ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:セラック
糸 巻:シャーラー(グランドチューン)
弦 高:1弦 2.7mm/6弦 3.3mm
[製作家情報]
1960年 スペイン、グラナダ生まれ。同地を代表する名工アントニオ・マリン・モンテロ(1933~)は彼の叔父にあたります。1974年14歳の時に当時マヌエル・ベジードと共同製作をしていたアントニオの工房に入り、最初は主に塗装を担当しながら、並行して少しずつギター製作も学び、従事してゆきます。1979年にアントニオとともに同じグラナダの cuesta del Caidero に新しく独立した工房を開き、同年19歳で最初のギターを製作、この時より正式にマリン工房の製作家としての活動を開始します。ここで彼は自身のオリジナルラベルによる生産ラインを確立しますが、その後も袂を分かつことなく叔父アントニオと共にそれぞれのラベルによる製作を現在も続けています。また1979年はアントニオがそれに先立つ1977年より親交を深めていたフランスのロベール・ブーシェとの2度目の交流により、自身のマリン=ブーシェスタイルを確立した年でもあり、ホセはこの二人の巨匠の邂逅とそれによって生み出された製作メソッドをリアルタイムで学んでいます。
ホセのギターは叔父アントニオの工法と作風を十全に受け継ぎながら、音響と造作の両方において彼ならではの洗練を施した極めて質の高いモデルとなっており、現在のグラナダのスタンダードをもっとも円満に体現していると言えます。メインモデルとなるブーシェタイプの他、慧眼すべき見事なトーレスモデル、良質なフラメンコモデル等も製作。
〔楽器情報〕
ホセ・マリン・プラスエロ製作 アウラショップオリジナル 2022年新作の入荷です。グラナダを象徴する石榴(ザクロ)をモチーフにしたモザイクとラベルを採用し、工房ストックの中から最高級の材を選定して使用、そして美しいセラック塗装による仕上げ、気品あふれる佇まいがまずは特筆すべき点となっています。
内部構造はサウンドホール上側に2本、下側に1本のハーモニックバー、そしてほぼ平行に近い角度で配置された左右対称5本の扇状力木が、ちょうどブリッジの位置に横幅いっぱいに渡って設置された1本のバー(トランスヴァースバー)を貫通しボトム部まで伸びているブーシェ特有のパターンを踏襲。レゾナンスはG#~Aに設定されています。
基本的には叔父アントニオ作ブーシェモデルを踏襲しているものの、その音像や発音はよりシャープで硬質。分離の良さと適度なサスティーン、豊かな音量とそのダイナミズム、鋭敏な反応など、スペインギターのエッセンスとコンサートギターの必要条件とを兼ね備えています。そしてグラナダ派ならではの、高く抜けてゆくような透明感ある響きがなんとも素晴らしい。演奏性もまた秀逸。ネックシェイプはCラウンドの薄めの加工、弦高の初期値も低めの設定となっており左手のストレスが軽減されているのに加え、上述の通り音量のダイナミズムと俊敏な発音により右手もまた楽に弾ける感覚があります。
巨匠アントニオとともにいまやスペインを代表するブランドとして国際的に高く評価されているマリン工房。グラナダサウンドのエッセンスを十全に備えた見事なモデル、貴重な新作の入荷です。