirez Gonzalezにギター製作を師事、その後1870年に前身となる「Casa Nunez」 を設立したのが始まり。現在の大規模な生産体制とは異なり Nunez 自身は年に20~30本ほどのペースで地道に製作を続けていましたが、晩年には経営が危ぶみ、1919年 貧困のうちにその生涯を閉じます。しかしこの後 Francicso Diego と Dionisio Gracia の二人の製作家が工房を引継ぎ、1925年に「Antigua Casa Nunez」 と改名してファクトリーを再稼働。第二次世界大戦の前後には南米でのギター需要が非常な高まりを見せ(スペインなどでも作られたギターの多くがこの時期南米に輸出されています)Nunez ブランドもそうした潮流に乗り、飛躍的に生産本数を上げて地歩を固めてゆきます。Diego と Gracia は共同で(Diego y Gracia 名義)またはそれぞれ単独で製作または監修を行い、19世紀後半のスペインギターを思わせる意匠や、かなり大胆な内部構造を採用するなどブランドのアイデンティティを高めるのに成功しています。日本でも南米音楽やジャズなどの音楽家、またフォルクローレの演奏家等からの注目を集め、特に40~60年代のものは中古市場でも人気のアイテムとなっています。
〔楽器情報〕
アンティグア・カサ・ヌニェス 1975年製、グラン・コンシエルト Exposition モデルのUsed入荷です。黒、赤、薄緑を組み合わせた大きなロゼッタとパーフリングのデザイン、使用している中南米産ローズウッドの野趣のある木目、彫刻を施したヘッドプレート、これら全体が醸し出すエキゾチックな佇まいはいかにもこの老舗ブランドらしく独特の味わいがあります。
南米のギターらしい深い奥行きを持った響きで、たっぷりとした低音から高音部に移動するにつれて音がくっきりと前景化してくるような独特の音響感覚があります。指にまとわりつくような粘りを持った発音で、これが和音になると湿度を帯びた響きになり、南米的なロマンティシズムが表出してきます。
表面板内部構造は非常に個性的。サウンドホール上側(ネック側)に水平に1本、下側(ブリッジ側)に低音側から高音側に向かって斜めに下がってゆくように設置された1本のハーモニックバー、そしてこれとは逆に高音側から低音側に向かって斜めに下がってゆくように5本の力木が平行に等間隔に配置され、さらに高音側の横板に近接したところで横板のラインに沿うように2本の力木が設置されています。これは伝統的な扇状力木配置でも、モダンスタイルの格子状力木でもなく、表面板下部を木目に対し一方向から斜めに交差する力木でまんべんなく覆う形に配置したもので、完全にアシンメトリな構造になっています。レゾナンスはG~G#に設定されています。
造り自体にやや粗さがあるものの、現時点で割れ等の修理履歴はなく、弾き傷等も年代相応のレベルです。ラッカーによる塗装は経年変化により塗装表面に細かなクラック(ウェザーチェック)を生じていますが、現状での継続しての使用に問題ありません。ネック、フレットなどの演奏性に関わる部分での問題もありません。ネックシェイプは非常に薄いCシェイプでコンパクトなグリップ感。表面板の内側のブリッジ部分に2か所ボルトによる駒板の固定が施されています。糸巻はフステーロ製を装着しておりこちらも機能に問題ありません。
〔商品情報〕
楽器名 | アンティグア・カサ・ヌニェス Antigua Casa Nunez |
カテゴリ | 輸入クラシック オールド |
品番/モデル | Exposicion 97030 |
弦 長 | 650mm |
国 | アルゼンチン Argentin |
製作年 | 1974年 |
表 板 | 松単板 Spruce |
裏 板 | 中南米ローズウッド合板 South American rosewood |
程 度※ | 7 |
定 価 | 時価 |
販売価格(税込) | 220,000 円 |
付属品 | ハードケース茶 |