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区分 輸入クラシック オールド
製作家/商品名 アルカンヘル・フェルナンデス Arcangel Fernandez
モデル/品番 Model/No.
001_020_arcangel_03_203
弦長 Scale Length 650mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 2003年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド単板 South American Rosewood
付属品 Option ハードケース(ヒスコック)
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:セラック
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 3.0mm/6弦 4.0mm

[製作家情報]
1931年スペイン、マドリッド生まれ。マヌエル・ラミレス、サントス・エルナンデスから続くマドリッド派の哲学を真に継承し、頑ななまでにそれを護り通したほとんど唯一の職人であり、その芸術性においても極点を示した20世紀後半のスペインを代表する製作家です。

少年時代は映画俳優志望で実際に数本の映画にも出演、13歳になると家具職人として働き始め、同時にフラメンコギターの演奏も始めます。相当な腕前だった彼は兵役を終えた頃にはプロギタリストとしての道を模索するようになりますが、1954年、当時サントス・エルナンデス(1874~1943)の後継者とされていた名工マルセロ・バルベロ1世(1904~1956)の知己を得てその工房に足繁く通うようになると、この名工のすすめに応じて弟子入りします。アルカンヘルは師バルベロの作るギターに強い興味を抱き、持ち前の探求心で加速度的に製作の腕前を上げ、瞬く間に職人として成長してゆきます。しかしバルベロは1956年に52歳の若さで他界。わずか2年間に学んだことを糧に、唯一の弟子であったアルカンヘルはバルベロの残された注文分のギターをすべて製作した後、1957年に師の工房の近くヘスス・イ・マリア通りに自身の工房を設立。この開始時からアルカンヘルの職人としての充実度はすさまじいほどで、造作と音響の両方において若さゆえの甘さなどみじんもなく、透徹した精神が隅々まで行き渡った名品を作り出しています。そしてそれはその後50年に渡り一切弛緩することなく続いてゆくことになります。後年には師の息子マルセロ・バルベロ・イーホ(1943~2005)がスタッフに加わり、共に同じ工房で製作を続けていました。

自身のラベルによるものはクラシック、フラメンコそれぞれ一貫してワンモデルのみを製作。それ以外には工房品(「Para Casa Arcangel Fernandez」ラベル)としてバルベロ・イーホやマヌエル・カセレスらが製作を担当して出荷もしています。この二人はそれぞれ自身のオリジナルラベルでの製作も行っていますが、アルカンヘル工房品として出荷されたものも完全手工品として(ラベルには製作者の名前が明記されています)極めて高いクオリティのもので評価も高く、現在中古市場でも人気のアイテムとなっています。

アルカンヘルの造作、材の選定、そしてなによりも音色に対する一切の妥協を排した製作姿勢は彼の人柄もあいまって孤高の趣を呈し、彼の楽器はそのあまりの完成度の高さゆえに、演奏者に非常な技術の洗練を要求するものとなっております。それゆえに多くのギタリストを刺激し続けている稀有な楽器ですが、2011年に製作を引退。現在ではますます稀少となっている名ブランドの一つです。


[楽器情報]
アルカンヘル・フェルナンデス 2003年製作 クラシックモデルUsed の入荷です。名工アルカンヘルの達意のクラシック、マドリッド派の純粋形態を21世紀の現在に具現化したような一本で、まさに逸品です。いかにも彼らしい硬質な、強い粘りを持った発音で、倍音を抑えた音像は一つ一つが洗練されており、凛としてストイックな佇まい。旋律になると全く自然なしなやかさとうねりを生み出し、音は楽想に応じて(あくまでも控えめながら)可愛らしさからデモーニッシュなものまでも表出する、そのクラシカルな表現力が素晴らしい。スパニッシュギターらしい重厚で豊かな音量を備えていますが、「箱がよく鳴っている」というよりも、何か大きなものがそこに存在してるかのようなアルカンヘルの特徴的な音圧感。それはモダンギター的な、小さなものを増幅しているような(どこか無理やりな感がなくもない)音量のあり方とは全く異なる極めて有機的なもので、ギターという楽器の自然な性質として現れた音圧の高さであり、その迫力はやはり比類がありません。音響バランスもすぐれていて、重心の低いしっかりとした低音から繊細かつ力強い高音までの自然なつながり。それでいて各弦はそれぞれに明確なアイデンティティを持っており、ポリフォニックな曲においては各声部の性格をしっかりと弾き分けることができます。しばしば引き合いに出される「小さなオーケストラ」のたとえを参照するなら、ここではむしろ弦楽四重奏的な、より緊密な音響が立ち現れてきます。

表面板力木配置はサウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に一本ずつのハーモニックバー、扇状力木は6本が、センターに配置された1本を境として低音側に2本、高音側に3本配置され、ボトム部でそれらの先端を受け止めるようにハの字型のクロージングバーを設置、駒板位置にはほぼ横幅いっぱいに補強プレートが貼られている、アルカンヘルのクラッシックモデルの定式の配置となっています(これらのバーや力木はそれぞれ通常のギターよりも太く高く、強固に作られています)。レゾナンスはG#の少し下に設定されています。

コンディションはとても良好で、表面板サウンドホールまわりにわずかに微細な弾き傷、ブリッジ下1弦部分に弦とび補修あとがあるほかはわずかに衣服の摩擦があるのみのとなっています。ネック、フレット等演奏性に関わる部分も問題ございません。ネックは普通の厚みの
Dシェイプ。弦高は3.0/4.0mm(1弦/6弦 12フレット)でサドルには1.5~2.0mmの余剰がありますのでさらに低く設定することが可能です。糸巻はスペインの老舗ブランドFustero製を装着しており、こちらも現状で機能に問題ありません。


新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

区分 輸入フラメンコ オールド
製作家/商品名 アルカンヘル・フェルナンデス Arcangel Fernandez
モデル/品番 Model/No. フラメンコ ブランカ No.71
001_020_arcangel_1_03_159_01
弦長 Scale Length 658mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 1959年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides シープレス単板 Cypress
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:マホガニー
指 板:エボニー
塗 装:セラック
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 2.0mm/6弦 3.2mm

[製作家情報]
1931年スペイン、マドリッド生まれ。少年時代には映画俳優になることを夢見て、実際に数本の映画にも出演したほど。しかし13歳になると家具職人として働き始め、同時にフラメンコギターを弾くようになると忽ち演奏の腕前を上げていった彼は、兵役を終えたのちプロギタリストのとしての道を模索します。そのような折の1954年、当時サントス・エルナンデスの後継者とされていた名工マルセロ・バルベロ1世(1904~1956)の知己を得て、その工房に足繁く通うようになります。この名工にギター製作をすすめられ、やがて唯一の弟子として工房に入ることになり、アルカンヘルはギタリストと製作とを両立する生活を当初はしていました。しかし自身も家具製作で培った高い木工技術の持ち主であり同時に優れたギタリストであるアルカンヘルは、師の作るギターの音そして工法とに強い興味を抱くようになり、持ち前の探求心で加速度的に製作の腕前を上げ、瞬く間にバルベロの片腕となるまでに成長します。しかしバルベロは1956年に52歳の若さで他界。わずか2年間に学んだことを糧に、アルカンヘルはバルベロの残された注文分をすべて製作した後、師の工房の近くヘスス・イ・マリア通りに1957年自身の工房を立ち上げます。後年には師の息子マルセロ・バルベロ・イーホ(1943~2005)がスタッフに加わり、共に製作を続けていました。

造作、材の選定、そしてなによりも音色に対する一切の妥協を排した製作姿勢は彼の人柄もあいまって孤高の趣を呈し、彼の楽器はそのあまりの完成度の高さゆえに、演奏者に非常な技術の洗練を要求するものとなっております。それゆえに多くのギタリストを刺激し続けている稀有な楽器ですが、2011年に製作を引退。現在ではますます稀少となっている名ブランドの一つです。


[楽器情報]
アルカンヘル・フェルナンデス製作、フラメンコブランカ 1959年 No.71 Usedの入荷です。この製作家のフラメンコモデルについて語るとき、やはりサントス・エルナンデスから師であるマルセロ・バルベロ1世、そして自身へと繋がる系譜が自然に思い起こされます。この三人の名工によって作られたそれぞれのギターが持つストイックなまでの気品と力強さ、妙なる表情の変化と深みはスペインギターのエッセンスを体現しており、21世紀に至るまでアルカンヘルがそれを継承したことの功績は計り知れないものがあります。本器1959年製はアルカンヘルが独立してわずか2年目の作ですが、フラメンコとしての機能性を完璧と言えるレベルで備えており、多くを含みながら語り過ぎず悠然とした響き、といった彼の揺るぎのない個性が深く刻印された逸品となっています。

アルカンヘルにおける音圧の高さは独特なもので、増幅された音量というよりは木のごく自然な性質としての響きの大きさをそのまま音に純化したようなマッシヴな質量感があり、何か大きなものがそこに存在してるかのような異様な迫力があります(これは彼のクラシックモデルにも同様に言えます)。そしてその音色もまた極度に洗練され、ストイックなまでに渋いのですが表情の変化は実は繊細かつ多彩。発音における反応性、サスティーン、ダイナミズムも申し分なく、このジャンル特有の身振り(リズムの強さと速さ、旋律のうねりなど)に十全に対応する機能性の高さ、その絶妙の着地点はさすがに自身すぐれたフラメンコギタリストであった彼ならでは。音像はシャープ過ぎず、むしろ現代のフラメンコギターよりもやや角の取れた感触でこれがまた耳に心地よく魅力的。

表面板内部構造はサウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に各一本のハーモニックバー、そして左右対称5本のそれぞれが太く厚めに加工された扇状力木が中央に寄り添うように(ブリッジプレートの幅に収まるように)配置され、それらの先端をボトム部で受け止めるようにハの字型に配置された2本のクロージングバー、駒板の位置には薄いパッチ板が貼られているという全体の配置。レゾナンスはF~F#に設定されています。2本のクロージングバーの中央角に変化はありますが、これはアルカンヘルがフラメンコモデルで変わらず採用し続けた基本構造となっています。

全面セラックのよる再塗装が施されています(出荷時のオリジナル仕様もセラック塗装)。表面板は指板両脇歴に各一か所とサウンドホールからブリッジプレートにかけてに一か所(内側よりパッチ補修あり、表側はゴルペ板の下になります)の割れ補修歴があります。また裏板センターよりやや高音側寄りのボトム部分に割れ補修歴があります。ブリッジプレート下1弦位置に弦とび補修あと、その他全体に細かな弾きキズ、スクラッチ痕などありますが年代考慮すると良好と言える状態。板は経年による歪みなどがほとんどなく、ネックは真っ直ぐで、フレットも適正値を維持しています。ネック形状はフラットな加工がされた薄めのDシェイプ。弦高値は2.0/3.2mm(1弦/6弦 12フレット)でサドル余剰1.0~1.5mmとなっています。糸巻はスペインの老舗ブランド フステーロを装着しています。



新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

区分 輸入クラシック オールド
製作家/商品名 ポール・フィッシャー Paul Fischer
モデル/品番 Model/No. コンセルヴァトワール Conservatoire
001_fischerP_03_194
弦長 Scale Length 640mm
国 Country イギリス England
製作年 Year 1994年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド単板 South American Rosewood
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:ラッカー
糸 巻:ロジャース
弦 高:1弦 2.8mm/6弦 4.0 mm

〔製作家情報〕
1941年イギリス生まれ。オックスフォードに育ち、同地に工房を開きます。Robert Gobleのもとでハープシコードの製作を学び、またその他の楽器に対する造詣も深く、ヨーロッパ的な伝統に広く通暁した知性的な製作家として知られています。同国の名工デビッド・ホセ・ルビオの工房で1969年より職人としてギター製作に従事し、職工長としてPFのスタンプが許されます(PFのイニシャルが刻印されたルビオギターは現在も中古市場で愛好家の高い評価を得ています)。1975年に独立して工房を設立。最初はルビオ的な構造を踏襲したギターでしたが、これまでの研鑽とオックスフォード大学で学んだ経験をもとに、科学的な見地から音響と構造の関係を探求、独自の力木配置によるギターを製作し始めるようになります。その結果音色と音響は高度に洗練され、従来のギターでは得られなかった均整感、個性的な発音を備えた楽器となり、音響バランスにこだわる多くのプロギタリストたちから高い評価を得て、20世紀の最後に世界で最も売れたブランドの一つとなります。

〔楽器情報〕
ポール・フィッシャー製作 1994年製 Conservatoire(コンセルヴァトワール)モデル 640㎜のショートスケール仕様の Usedです。 Virtuosoと並んでこのブランドのフラッグシップモデルとなっているフィッシャー的個性に溢れた一本。注目すべきはその表面板内部構造で、彼が ’TAUT’ システムと名付けた格子状の力木配置。表面板上部はサウンドホール上側(ネック側)に2本、下側(ブリッジ側)に1本で計3本のハーモックバーで通常のスパニッシュスタイルですが、表面板下部は計4本のトランスヴァースバーが等間隔に設置され(うち一本はちょうどブリッジサドルの位置に設置されている)これらと直角に交差するように11本の長短の力木が板の木目に沿って等間隔に隅々にまで設置されており、精緻な格子状構造を形成しています。これらの力木とバーの高さと大きさは高音側と低音側とで同じサイズで加工されており、全体が均質な振動特性を得られるような工夫がされています。レゾナンスはAの上に設定されています。薄い表面板と格子状力木構造との組み合わせはオーストラリアの製作家グレッグ・スモールマンが開発したギターが有名ですが、スモールマンは表面板の木目に対し45度の角度で力木を交差させることで、菱形状の格子構造を表面板に行き渡らせるように作られています。

低音から高音までの全ての音が均質に、同じフェーズで響いているような整ったバランス感覚があり、どの音も互いに自然に繋がるような(ギターとしてはむしろ特異と言える)音響設計が試みられています。そしてそのフラットな音響の中で、一つ一つの音には表情の意外なまでの深さと多彩さがあり、また音楽的な身振り(スラ―、スタッカート、ヴィブラート、そして速い旋律等)における反応性も非常なものがあります。

割れなどの大きな修理履歴はございません。表面板はサウンドホール周辺やブリッジ下などに細かな弾きキズや摩擦痕等が集中して見られますが年代相応のレベル、また全体はラッカー塗装のひび割れが生じていますが現状で継続使用に問題ありません。横裏板は衣服などによる細かな摩擦あとと数か所の小さな打痕等のみで良好な状態。ネックは真っ直ぐを維持しており、フレットも適正値を維持しています。ネック形状は通常の厚みのDシェイプ。弦長が640㎜のショートスケール設定に加え、ナット幅は49.5mm、ナット弦幅も41.0mmとコンパクトなサイズ感になっています。糸巻はカナダの高級ブランドRodgers製を装着しており、こちらも現状で動作状況に問題ありません。


新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

区分 輸入クラシック オールド
製作家/商品名 ポール・フィッシャー Paul Fischer
モデル/品番 Model/No. アルト ALTO No.906
001_fischerP_03_195
弦長 Scale Length 542mm
国 Country イギリス England
製作年 Year 1995年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド単板 South American Rosewood
付属品 Option 専用ハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:ラッカー
糸 巻:メイシー
弦 高:1弦 2.9mm/6弦 4.0mm

〔製作家情報〕
1941年イギリス生まれ。オックスフォードに育ち、同地に工房を開きます。Robert Gobleのもとでハープシコードの製作を学び、またその他の楽器に対する造詣も深く、ヨーロッパ的な伝統に広く通暁した知性的な製作家として知られています。同国の名工デビッド・ホセ・ルビオの工房で1969年より職人としてギター製作に従事し、職工長としてPFのスタンプが許されます(PFのイニシャルが刻印されたルビオギターは現在も中古市場で愛好家の高い評価を得ています)。1975年に独立して工房を設立。最初はルビオ的な構造を踏襲したギターでしたが、これまでの研鑽とオックスフォード大学で学んだ経験をもとに、科学的な見地から音響と構造の関係を探求、独自の力木配置によるギターを製作し始めるようになります。その結果音色と音響は高度に洗練され、従来のギターでは得られなかった均整感、個性的な発音を備えた楽器となり、音響バランスにこだわる多くのプロギタリストたちから高い評価を得て、20世紀の最後に世界で最も売れたブランドの一つとなります。


〔楽器情報〕
ポール・フィッシャー製作のアルトギター、1995年製 No.905 Usedの入荷です。彼の通常サイズでのフラッグシップモデルとなるConcervatoire や Virtuosoのハイスペックな仕様をそのまま落とし込んだようなギターで、使用木材のグレード、デザインから細部の仕上げ、そして音響的な質とバランスにおいて極めて充実したアルトとなっています。透明感のある洗練された音色はいかにも高級感があり、また重心もしっかりした響きなので合奏用としてだけでなく単独での使用でも十分に楽しめます。表面板内部構造は7本の左右対称の扇状力木とV字型に配置された2本のクロージングバー、そしてサウンドホール上下に計3本のハーモニックバーというオーソドックスなスタイル。レゾナンスはA#の少し上に設定されています。アルトの基本チューニングは B、E、A、D,F#,B となっていますが、レキントチューニング(A、D、G、C、E、A)に落としてご使用頂く事も可能です。

表面板全体はラッカー塗装に細かくにウェザーチェック(ひび割れ)が入っておりますが塗装の性質上、経年での標準的な症状ですので使用には全く問題ありません。サウンドホール周りなど少々弾きキズ、またブリッジ下1弦2弦位置に弦とび跡があります。横裏板は傷はほとんどなくとてもきれいな状態ですが、裏板センター付近に1か所木目に沿っての割れ補修歴があります。ただしとても丁寧に補修がされており、内側からもパッチ補強がされていますので見た目と状態ともに問題ありません。ネックは真っすぐを維持しており、フレットも摩耗なく良好な状態。糸巻きも動作状況問題ありません。Kingham Case社製の高級専用ハードケース付き。

新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  330,000 円
注文数 :   

区分 輸入クラシック オールド
製作家/商品名 ポール・フィッシャー Paul Fischer
モデル/品番 Model/No. コンセルヴァトワール Conservatoire
001_fischerP_03_196
弦長 Scale Length 640mm
国 Country イギリス England
製作年 Year 1996年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド単板 South American Rosewood
付属品 Option ハードケース(ヒスコック)
備考 Notes
ネック:マホガニー
指 板:エボニー
塗 装:表板:セラック/横裏板:ラッカー
糸 巻:ロジャース
弦 高:1弦 3.0mm/6弦 3.9mm

〔製作家情報〕
1941年イギリス生まれ。オックスフォードに育ち、同地に工房を開きます。Robert Gobleのもとでハープシコードの製作を学び、またその他の楽器に対する造詣も深く、ヨーロッパ的な伝統に広く通暁した知性的な製作家として知られています。同国の名工デビッド・ホセ・ルビオの工房で1969年より職人としてギター製作に従事し、職工長としてPFのスタンプが許されます(PFのイニシャルが刻印されたルビオギターは現在も中古市場で愛好家の高い評価を得ています)。1975年に独立して工房を設立。最初はルビオ的な構造を踏襲したギターでしたが、これまでの研鑽とオックスフォード大学で学んだ経験をもとに、科学的な見地から音響と構造の関係を探求、独自の力木配置によるギターを製作し始めるようになります。その結果音色と音響は高度に洗練され、従来のギターでは得られなかった均整感、個性的な発音を備えた楽器となり、音響バランスにこだわる多くのプロギタリストたちから高い評価を得て、20世紀の最後に世界で最も売れたブランドの一つとなります。

〔楽器情報〕
ポール・フィッシャー製作 1996年製 Conservatoire(コンセルヴァトワール)モデル 640㎜のショートスケール仕様のUsedです。表面板内部構造に彼が「TAUT」システムと名付けた格子状の力木配置を採用したもので、伝統的なスペインギターとは大きく異なり、音響と構造におけるフィッシャー独自の現代性を確立したモデルとして発表当時非常に話題になったモデルです。

表面板上部(くびれ部から上)はサウンドホール上側に2本、下側に1本で計3本のハーモックバーを設置している通常のスパニッシュスタイルですが、表面板下部(ブリッジを中心とする、くびれ部より下側のエリア)は計4本のトランスヴァースバーが等間隔に設置され(うち一本はちょうどブリッジサドルの位置に設置されている)、これらと直角に交差するように11本の長短の力木が表面板の木目に沿って等間隔に隅々にまで設置されており、精緻な格子状構造を形成しています。これらの力木とバーの高さと大きさは高音側と低音側とで同じサイズで加工されており、全体が均質な振動特性を得られるような工夫がされています。ただしバー自体の高さは4本の中でブリッジサドル位置のものだけがわずかに高く加工されています。また裏板のバーは設置されている計4本のうちの2本がX状に交差するXブレーシングシステムを採用しています(裏板にこのシステムを採用するのは、いくつか例はあるものの珍しい)。レゾナンスはA~A#とやや高めの設定。格子状力木構造と言えばオーストラリアの製作家グレッグ・スモールマンが開発したギターが有名ですが、スモールマンは表面板の木目に対し45度の角度で力木を交差させることで、菱形状の格子構造を表面板に行き渡らせるように作られており、また表面板上部の構造においてもより強固で複雑なシステムで設計され、フィッシャーのここでの構造とは全く異なる発想で造られています。フィッシャーはスモールマンと比較するとスペイン的なものへの憧憬がまだ色濃く残っており、例えばバルセロナの名工フランシスコ・シンプリシオの独創的な分割楕円サウンドホールのモデルを上記の「TAUT」システムで作り上げるなどの試みも行っています。

振動を均質に行き渡らせるような上記のシステムを採用していることにより、低音から高音までの全ての音が均質に、同じフェーズで響いているような整ったバランス感覚があり、どの音も互いに自然に繋がるような(ギターとしてはむしろ特異と言える)音響設計が実現しています。そしてそのフラットな音響の中で、一つ一つの音には表情の意外なまでの深さと多彩さがあり、また音楽的な身振り(スラ―、スタッカート、ヴィブラート、そして速い旋律等)における反応性も非常なものがあります。再びグレッグ・スモールマンとの比較で言えば、音量としてはオーソドックスですが各音の音像が磨かれたように艶やかで、音響全体の均質感もあり、演奏においては粒立ちの整った音がちりばめられてゆくような感覚があります。

割れなどの大きな修理履歴はございませんが、十分に弾き込まれており、全体に弾き傷やスクラッチ傷、衣服等の摩擦跡が多くみられます。表面板はセラックによる上塗り処置が施されており。現状は傷の凹凸等が目立たなくなっています。横裏板はオリジナルのラッカー塗装。ネックはほぼ真っ直ぐを維持しています。フレットは1~7フレットでやや摩耗がありますが現時点で演奏性に影響はありません。ネック形状は通常の厚みのDシェイプ。弦高は3.0/3.9mm(1弦/6弦 12フレット)でサドルには0.5~1.0㎜弱の余剰があります。640mmのスケールに加えてネックの差し込み角が浅いので、上記弦高値の割に左手は抑えやすく感じます。糸巻はカナダの高級ブランドRodgers製を装着しており、一部つまみに変形や欠損がありますが、現状で機能的な問題はありません。

新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

区分 輸入クラシック オールド
製作家/商品名 ホセ・ヤコピ Jose Yacopi
モデル/品番 Model/No. No.1455
001_Jyacopi_1_03_176_01
弦長 Scale Length 650mm
国 Country アルゼンチン Argentina
製作年 Year 1976年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド単板 South American Rosewood
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:表板 セラック /横裏板 ラッカー
糸 巻:不明
弦 高:1弦 2.6mm/6弦 3.2mm

[製作家情報]
ホセ・ヤコピ(1916~2006)。スペインのビトリア生まれ。父親のガマリエル・ヤコピの工房に入り、18歳の時に最初のギターを製作しています。1949年には家族でアルゼンチンのブエノス・アイレスにほど近いサン・フェルナンドに移り住んで工房を開き、そこで生涯ギターを作り続けました。最初は父親と同様にアントニオ・デ・トーレスを規範とした伝統的なスペインギターを製作していましたが、移住する直前の1947年ごろから父親と共に発案した、通常とは逆方向に放射状に配置された扇状力木構造を採用するようになり、これがこのブランドの特徴となります。本国アルゼンチンではその需要の増大に対応するために工房品含め年間約300本のギターを出荷していた時期もありますが、最上位モデルはその1割ほどで、良質な材を使用して本人が製作しています。

非常に独特な音響と音色を備えており、中低音から低音にかけての重厚で柔らく、奥行きのある深い響きと引き締まって艶やかな高音との対比とバランスが素晴らしく、ポリフォニックな曲を演奏した時の立体感は他のギターでは味わえない魅力があります。また音色には南米的な澄んだ色気があり、これが古典と現代の両方の雰囲気を併せ持つことから、クラシック奏者からポピュラー音楽までの幅広いユーザーに愛されてきました。マリア・ルイサ・アニードやエドゥアルド・ファルーらが愛用し、また近年ではボサノヴァや南米音楽の愛好家にも絶大な支持を受けています。
現在は息子のフェルナンド・ヤコピが工房を継いでいますが、ファンの間ではやはり1960年代から亡くなる前の1990年代までのJose本人による楽器に人気が集中しています。

[楽器情報]
ホセ・ヤコピ製作 1976年製 No.1455 Usedの入荷です。1960~70年代の人気の高い時期の一本。ヤコピのイメージとして定着している琥珀色の塗装で仕上げられた外観はフォトジェニックで、全体にどっしりと落ち着いた佇まい。特徴的な低音は太く耳に柔らかい感触があり、対して高音は1音1音に芯がしっかり通った、明確で強い表情を備えており、その対比とバランスによる音楽的な表現力は他にはない魅力を放っています。内部構造は胴底のフットブロックを頂点とするように配された左右対称6本の扇状力木で、通常の扇状力木とは開く方向が逆になっているヤコピ特有の構造(センターのマッチング部分は力木の代わりに小さなパッチ板が十数枚貼られており、これもヤコピの標準的な仕様)。レゾナンスはGの少し下に設定されています。

特に割れ等の修理履歴はありません。弾き傷等の状態に関しても年代相応の状態。糸巻はオリジナルのものを装着しており、現状で機能的に良好です。


新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

区分 輸入クラシック オールド
製作家/商品名 パウリーノ・ベルナベ Paulino Bernabe
モデル/品番 Model/No.
001_Pbernabe_1_02_193
弦長 Scale Length 650mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 1993年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド単板 South American Rosewood
付属品 Option ハードケース(Crossrock)
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:表板 セラック /横裏板 ラッカー
糸 巻:不明
弦 高:1弦 3.0mm/6弦 3.6mm


〔製作家情報〕
パウリーノ・ベルナベ1世(1932~2007)スペイン、マドリッドの製作家。自身も演奏を能くし、タレガの高弟ダニエル・フォルテアにギター演奏を師事していたのは有名な話。製作家としてはホセ・ラミレス3世の厚い信頼のもと、同工房にて1950年代から1960年代にかけて職工長を務め、この巨大ブランドの黄金期を支えた最重要人物の一人として、まずはギター製作史にその名を残す存在となりました。その後1969年に独立してからは伝統的な製法に則りながらも独自のメソッドによる個性的なギターを作り続け、1974年にドイツ、ミュンヘンで開催された国際クラフト博覧会で金メダルを受賞。そして往年のギターファンにとってはなんと言っても忘れ難い、ナルシソ・イエペスが愛用することになる有名な10弦ギターを製作することになります。息子のパウリーノ・ベルナベ Jr(1960~)は幼少の頃より父の仕事姿に親しみ、17歳の時には正式に弟子入りし20年以上に及ぶ厳しい修行と共同製作の時期を経て、2007年に1世亡き後はこのブランドを引き継ぎます。その後現在に至る2世の時代は父親のブランドコンセプトを十全に継承しつつ、より時代のニーズに合わせた(コストパフォーマンスとプレイヤビリティの双方において)充実したラインナップを展開し、若手のプロギタリストの使用率も高くなっている。現在マドリッドを代表するブランドの一つとして高い評価を得ています。

〔楽器情報〕
パウリーノ・ベルナベ1世製作 1993年製 Used 状態良好1本が入荷致しました。ラベルにはLoto 15番地に工房を移す前のCuchilleros 8番地の住所が印字されており(現在はFontaneria 10番地にさらに工房を移転)、モデル名はありません。ベルナベは2000年前後から上位機種でも数種のモデルをカタログ化していますが(現在はConcierto、Especial、Torres、Imperial、Royalの5種。なおその下にはよりリーズナブルな価格帯でAtelier シリーズとProfessional シリーズも展開していますが、これらはいわゆるワークショップモデルとなります)、この時期はそうしたモデル展開はありませんでした。ブランドヒストリーを俯瞰するならば、Cuchilleros 工房時代はそうした広範なマーケティングを展開する前の、よりベルナベ本人の作家性が濃く現れていた時期だという見方も出来ると思います。2000年代のラインナップにも通底する構造などのコンセプトは既にこの時期に完成していますが、しかし特に音響や表現性においてやはり後年のモデルにはない、ベルナベ的個性をここに聴くことが出来ます。

ラミレス工房を後にして独立して以後様々な構造的試みを行ってきた彼ですが、ここでもクラシックギターとしては珍しいXブレーシングシステムを採用。サウンドホールの上側(ネック側)は通常の一本のハーモニックバーですが、下側はちょうどホールの真下で2本のハーモニックバーがX状に交差しており、その下を3本の力木が表面板の木目に沿って等間隔に平行に(つまり扇状配置ではなく)設置されています。ブリッジ位置には駒板とほぼ同じ広さの薄いパッチ板が貼られ、3本の力木のうちセンターと高音側の2本はそのプレートの上を通過し、低音側の1本はプレートの上下で分断しています。これら3本の力木の先端をボトム部で2本のクロージングバーが受け止めるようにハの字型に設置されており、ちょうどブリッジ部分をX状のハーモニックバーとで菱形で囲むような構造になっています。そしてX状に交差したバーは二本とも低音側にわずか1㎜ほどの高さで幅数センチの開口部が設けられており、また両横板のくびれ部からそれぞれ2本ずつの短い力木が斜めに下がってゆくように(ちょうど「X」の上半分と並行になるように)配置されています。
全体に大小の三角形と菱形を組み合わせたような幾何学的な配置で斬新とさえ言える構造ですが、19世紀のロマンティックギターからトーレスそしてホセ・ラミレスを通過して彼がたどり着いた、伝統的スタイルの高度なコンピレーションと解釈することもできるもの。レゾナンスはGの少し下で設定されています。

ベルナベらしい非常な音圧の高さを備え、全体に硬めな音ですが発音にはしなやかさがあり、しっかりとした引き締まった響き。上記のようなほぼ左右対称と言える構造からか、低音から高音までが同じフェーズで鳴り、自然に高音部が前景化してくる感覚があります。それゆえメロディラインが力強く響き、たっぷりと歌わせることができます。特筆すべきはその表情の機微と繊細で、あくまで上品さを保ちながら、曲想に応じて湧出するロマンティックな音色の変化がなんとも魅力的。

割れなどの大きな修理履歴はなく、表面板サウンドホールの高音側に細かな弾き傷、ブリッジ下1弦位置に弦とび跡、数か所の軽微な打痕や衣服等による摩擦あと等がありますが、年代考慮すると比較的良好な状態。ネックはほぼ真っすぐでちょうどよい状態。フレットはほんのわずかに摩耗していますが適正値の範囲内。ネック形状は普通の厚みのDシェイプ、指板はわずかにラウンド加工が施されており左手の演奏性を追及しています。


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区分 輸入クラシック オールド
製作家/商品名 マヌエル・ベラスケス Manuel Velazquez
モデル/品番 Model/No.
001_velazquezM_03_178
弦長 Scale Length 650mm
国 Country アメリカ U.S.A
製作年 Year 1978年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides ローズウッド単板 Indian Rosewood
付属品 Option ハードケース(BAM)
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:ラッカー
糸 巻:スローン
弦 高:1弦 2.9mm/6弦 4.0mm

[製作家情報]
マヌエル・ベラスケス Manuel Velazquez(1917~2014)
1917年プエルトリコ生まれ。母方の祖父母はスペイン人で、名工サントス・エルナンデスの縁戚にあたります。農業に従事する家系に生まれながらも彼は家具職人として修業を始め、同時にギターも製作するようになります。16歳で最初のギターを製作し、その頃に製作したギターの完成度の高さに感銘を受けた地元のある音楽家からニューヨーク行きを勧められ、1941年移住。第二次大戦の時期には造船所で木工に携わります。地道に製作を続けていた彼のギターは1940年代後半から地元の名演奏家たちに愛用されるようになり、その後はアンドレス・セゴビアが彼のギターを称賛するなど、瞬く間に名声を獲得してゆきます。1972年にプエルトリコに戻りそこで工房を設立、1982年には再びアメリカに戻りヴァージニア州で9年間過ごした後、フロリダに移り製作を続けます。この頃から息子のアルフレッドも製作に参加するようになり、2014年にマヌエルが亡くなった後は彼が工房を引き継いでいます。

もともとマヌエルの製作美学の根底にはトーレス、ハウザー、サントスらのトラディショナルなものへの憧憬があり、特にハウザーの影響が濃くあらわれた1950年代から60年代のものは高い評価を得ています。1970年代から1980年代までの楽器はユーザーの需要もありボディが大型化し、ちょうど人気の絶頂にあったラミレス的な要素を感じさせる力強く豊かな音量を備えたギターになっています。その後はもとのハウザースタイルを基調とした伝統的スタイルへと回帰し、2014年にその生涯を閉じるまでアメリカ最大の巨匠と崇敬されました。

〔楽器情報〕
マヌエル・ベラスケス製作の1978年製、650mm 横裏板インディアンローズウッド仕様のUsed 入荷です。表面板力木配置はサウンドホール上(ネック側)に2本、下(ブリッジ側)に一本のハーモニックバーが配置され、その下側の方のバー中央(ちょうどサウンドホールの真下の位置)から高音側の横板に向かって斜めに伸びるもう一本のいわゆるトレブルバーを配し、7本の扇状力木とそれらの先端をボトム部で受け止めるようにハの字型に配置された2本のクロージングバー、そしてブリッジ位置には駒板と同じ幅の薄いプレート板が貼ってあるという全体の構造。レゾナンスはGの少し上に設定されています。彼の敬愛するヘルマン・ハウザー1世の有名なセゴビアモデル的な力木配置を基本とし、そこにトレブルバーを付加したような、1970年代ベラスケスの定番とも言える配置となっています。

この時期のベラスケスはどちらかと言えばスペイン的な(ホセ・ラミレス以降のマドリッドサウンド的な)全体に重厚で、おおらかで、たっぷりとした響きを志向していましたが、本作においては彼の本領たるハウザー的音響設計のヴァリエーションともいえる響きが構築されています。しっかりした重心感覚のある低音からシャープな高音までの一本の線を形成するような自然なバランス、やや強めの粘りを伴いながら跳躍するように発されるくっきりとした艶やかな音像、装飾的効果における細部の明確さ、音量と音色のダイナミクスにおけるタッチとのリニアニティの高さ、これらの特質によって生み出される旋律の自然な繋がりなど、やはり素晴らしい。ボディが軽めで箱が隅々まで響き渡るような感覚と、ハウザー的な透徹した音響とがミックスされ、結果ベラスケスにしかない、不思議なロマンティシズムを湛えた一本に仕上がっています。

オリジナルラッカー塗装により、全体は経年によるウェザーチェック(塗装の細かなひび割れ)が生じていますが現状で使用には全く問題ありません。表面板サウンドホール周りにやや集中して細かな弾き傷があり、横裏板は衣服等による摩擦あとなどありますが割れなどの大きな修理履歴はありません。ネックは真っ直ぐを維持しており、フレットは1~7フレットでほんのわずかに摩耗見られますがこちらも現状で問題ありません。ネック裏はキズ補修のため再塗装が施されており、現在とてもきれいな状態です。ネックシェイプは薄めのCシェイプ、弦高値は2.9/4.0mm(1弦/6弦 12フレット)でサドル余剰が1.5~3.0mmありますのでお好みに応じて弦高を低く設定することが可能です。糸巻はSloane製を装着。


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区分 輸入クラシック 中古
製作家/商品名 クリストファー・ディーン Christopher Dean
モデル/品番 Model/No. No.226
002_Cdean_1_02_196
弦長 Scale Length 650mm
国 Country イギリス England
製作年 Year 1996年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides ローズウッド単板 Indian Rosewood
付属品 Option ハードケース黒、スローン糸巻(元々装着のオリジナル)
備考 Notes
ネック:マホガニー
指 板:エボニー
塗 装:セラック
糸 巻:バルジャック
弦 高:1弦 3.2mm/6弦 4.1mm

[製作家情報]
1958年生まれ。イギリス、オックスフォードに工房を構える。10代の頃よりギターを演奏していましたが、17歳の時にプレゼントされたIrving Sloane のギター製作マニュアルを読んだことをきっかけに製作への興味を持ち始めます。1979年には有名なLondon College of Furnitureに入学し3年間楽器製作についての基礎を学びます(同校はゲイリー・サウスウェル、マイケル・ジーらの出身校でもあります)。ここでのカリキュラムにはホセ・ルイス・ロマニリョスやポール・フィッシャーの工房での実地研究も含まれていたことがきっかけになり、卒業後1年間ニュージーランドで家具製作に従事したのちに1982年フィッシャーの工房に職人として入ります。ディーン自身はフィッシャーのことを師として尊敬し実際に多くを学んでゆきましたが、フィッシャーはこの青年の成熟した感性と技術をすぐに見抜き、わずか3か月の「研修期間」のあとすぐに正式な職工としてフィッシャーラベルのギター製作を託すことになります。ここで充実した3年間を過ごした後に独立し自身の工房を設立、現在に至ります。

その作風は師であるフィッシャーや、さらにさかのぼってデヴィッド・ルビオをも想起させる堂々たる外観とたっぷりと濃密な艶を含んだ音色、力強い響きなどが挙げられますが、そうした彼の出自に直接つながるラインとは別にフランスのフレドリッシュ、トーレス、ハウザーからも多くのインスピレーションを得ており、とりわけサントス・エルナンデスの影響を受けています。1929年製のサントスギターを修繕する機会を得た彼は実地にオリジナルの構造を研究し、その後すぐれたサントスモデルを発表。憧れてやまないと公言する伝説的ギタリスト アンドレス・セゴビアへのオマージュさえも含んだすぐれたモデルとして高い評価を得ています。

[楽器情報]
クリストファー・ディーン製作 1996年製 No.226 Usedの入荷です。ハウザーやサントス・エルナンデス等のヒストリカルなモデルでも瞠目すべきギターを世に出している彼ですが、本器は彼のオリジナルモデル。まだ30代の時の作ですが、造作と音響の両方で完成度が高く、また彼自身の個性という点でも既に揺るぎのないアイデンティティが確立されている一本です。

撥弦の瞬間の、指先のわずかな変化にも敏感に反応する、その生々しくも繊細なレスポンスがなんとも素晴らしい。最弱音における表情の機微とニュアンスの表出から、しっかりとしたダイナミックレンジにより最強音までが充実した密度を保っており、タッチにぴったりとフィットするかのような速い反応、そして各弦のバランス等々、まずは機能的な面での演奏性は申し分のないクオリティを有しています。

慎ましく、ごく自然なエコーを伴いながら箱の奥底から素早く音が立ち上がってくるような発音で、いかにも彼らしいほのかに翳のある音色、そのストイックでジェントルな佇まいはやはりとても魅力的。柔らかな粉をほのかにまぶしたような感触の音像ですが透明感があり、凛として力強く、歪みがなく、常に上品で、時に可愛らしい。和音やアルペジオでは音の拡がりが(やたらとエコーがかかるのではなく)美しく、曲に応じて幻想的なニュアンスもしっかりと表出します。

表面板力木配置はサウンドホール上側(ネック側)に2本、下側(ブリッジ側)にも2本のハーモニックバーが設置されていますが、下側の2本のうちブリッジに近いほうの一本は低音側から高音側に向かって斜めに下がってゆくようにして設置されたバー、ここではハーモニックバーのやや低音寄りの部分を起点として高音側横板に向かって伸びています。ボディ下部は左右対称5本の扇状力木、ボトム部にはそれらの先端を受け止める2本のV字型に配置されたクロージングバー、ブリッジ位置には駒板とほぼ同じ面積でパッチ板が貼ってあるという全体の表面板構造。レゾナンスはG#の少し下に設定されています。

繊細なセラック塗装仕上げで重量も1.49kgと軽く、上記の内部力木なども繊細な加工がされています。表面板全体は弾き傷やスクラッチ跡、一部塗装摩耗などがあります、横裏板は比較的きれいな状態ですが衣服等による摩擦跡が年代相応に見られます。割れ等のの大きな修理履歴はありません。ネックは厳密にはわずかに順反りですが標準設定の範囲内、フレットは1~7フレットでわずかに摩耗ありますが演奏性には影響ありません。ネック形状はやや薄めのDシェイプでフラットな加工。糸巻は出荷時はSloane製が装着されていましたが、Baljak製に交換されています。こちらも現状で機能的な問題はありません。


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区分 輸入クラシック 中古
製作家/商品名 ドミニク・フィールド Dominique P. Field 演奏動画あり
モデル/品番 Model/No. No.85
002_DominiqueF_02_192_01
弦長 Scale Length 650mm
国 Country フランス France
製作年 Year 1992年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides インディアン・ローズウッド単板 Indian Rosewood
付属品 Option ハードケース(ヒスコック)
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:セラック
糸 巻:ライシェル
弦 高:1弦 2.7mm/6弦 3.9mm

〔製作家情報]
Dominique P.Field ドミニク・フィールド(Paris 1954~ )
現代フランスを代表する製作家。ブーシェからダニエル・フレドリッシュへと続くフランスギター製作における重要な系統を受け継ぎながら、なおも独特の個性とその理論により新たな指針を提示し続けている名工です。最初ギタリストを志し学生時代は法律を学びながら演奏の修行をしていましたが(Emilio Pujolの弟子にあたるギタリストに教えを受けていたそうです)、同時にギターの構造と音、そして楽器本体への審美的な関心とが高まり、製作家をその芸術的役割において演奏家と同等と考えるようになります。彼は師匠からブーシェ、フレタなどの名器を紹介され、さらに自身もハウザーやアグアドなどのギターを弾く機会を得て、製作へのモチベーションをさらに高めてゆくようになると、1974年には最初のギターを製作し自らの方向性を確信するに至ります。

彼は基本的に独学でギター製作を学んでゆきますが、名工ロベール・ブーシェ(1898~1986)との直接の交流は現在に至るまでフィールドの製作美学に深い影響を与えることになります。ブーシェの工房に足繁く通っていた彼は1982年頃、代理で顧客からの修理依頼を受け付けることになり、10本以上に及ぶブーシェギターの修繕を行います。修理に際し彼はそれらのギターを仔細に検分し、その構造と音響、意匠と造作を研究し尽くします。そこでの成果をもとに、またブーシェ自身からのアドバイスも得て、彼はギター表面板と裏板におけるアシンメトリ(左右非対称)な構造による理想の音響への実践に取りかかります。いわば低音側と高音側とで力木の形状と配置を変え、また通常木目に直角の方向も配置される裏板のバーも傾斜を施したりなどの試みがなされてゆきますが、これは彼が敬愛するもう一人の名工イグナシオ・フレタ(1897~1977)からの影響も顕著に見て取れます。アシンメトリな配置構造自体は珍しいものではありませんが、フレタを基にしてそこにフィールド独自の方法論により設定された構造は極めて斬新かつ美しいものであり、異様な迫力と個性を放つに至っています。

更にはそうした音響の創造における実践だけではなく、ギター本体の意匠における極めて高度な達成も同じく特筆に値します。やはり個体毎にデザインを変えているロゼッタやパーフリングなどの繊細と精緻、優婉とさえいえる独特の佇まいは、決してそのデザイン性において華美さや新しさを打ち出したものではないものの、比肩するものがないと言えるほどの芸術的完成度を有しています。

現在もフランス、パリの工房で精力的に製作を続けており、フランスで最も長いウエイティングリストを抱える人気ブランドとなっています。彼のギターはスコット・テナントを始め、アダム・ホルツマン、ウラジミール・ミクルカ、エドゥアルド・イサークらの名だたる名手が使用しており、日本でもギターファン垂涎のアイテムの一つとなっています。

〔楽器情報〕
ドミニク・フィールド製作1992年製 No.85 Usedの入荷です。フィールド30代の作ですが、緻密で独特な音響設計、音色表現における洗練と深み、完璧な造作技術など、まさしく名品と呼ぶにふさわしい1本に仕上がっています。

ブーシェからの多大な影響を受けながらも、ここでは既に独自のアシンメトリな構造による音響の試みを見ることができます。表面板力木構造はサウンドホール上側(ネック側)に2本、下側(ブリッジ側)にも2本のハーモニックバーが設置されており、このうち一番ブリッジ寄りの1本は低音側から高音側に向かって若干斜めに下がってゆくように設置されています。扇状力木は5本、ボトム部にはそれらの先端を受け止めるように2本のクロージングバーがV字型に配置され、駒板の位置にはほぼ同じ面積で薄いパッチ補強がされているという全体の構造。レゾナンスはG#~Aに設定されています。近年では前衛とさえ言えるようなさらに個性的な力木構造を発案している彼の、それと比較するとオーソドックスな初期~中期のスタイルをここに見ることができます。

非常に高い音圧で、撥弦の瞬間から密度の高い洗練された音が現出し、十分なサスティーンから明確な(あいまいなところのない)終止までその充実さを保って鳴ります。全ての音密度が均質化されており、この点スペインの伝統的なギターのように低い重心でふくらみを持った低音と透明で高さのベクトルを有した高音との対比という音響設計とは異なり、低音から高音までが同じフェーズで、しかしそれぞれが明確なアイデンティティをもって鳴るのでまるで弦楽四重奏的な(オーケストラではなく)、互いの音が緊密に関係性を持った音響として現れます。和音においてはあのハウザーさえも凌駕するような完璧なひとつのまとまりとなり、対位法的な旋律においてはそれぞれの声部を鮮やかに描き分ける。凛とした艶を湛えた美しい音の表情にはどこか翳があり、それはやや安直に言えば「フランス的」としか言いようのない独特の翳と余韻なのですが、これがなんとも魅力的。いかにもクラシック音楽にふさわしい音の機微を表すのにこの上ない特質となっています。奏者は楽器の側から音楽を提案してくるような感覚を楽しむことができるのですが、しかるべきタッチの熟練と繊細さを求められるようなところがあり、この点は現代のなかばオートマティックな発音機能を備えたギターとは大きく異なるところでしょう。

オールセラック塗装による外観は気品と落ち着きがあり、この点でも彼の高い審美的感性が見て取れます。特にロゼッタやパーフリングなどの渋く、繊細さの極みともいえる細工は美しく、静かに全体を引き締めている、その佇まいが素晴らしい。工芸品としてのレベルもハイクラスな一本となっています。

再塗装はされておらずオリジナルのままの状態です。表面板ブリッジ下1弦と2弦位置に弦とび跡あり。その他細かな弾きキズやスクラッチあと、小さく浅い打痕などありますが経年数を考慮すると良好と言えるレベルです。裏板ボトム部分のセンターよりやや高音側に10センチほどの割れ修理歴がありますが適切な処置がされていますので今後の使用にも全く問題ありません。ネックは真っ直ぐを維持しており、フレットはわずかに摩耗していますが適正値を維持しています。ネック形状は普通の厚みで丸みのあるDシェイプ。弦高は2.7/3.9mm(1弦/6弦 12フレット)、サドル余剰は1.5~2.0mmありますのでお好みに応じてさらに低く調整することが可能です。糸巻はドイツ製のライシェルを装着、こちらも機能的に良好です。






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