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区分 輸入クラシック 中古
製作家/商品名 パブロ・サンチェス・オテロ Pablo Sanchez Otero
モデル/品番 Model/No. OUIDA No23
001_003_PSotero_1_02_218
弦長 Scale Length 652mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 2018年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides ローズウッド Indian Rosewood
付属品 Option 軽量ケース 黒
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:黒檀
塗 装:表板 セラック /横裏板 セラック
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 3.5mm /6弦 3.8mm

〔製作家情報〕
1986年 スペイン北西部のガリシア州の美しい港湾都市ア・コルーニャに生まれる。
もともとは建築を学んでいましたが、机上での製図に終始する作業に飽き足らず、木にじかに触れることから生まれる仕事への興味が次第に増してゆきます。加えて音楽とその構造に対する深い関心は抑えがたくなり、何年か家具製作とデザインを学んだあと、2009年にバルセロナでJean Pierre Sardin のサマーコースでギター製作を受講。これを機に楽器製作を生業とする事を決心します。その後2009~2011年の2年間、美術工芸学校の古楽器製作のコースでヴァイオリンとルネサンスリュートの製作を学びます。そしてその間の2010~2012年の夏、シグエンサでの名工ホセ・ルイス・ロマニリョスの講習会に参加。そこでビウエラとスペイン伝統のギター製作法を、また楽器の修復技術についてのレクチャーを受講、彼にとって決定的な影響を受けることになりました。

その後スペインからイギリス、ノッティンガムシャーのニューアーク=オン=トレントに居を移し、同国のAdrian Lucas, James Listerらからもギターの製作を学びます。さらに2013年には居をベルギーのAmberesに移し、同地のLa Escuele Internacional de Luteria de Amberes(ILSA)にて楽器修復の学科を終了後、同校にて教鞭を執る傍ら本格的に製作活動を展開します。現在は工房を生まれ故郷であるスペイン、コルーニャに移し製作を継続。師ロマニリョスから受け継いだ、細部まで妥協を許さない繊細な造作、洒脱な意匠、トーレスを基本とするスペイン伝統工法に立脚した音色の魅力等は現在のスペインの若手の中でも静かに異彩を放っており、国内外で近年評価の高まりを見せています。

トーレスモデルをメインとするクラシックモデルの他、極めて個性的なデザインのブズーキ、マンドリン、ウクレレ、アコースティックギター等も製作。

〔楽器情報〕
トーレスモデル ‛OUIDA’No.23 2018年製Usedです。彼の公式カタログのなかで、クラシックギターのフラッグシップモデルとなっているのがトーレスモデル。1888年製のSE114に準拠した設計で作られていますが、ヘッドシェイプやロゼッタデザインなどの意匠は彼のオリジナルで、古典的な雰囲気を大切にしつつモダンなニュアンスも感じさせる外観となっています。

表面板のサウンドホールまわりや指板脇などに若干の傷があるほかは全体的に綺麗な状態を維持しています。ネック、フレットも適正値を維持しており、フステーロ製の糸巻きも動作に問題ありません。



新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  990,000 円
注文数 :   

区分 輸入クラシック オールド
製作家/商品名 ヘルマン・ハウザー2世 Hermann Hauser II演奏動画あり
モデル/品番 Model/No. セゴビアモデル Segovia  No.741
001_017_hauser_2_03_163
弦長 Scale Length 653mm
国 Country ドイツ Germany
製作年 Year 1963年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド単板 South American Rosewood
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:マホガニー
指 板:黒檀
塗 装:ラッカー
糸 巻:Landstorfer
弦 高:1弦 3.3mm /6弦 4.4mm

〔製作家情報〕
ヘルマン・ハウザー2世(1911~1988)
ハウザーギターは疑いなく20世紀ドイツ最高のギターブランドであり、現在も4代目がその伝統を継承し100年以上にわたって一子相伝で製作を続けている老舗です。ヘルマン・ハウザーI世(1884-1952)が、ミゲル・リョベートが所有していたアントニオ・トーレスとアンドレス・セゴビア所有のマヌエル・ラミレスをベースにして自身のギターを改良し、後にセゴビアモデルと呼ばれることになる「究極の」名モデルを製作した事は良く知られています。それはトーレスがギターの改革を行って以来最大のギター製作史における事件となり、その後のギター演奏と製作との両方に大きな影響を与えることになります。1世の息子ハウザー2世はドイツ屈指の弦楽器製作都市として知られるミッテンヴァルトで4年間ヴァイオリン製作学校で学んだ後、1930年より父の工房で働き始めます。彼ら親子はほぼ共同作業でギターを製作していましたが、ラベルはハウザー1世として出荷されています。1世が亡くなる1952年、彼は正式にこのブランドを受け継ぎ、彼自身のラベルによる最初のラベル(No.500)を製作。以来1983年に引退するまで極めて旺盛な活動をし、500本以上のギターを出荷しています。

ハウザー2世もまた父親同様に名手たち(セゴビア、ジュリアン・ブリーム、ペペ・ロメロ等)との交流から自身の製作哲学を熟成させていったところがあり、また彼自身の資質であろうドイツ的な音響指向をより明確化することで、1世とはまた異なるニュアンスを持つ名品を数多く世に出しました。有名なところではなんといってもブリームが愛用した1958年そして1960年のギターですが、その音響は1世以上に透徹さを極め、すべての単音の完璧なバランスの中にクラシカルな気品を纏わせたもので、ストイックさと抒情とを併せもった唯一無二のギターとなっています。

1970年代以降の彼は特にその独創性において注目されるべきペペ・ロメロモデルや、おそらくは急速に拡大した需要への柔軟な姿勢としてそれまでには採用していなかった仕様での製作も多く手がけるようになりますが、やはり完成度の高さの点では1世より引き継いだ「セゴビア」モデルが抜きんでています。その後1980年代からモダンギターの潮流が新たなスタンダードと目されていく中でも、ハウザーギターは究極のモデルとしての価値を全く減ずることなく、現在においてもマーケットでは最高値で取引されるブランドの一つとなっています。

1974年からは息子のハウザー3世(1958~)が工房に加わりおよそ10年間製作をともにします。3世もまた2世のエッセンスに独自の嗜好を加味しながら、ブランドの名に恥じぬ極めて高度な完成度を有したモデルを製作し続けています。

[楽器情報]
ヘルマン・ハウザー2世製作 セゴビアモデル 1963年製 No.741 ヴインテージの入荷です。
ハウザー2世絶頂期の作であり、ドイツにおけるクラシックギター製作の指標となったブランドの特性を最も如実に示す一本です。

父ハウザー1世のスペイン的な志向から漸進的にドイツ的音響をミックスさせていったともいえる2世のキャリアにおいて、そのスペイン/ドイツ的融合の頂点を1958年から1960年(有名なジュリアン・ブリーム所有のハウザー)とするなら、そこから彼自身の生来の特性的なドイツ的感性をより強めていった最初の時期ともいえるのが1960年代の初期であり、本作1963年はその彼の嗜好と芸術的完成度が妥協のない高みに達した、まさに比類のない至高の一本となっています。

ボディのテンプレートは1世のセゴビアモデルをほぼ完全に踏襲し、トーレスに由来するヘッドシェイプやヘリンボーンを印象的にあしらったロゼッタ、ブランドカラーの象徴ともなった緑の象嵌など永遠のスタンダードといえるデザインはもちろんここでも受け継がれています。

音響はまさしくハウザーにしか成しえない透徹の極み。一切の妥協なく、非常に硬質で強い粘りを伴った発音と極めて高密度の音像。ストイックだがしかしたっぷりと艶を湛えた音はいかにもドイツ的な気品と力強さで、その繊細な音色変化の中に実に豊かなニュアンスを内包しているところなどもいかにもクラシカルで魅力的。そして全体のバランスの完成度も比類がなく、低音から高音へときれいに一つの線を形作るような整った単音が素晴らしい。ロマンティックな曲では十分に歌い、バロックなどの多声音楽ではその対位法を明確にし、現代音楽では澄明な音響を、それぞれ最高度に達成しており、数々の名手たちの演奏を彩った名器の特性をここに感じ取ることができます。

表面板力木配置は1世の1937年製セゴビアモデルに準拠しながら2世の工夫が加えられたもの。サウンドホール上側に2本、下側に1本のハーモニックバー(このうち下側のバーは中央のちょうどサウンドホール真下のところでゆるやかにわずかに屈折して、大きく開いたV字型になっています)、左右対称7本の扇状力木にこれらの先端をボトム部で受け止める2本のV字型のクロージングバー、駒板位置にはほぼ同じ範囲に薄い補強プレートが貼ってあり、またサウンドホール両脇にも1枚ずつの補強プレートが貼り付けられているという全体の配置。それぞれのバーは裏板も含めて薄くて高さがありその頂点は尖った加工となっている2世特有の形状となっています。レゾナンスはG~G#に設定されています。

割れ修理履歴のない、このブランドのヴィンテージモデルとしては大変に良好なコンディションで塗装のラッカーには経年による全体のウェザーチェックや部分的な白濁が見られるものの、全体的に年代考慮するとかなり良好な状態を維持しています。ネック、フレット等演奏性に関わる部分も良好です。糸巻はオリジナルのLandsdorfer製を装着。重量は1.54㎏。表面板内側にサインあり。




新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

区分 輸入クラシック オールド
製作家/商品名 イグナシオ・フレタ・エ・イーホス Ignacio Fleta e Hijos演奏動画あり
モデル/品番 Model/No. N0.904
001_019_fletahijos_2_03_189
弦長 Scale Length 650mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 1989年
表板 Top 杉単板 Ceder
横裏板 Back & Sides ローズウッド単板 Indian rosewood
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:セラックニス
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 3.0mm /6弦 4.0mm

[製作家情報]
イグナシオ・フレタ1世(1897~1977)と二人の息子フランシスコ(1925~200?)とガブリエル(1929~201?)との共作。このブランドを愛用した、または現在も愛用し続けている数々の名手たちの名を挙げるまでもなく、20世紀後半以降を代表する銘器の一つとして、いまも不動の人気を誇っています。

フレタ家はもともと家具製作など木工を生業とする家系で、イグナシオも幼少からそのような環境に馴染みがありました。13歳の頃に兄弟とともにバルセロナで楽器製作工房の徒弟となり、更に研鑽を積むためフランスでPhilippe Le Ducの弦楽器工房でチェロなどのヴァイオリン属の製作を学びます。その後フレタ兄弟共同でバルセロナに工房を設立し、ギターを含む弦楽器全般を製作するブランドとして第一次大戦前後でかなりの評判となりますが、1927年に工房は解散。イグナシオは自身の工房を設立し、彼の製作するチェロやヴァイオリンをはじめとする弦楽器は非常に好評でその分野でも名声は高まってゆきます。同時に1930年ごろからトーレスタイプのギターも製作していましたが、1955年に名手セゴビアの演奏に触れ、そのあまりの素晴らしさに感動しギター製作のみに転向することになります。フレタは巨匠の演奏から霊感をも受けたのか、その新モデルはトーレススタイルとは全く異なる発想によるものとなり、1957年に製作した最初のギターをセゴビアに献呈。すると彼はその音響にいたく感動し、自身のコンサートで使用したことで一気にフレタギターは世界的な名声を得ることになります。それまでのギターでは聞くことのできなかった豊かな音量、ダイナミズム、そしてあまりにも独特で甘美な音色でまさしくこのブランドにしかできない音響を創り上げ、セゴビア以後ジョン・ウィリアムスやアルベルト・ポンセなどをはじめとして数多くの名手たちが使用し、20世紀を代表する名器の一つとなりました。

当初はIgnacio Fletaラベルで出荷され、1965年製作のNo.359よりラベルには「e hijos」と記されるようになります(※実際には1964年製作のものより~e hijos となっておりフレタ本人の記憶違いの可能性があります)。1977年の1世亡き後も、また2000年代に入りフランシスコとガブリエルの二人も世を去ったあともなお、「Ignacio Fleta e hijos」ラベルは継承され、現在は1世の孫にあたるガブリエル・フレタが製作を引き継いでいます。


〔楽器情報〕
イグナシオ・フレタ・エ・イーホス 1989年製 No.904 Usedです。フレタといえば濃密でロマンティックな音色、そして音圧の比類ない力強さといった特徴が1世の時代からブランドイメージとして通底していますが、そういった特性を十全に備えつつ、しかし個体ごとのキャラクターはかなり異なり実は多様であることは、現在このブランドを再評価するうえで重要な点だと言えます。本作1989年製のNo.904では、重厚な鳴りという特性のなかに、極めて細やかで繊細な表現力が備わっていることが特筆されます。弱音ではもはやチャーミングとさえ言える音の表情、そしてフォルティッシモにおける音圧としてではなく音楽としての強さ、各音は杉材ならではの艶をまとい、全体は倍音を抑制した硬度の高い響き。音楽における明と暗をしっかりと内包し、奏者は弾きながら有機的なレスポンスを楽器から受ける感覚になります。

内部構造はフレタ1世の構造を基本的に踏襲しながら部分的に相違が見られる配置になっています。サウンドホール上下に2本ずつのハーモニックバー(下側の2本は低音側から高音側にかけて下がってゆくように斜めに、それぞれが微妙に違う角度で傾斜して設置されています)、その下に左右対称9本の扇状力木とそれらの先端をボトム部で受け止める2本のV字型に配置されたクロージングバー、駒板位置にあてられた薄いパッチ板、そしてサウンドホール周りを覆うように貼られたやや厚めの補強板という構造。レゾナンスはAの少し上という設定となっています。

Cラウンドのコンパクトなネックシェイプは日本人の手にも握りやすく、弦の張りは中庸からやや強めですが比較的握りやすい感触です。全体は年代相応に細かなスクラッチ傷、塗装のクラックがあるほか、表面板ブリッジ下に2か所5cmほどの割れ補修歴があります(埋め木による大変丁寧な処置がされていますので外観、状態ともに全く問題ありません)横裏板塗装におそらく湿度変化の影響による製作時のブラッシングの跡が浮き出て見えています。ネックはほんのわずかに順反りですが許容範囲のレベルです。またフレットは1~8フレットでやや摩耗しておりますがこちらも現状で演奏性等に影響ありません。糸巻はオリジナルのFustero フレタタイプを装着、こちらも機能性に問題はありません。





新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  3,850,000 円
注文数 :   

区分 輸入クラシック オールド
製作家/商品名 イグナシオ・フレタ1世 Ignacio Fleta I
モデル/品番 Model/No. No.156
001_019_fletaI_1_03_159
弦長 Scale Length 660mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 1959年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides ローズウッド単板 Indian
付属品 Option ハードケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:黒檀
塗 装:セラックニス
糸 巻:ロジャース
弦 高:1弦 3.2mm /6弦 3.8mm

[製作家情報]
イグナシオ・フレタ1世(1897~1977)により設立され、のちに二人の息子フランシスコ(1925~200?)とガブリエル(1929~201?)との共作となる、スペイン、バルセロナの工房。このブランドを愛用した、または現在も愛用し続けている数々の名手たちの名を挙げるまでもなく、20世紀後半以降を代表する銘器の一つとして、いまも不動の人気を誇っています。

フレタ家はもともと家具製作など木工を生業とする家系で、イグナシオも幼少からそのような環境に馴染みがありました。13歳の頃に兄弟とともにバルセロナで楽器製作工房の徒弟となり、更に研鑽を積むためフランスでPhilippe Le Ducの弦楽器工房でチェロなどのヴァイオリン属の製作を学びます。その後フレタ兄弟共同でバルセロナに工房を設立し、ギターを含む弦楽器全般を製作するブランドとして第一次大戦前後でかなりの評判となりますが、1927年に工房は解散。イグナシオは自身の工房を設立し、彼の製作するチェロやヴァイオリンをはじめとする弦楽器は非常に好評でその分野でも名声は高まってゆきます。同時に1930年ごろからトーレスタイプのギターも製作していましたが、1955年に名手セゴビアの演奏に触れ、そのあまりの素晴らしさに感動しギター製作のみに転向することになります。フレタは巨匠の演奏から霊感をも受けたのか、その新モデルはトーレススタイルとは全く異なる発想によるものとなり、1957年に製作した最初のギターをセゴビアに献呈。すると彼はその音響にいたく感動し、自身のコンサートで使用したことで一気にフレタギターは世界的な名声を得ることになります。それまでのギターでは聞くことのできなかった豊かな音量、ダイナミズム、そしてあまりにも独特で甘美な音色でまさしくこのブランドにしかできない音響を創り上げ、セゴビア以後ジョン・ウィリアムスやアルベルト・ポンセなどをはじめとして数多くの名手たちが使用し、20世紀を代表する名器の一つとなりました。

当初はIgnacio Fletaラベルで出荷され、1965年製作のNo.359よりラベルには「e hijos」と記されるようになります(※実際には1964年製作のものより~e hijos となっておりフレタ本人の記憶違いの可能性があります)。1977年の1世亡き後も、また2000年代に入りフランシスコとガブリエルの二人も世を去ったあともなお、「Ignacio Fleta e hijos」ラベルは継承され、現在は1世の孫にあたるガブリエル・フレタが製作を引き継いでいます。


[楽器情報]
イグナシオ・フレタ1世 1959年製 No.156 の入荷です。フレタ一世50年代の貴重な一本であるとともに、彼の特性を十分に感得できるギターです。

表面板内部構造はサウンドホール上(ネック側)に2本、下(ブリッジ側)に1本のハーモニックバーで、下側のバーは低音側から高音側に向けてほんのわずかに斜めに下がってゆくように設置されています。そして左右対称9本の扇状力木とそれらの先端をボトム部で受け止める2本のV字型に配置されたクロージングバー、駒板位置には駒板幅よりもやや長い範囲であてられたパッチ板、そしてサウンドホール両脇に貼られた補強板(これらは近接する横板の下部に沿うように斜めに設置されています)という構造。レゾナンスはGの少し下での設定となっています。1958年までのフレタは表面板の厚み、扇状力木とクロージングバーの形状などもかなり薄く加工されていましたが、それと比較すると特に扇状力木は本作では9本のうち中央の7本を少し高めの山型に加工されているなどの変化が見られ、レゾナンスの位置も高くなっています(1958年はEの下に設定)。

中低音~低音の厚みのある響きが素晴らしい。高音は比較的細めのすっきりとしたむしろ端正とさえ言える響きですが、十分にロマンティック。うねりを持った野性的な低音との対照がなんとも良く、曲の中でもメロディが渋い佇まいを演出する中で迫力ある低音が前景化してくるような独特パースペクティブがあります。そしてこの時期のフレタならではのタッチとの高いリニアニティもやはり特筆されます。奏者はタッチと音とが(音色の変化という点でも)一体化しているような感覚で演奏することができます。

表面板はこの時期のフレタにしばしば見られる現象ですが、ブリッジのサウンドホール側とボトム側とでやや歪みがあり、割れの修理履歴がいくつかございます。指板両脇、低音側肩部分からくびれ部にかけて、ブリッジプレートのサウンドホール側に数か所とボトム側センター部分にそれぞれ1~数か所の割れ修理履歴があり、それぞれやや厚めのプレートでしっかり補強されています。表面板は過去にゴルペ板を貼りのちに剥離させた形跡があります。表面板全体は再塗装が施されており、現在は傷などは少なめです。横裏板はおそらくオリジナル塗装の状態で、年代考慮すると傷等は少なく良好な状態です。ボトム近くにローズウッドのバールがありその木目に沿ってやや段差がありますが割れには至っておらず、継続しての使用にも問題ありません。ネックは反りもほとんどなく良好です。フレットと指板は1~8フレットで軽微な摩耗が見られますが、演奏性影響はなく継続しての使用に問題はありません。ネック形状もこの時期のフレタ1世の特徴的なコンパクトなグリップ感で、ほとんどCラウンドに近いDシェイプで薄めの加工。弦高は現在値でほぼ標準値ですがサドルに2~3㎜の余剰がありますのでお好みに応してさらに低く設定することも可能です。


新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  お問い合わせ下さい。

区分 輸入クラシック 中古
製作家/商品名 ホセ・ゴンサレス・ロペス Jose Gonzalez Lopez
モデル/品番 Model/No. No.121
001_JGLopez_02_213
弦長 Scale Length 640mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 2013年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド単板 South American Rosewood
付属品 Option ヒスコックケース 黒
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:黒檀
塗 装:表板 セラック /横裏板 セラック
糸 巻:ルブナー
弦 高:1弦 3.0mm /6弦 3.8mm

[製作家情報]
ホセ・ゴンサレス・ロペス、1961年 スペイン、グラナダに生まれ同地で育つ。もともとギター製作とは関わりのない仕事に就いていましたが、ホセ・マリン・プラスエロの妹との結婚を機に1989年、28歳の時にアントニオ・マリン・モンテロの工房に入ります。アントニオとホセの二人の指導のもとおよそ10年の修行を経て1999年に自身のラベルによる最初のギターを製作。アントニオの製作哲学を工法、そして音響において堅実に受け継いでおり、しかも彼自身の高い木工の才からなる非常な完成度を有したそのギターは偉大な二人の師とも比肩しうるものとして、国際的に高い評価を得るに至っています。現在も同工房にて極めて精力的に製作を続けている、グラナダの名ブランドの一つ。

[楽器情報]
ホセ・ゴンサレス・ロペス製作のクラシックモデル、2011年製 No.121 640㎜スケール仕様 Usedの入荷です。モデル名は記載されていませんが、マリン工房のフラッグシップモデルであるアントニオのModelo Bと同じコンセプトで作られていることから、ブーシェモデルと言えるギターです。グラナダでもっとも有名なこの工房のなかでアントニオとホセという二人の大巨匠に続くポジションとして認識されがちな彼ですが、総合的な完成度と確かなアイデンティティは極めてハイレベルなもので、まさに端倪すべからざるブランドと言えるでしょう。本作においてもその工作精度と音響設計、外観における気品のある佇まいなど素晴らしく、グラナダスクールを円満に体現した一本となっています。

内部構造はサウンドホール上側(ネック側)2本、下側(ブリッジ側)1本のハーモニックバー、そして左右対称5本の扇状力木がブリッジ位置にほぼ横幅いっぱいにわたって設置されたいわゆるトランスヴァースバーを貫通してボトム部まで延伸している構造で、アントニオ・マリンのブーシェモデルを踏襲したもの(トランスヴァースバーはアントニオよりも若干高さを低くして加工されている)。レゾナンスはAの少し上に設定されています。

ロベール・ブーシェ同様にAというやや高めのレゾナンス設定ですが音響的に低い重心感覚があり、やや強めの粘りをともなった発音と密度のある音像、ほのかにエコーを纏ったような響きがいかにもクラシカル。グラナダ的な要素とマリン工房特有の迫力も十分に備えながら、あのブーシェが持っていた独特の「暗さ」も垣間見せるところは、工房の中では特異とも言えるキャラクターでしょう。その力強くも抑制された表情のなかに豊かに楽想を表出するところなどもブーシェ的。アントニオが明朗さと悠揚さにおいて、そしてホセが音響的な洗練においてそれぞれのギターをグラナダ的感性の中に性格づけるとして、ゴンサレス・ロペスはそれらの中庸ともいえる着地で図らずもブーシェにもっとも近い音色を魅力的に体現しています。

640㎜のショートスケール仕様。ネックシェイプは普通の厚みのDシェイプ。ネックはほぼ真直ぐを維持しており、フレットは1~3フレットでやや摩耗見られますが演奏性には問題なく、継続してご使用いただけます。全面セラック塗装によるオリジナルの状態です。表面板の指板脇からサウンドホール周りにかけてと駒板下部分などやや弾きキズやその他スクラッチ痕が目立ちます。指板両脇は割れ補修履歴があります。ネック裏は演奏時の搔き傷がやや多く見られます。横裏板は割れなどの大きな修理履歴はなく、衣服等による細かな摩擦跡のほかは比較的きれいな状態を維持しています。



新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  440,000 円
注文数 :   

区分 輸入クラシック オールド
製作家/商品名 ホセ・ラミレス 3世 Jose Ramirez III演奏動画あり
モデル/品番 Model/No. 1a C-664R IMスタンプ No.2055
001_joseramirez_03_167
弦長 Scale Length 664mm
国 Country スペイン Spain
製作年 Year 1967年
表板 Top 杉単板 Ceder
横裏板 Back & Sides 中南米ローズウッド単板 South American Rosewood
付属品 Option スーパーライトケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:エボニー
塗 装:ポリウレタン
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 2.8mm /6弦 3.8mm

[製作家情報]
100年以上続く歴史ある工房にして世界的にも有名なスパニッシュギターブランドのひとつ ホセ・ラミレス Jose Ramirez。ホセ・ラミレス1世(1858~1923)の時代から現在のホセ・ラミレス5世まで、1世紀以上に渡りスパニッシュギター製作史のなかで最も重要なブランドの一つとしてその名を刻み続けており、いまなおワールドワイドにマーケットを展開する工房です。

なかでもとりわけ評価が高く「Ramirez dynasty」 と言われるほどに豊饒の時代とされたホセ・ラミレス3世(1922~1995)の時期に製作されたギターは、革新的でありながら幅広いポピュラリティを獲得し、世界中のギタリストとギターファンとを魅了し続けました。1950年代末から1960年代、パウリーノ・ベルナベ、マリアーノ・テサーノスといった名職人が職工長として働き、高級手工品の品質を維持しながら大量生産を可能した独自の工房システムを確立します。そして1964年にこのブランドのフラッグシップモデルとして世に出した「1A」は、表面板にそれまでの松材に代わって杉材を使用、胴の厚みを大きくとり、横板は内側にシープレス材を貼り付けた二重構造、弦長は664mmで設定(通常は650mm)、さらに塗装には従来のセラック塗装からユリア樹脂のものに変更し耐久性を飛躍的に増すとともに、「ラミレストーン」と呼ばれる独特の甘く艶やかな音色を生み出し、真っ赤にカラーリングされた印象的な外観と相まってギター史上空前のポピュラリティを獲得することになります。

これらラミレス3世がクラシックギターに対して行った改革はマーケット戦略の面でも、また製作の面でも実に独創的でしかも時代の要請に十全に応じたもので、のちのギター製作全般に大きすぎるほどの影響を及ぼしたのと同時に、まさにクラシックギターのイメージを決定するほどに一世を風靡しました。

ラミレス3世の息子4世(1953~2000)は18歳の時に父ラミレス3世の工房にて徒弟として働くようになり、1977年には正式に職人として認められます。1988年には妹のアマリアと共にブランドの経営を任されるようになり、父の製作哲学を引き継ぎながら、より時代のニーズに則した販売戦略(エステューディオモデルの製作、標準的な650mmスケールの採用等々)を展開しさらにシェアを拡大してゆきますが、3世亡き後わずか5年後の2000年にこの世を去ります。

その後もアマリアを中心に柔軟な商品開発を継続しますが、2000年代以降はむしろ名手アンドレス・セゴビアの名演と共にその音色が記憶に残る3世と4世の時代につくられたモデルに人気が集中するようになり、特に製作を担当した職人のイニシャルが刻印されていた1960年代のものは往年のファンに現在も愛奏されています。


[楽器情報]
ホセ・ラミレス3世のフラッグシップモデル「1A」の中南米ローズウッド仕様、1967年製Usedです。本作はラミレス3世が急激にその名声とマーケットを拡大してゆく、つまり工房として最も充実した時期(楽器のクオリティという点においても)のもの。出荷されるプロフェッショナルモデルにはすべてマスタービルダーのイニシャルが刻印されており、当機はIMスタンプ、イグナシオ・マンサーノ・ロサスの作になります。

内部構造は1Aモデルの基本形。サウンドホール上下(ネック側とブリッジ側)に各1本のハーモニックバー、そして低音側から高音側に向かって斜めにボディを横切って設置された1本のトレブルバーがホール下側のバーとちょうど中央で交差しており、これは1Aモデルの特徴的な構造(2本のハーモニックバーは低音側に高さ数mmの開口部が設けられています)。扇状力木は6本がセンターの1本を境にして高音側に2本、低音側に3本を配し、ボトム部分でそれらの先端を受け止めるように2本のクロージングバーがハの字型に配置されています。ブリッジ位置には駒板よりも長いパッチ板が貼られています。レゾナンスはG#の少し上に設定されています。

全体に細かな弾きキズ、打痕、摩擦跡、塗装ムラ等ありますが年代考慮すると比較的良好な状態です。ネックもほぼ真直ぐを維持しており、フレットは1~5フレットでやや摩耗ありますが演奏性には問題のないレベルです。糸巻はオリジナルスペックのフステロ製を装着、つまみの回転にやや緩みはありますがギア部分の機能性は維持しており使用には問題ありません。




新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  1,237,500 円
注文数 :   

区分 輸入クラシック 中古
製作家/商品名 カール・ハインツ・ルーミッヒ Karl Heinz Rommich
モデル/品番 Model/No.
001_KHRommich_02_219
弦長 Scale Length 650mm
国 Country ドイツ Germany
製作年 Year 2019年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides ココボロ単板(ニカラグアローズウッド) Cocobolo
付属品 Option HISCOX ケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:黒檀
塗 装:表板 セラック /横裏板 セラック
糸 巻:フステーロ
弦 高:1弦 2.7mm /6弦 3.6mm

[製作家情報]
1953年生まれ。ドイツ、フランケンハルトに工房を構える製作家。伝統的なスパニッシュギターに傾倒し、製作を学ぶためにスペインのグラナダを訪れ,
同地のマリン、フェレールら名工たちの工房に足しげく通い見識を深めていた時期もあったようです。その後はギターメーカーのヘフナーに一時就職し、マイスターの称号も得ています。1980年代に独立して工房を立ち上げ1990年代になるとヨーロッパを中心に名前が知られるようになりますが、ヨーゼフ・エトベシュが「ゴールドベルク変奏曲」の全曲をギター用に編曲して演奏したアルバムで使用したことから一気に世界的な名声が高まります。製作家曰く材の選定には取り分けこだわり40年以上ねかせた材のみを選定。接着は全て膠を使用しており、全てセラックでの仕上げがなされています。彼の楽器はスパニッシュギターの生々しく明朗で解放的な響きを全体にクラシカルな洗練を施したような音色で、ロマンティックと透徹さが同居した稀有な楽器となっている。上述のエトベシュのほかにもパヴェル・シュタイドル、マルコ・トプチなどのギタリストが使用しています。

[楽器情報]
カール・ハインツ・ルーミッヒ製作 2019年製 Usedの入荷です。柔らかなレモン色の松材と特徴的な赤みのココボロ単板(Cocobolo)との組み合わせによる外観はいかにもこの製作家が好みそうなコントラストで、それを爽やかに、そしてきりっとした佇まいに着地させているところはさすが。ドイツ的な重厚さよりも、どこかスペインへの憧れを彼なりに投影したようなところがあり、瑞々しくそして落ち着いたルックスなのですがそれが自然と彼の個性となっています。

音もまたスペイン的な響きを基本としながらもルーミッヒのスマートな感性が行き渡ったもので、これがとても魅力的。深い奥行きとともに、撥弦の瞬間から洗練され整った音像がくっきりと立ち現れ、その密度を終止まで持続する。一つ一つの音の粒が揃い、低音から高音まできれいな線を形成するような音響はドイツ的と言えますが、その中にクラシック音楽的、ヨーロッパ的としか言いようがない表情の機微が自然に表れてきます。音響設計的にも単旋律では雑味のない凛とした音を、そして和声的旋律では豊かなポリフォニーをしっかりと構築します。奏者のタッチとのリニアニティも高く、旋律の身振りの隅々にまでニュアンスが行き渡る感覚がとても心地よい。ドイツと言えばいまやモダンスタイルのギターですぐれた製作家が多く出てきていますが、ここでのルーミッヒはあくまでもトラディショナルなスタイルで貫徹しており、確固たるブランドカラーを提示しています。

表面板内部構造はサウンドホール上側(ネック側)に2本、下側(ブリッジ側)に1本のハーモニックバー、左右対称7本の扇状力木、駒板(ちょうどサドルと同一線上)の位置には薄く細く繊細な加工によるプレートが横幅いっぱいにわたって設置されており、さらにボトム寄りのエンドブロックのすぐ近くにはさらに繊細な加工による薄く短いプレートが貼られており、扇状力木はこれらの上を通過してボトム部まで伸びています。この2枚の繊細なプレートの設置はそれぞれの位置関係的にも、また加工処理的にも他には見られない個性的なもので、ルーミッヒの近年の特徴となっています。レゾナンスはF#~Gに設定されています。

割れなどの大きな修理履歴はありません。表面板の指板脇からサウンドホール周りにかけてやや多めに弾きキズがあります。裏板の演奏時に胸が当たる部分に支持具等の装着によるものと思われる四角形の塗装ムラが生じていますが、現状で状態に問題はありません。その他は衣服等による摩擦跡が若干あります。ネック、フレット、糸巻などの演奏性に関わる部分は良好です。ネックシェイプは普通の厚みでややラウンド型のDシェイプに加工されています。糸巻はフステロ製を装着。重量はやや軽めの1.51㎏。


新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  825,000 円
注文数 :   

区分 輸入クラシック 中古
製作家/商品名 ジャン・ピエール・マゼ Jean-Pierre Maze演奏動画あり
モデル/品番 Model/No. No.46
002_JPmaze_02_219
弦長 Scale Length 650mm
国 Country フランス France
製作年 Year 2019年
表板 Top 松単板 Spruce
横裏板 Back & Sides ローズウッド単板 Indian Rosewood
付属品 Option HISCOX ケース
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:黒檀
塗 装:表板 セラックニス/横裏板 ラッカー
糸 巻:スローン
弦 高:1弦 2.8mm /6弦 4.0mm

〔製作家情報〕
フランス、ブルターニュのサン=ポル=ド=レオン生まれ。ギターには若いころから演奏と製作の両方で興味を持っていましたが生業とするには至らず、1976年パリで財務省の職に付きます。公務員としての仕事に従事するなかで、1979年当時モンマルトルに住んでいたロベール・ブーシェ(1898~1986)の知遇を得て、ギター製作を学びます。このフランス最大の名工は彼に治具の作り方から製作において必要な美学的な点に至るまで細かな指導をし、これはブーシェが亡くなる1986年まで続くことになります。1983年に最初のギターを製作しますが、ブーシェからはアマチュアにとどまり気ままに製作をすることを勧められ、公務員を続けながら年一本のペースで地道に製作を続けます。ギタリストの故稲垣稔ら日本人との交流も深く、彼の初期の作(No.5)を日本のディーラーが購入し紹介したことで、日本はマゼの名がおそらく世界で最初にブランドとして高く認知されたマーケットになります。

「アマチュア」とは思えない完成度の高さと、その寡作な態度、そして特にブーシェとの長きに渡る交流(師弟関係)ゆえ、唯一の後継者として特に日本では認識されることが多く、彼の楽器は人気を獲得してゆきます。ブーシェが1986年に亡くなった時は未完のままとなっていた師の遺作を彼が仕上げ、ブーシェ未亡人から生前夫が使用していた工具や木材の全てを譲渡されます。その後も公務員の仕事と年一本の製作ペースを続けますが、数年前に定年退職し、現在は製作に専念、年2~3本のギターを世に送り出しており、日本だけでなく世界的な需要と認知の高まりを見せているブランドです。


〔楽器情報〕
ジャン・ピエール・マゼ 製作 2019年製 No.46 Used の入荷です。表面板は松、横裏板はインディアンローズウッドの近年の彼の定型となっている仕様(2000年代最初までは横裏板が中南米ローズウッド仕様)。構造的にも音響的にも当然のことながらブーシェの影響を色濃く受けたものですが、彼はその製作哲学を深く柔軟に吸収しながら、あまり主張しすぎることのなく自らの個性と融和させており、それが自然他のブーシェフォロワーにはないカラーを生み出しているところが特筆されます。

内部構造はブーシェ後期の7本の扇状力木と駒板位置にほぼ横幅いっぱいに設置されたトレヴェルスバーという配置を踏襲したものですが、一番低音側の力木だけがバーを貫通せずにそこで止まっており、またその7本の力木の断面形状は高音側の3本は山型でそれ以外は角型になっているなどの独自の工夫が見られます。サウンドホール上側には2本のハーモニックバーと三角型の補強プレート(ちょうど扇状力木7本の設置範囲と相似形をトレースするように)が2本のバーの間とネック脚とバーの間に一枚ずつ貼られています。サウンドホール下側には高音側と低音側とにそれぞれ開口部を設けたハーモニックバーが設置されており、7本の扇状力木のうち両外側の各2本が子の開口部をくぐり抜けてサウンドホール縁まで延伸しています。レゾナンスはG#の少し下に設定されています(ブーシェはA)。

やや強めの粘りをもった硬質な響きですが、ドイツ的な剛健さとは異なり、フランス的な角の取れた独特の丸みと繊細さがあり、そこにマゼ独自のほのかな暗さを纏わせたような音色が魅力的です。タッチに絡みつくような発音で、曲の細かな部分での身振りや表情の変化における反応が早く心地よい。中低音~低音はBassとしての十分なうねりと野性味があり、高音の凛とした繊細さとのなんとも言えない対照を作り出しています。

とても良好な状態で軽微な、摩擦あとのほか目立った傷はありません。ネック、フレット等の演奏性に関わる部分も良好です。ネックは普通の厚みのDシェイプ加工で指板はクラシックギターとしてはやや強めのラウンド加工がされています。サドルには1.0~2.5ほどの余剰がありますので弦高値はお好みに応じてさらに低くすることが可能です。20フレット仕様。ブリッジ弦穴はダブルホールになっています(通常の巻き方も可能です)。





新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  4,400,000 円
注文数 :   

区分 輸入クラシック 中古
製作家/商品名 ケヴィン・アラム Kevin Aram演奏動画あり
モデル/品番 Model/No. LOLA
002_Karam_1_02_190_01
弦長 Scale Length 650mm
国 Country イギリス England
製作年 Year 1990年
表板 Top 杉単板 Ceder
横裏板 Back & Sides ローズウッド単板 Indian Rosewood
付属品 Option ケース別売
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:黒檀
塗 装:表板 セラック /横裏板 セラック
糸 巻:不明
弦 高:1弦 3.5mm /6弦 4.2mm

〔製作家情報〕
1949年イギリス生まれ。もともとギターの修理や復元の職人としてスタートし、M.ラミレス、D.エステソ、ハウザー1世からアルカンヘル・フェルナンデス、J.L.ロマニリョスまでに至る銘器の数々の構造を実際に検分する機会を得たことが、後の彼の製作美学に大きく影響したことは推測してあまりあるところでしょう。1991年に現在のイギリス、ノース・デヴォンに工房を移してからは、トーレスとハウザーモデルに限定して製作。それから現在までの彼のギターはオイルフィニッシュ仕様となっており、木材の質感をなまなましく感じさせるとともに、薄い塗装ならではの木質感あふれる渋い響きが特徴。華美とは無縁の音色ながら、自らのギターはその音楽的表現力においてこそ特徴づけられるものだと言い切るその音響は、余計な要素をそぎ落とし、弾き手の指との完全なシンクロを目指しているかのような、厳しささえ感じさせる素晴らしいものとなっています。
またジュリアン・ブリーム愛用のギターとしても有名。この楽器製作での新たな才能を発掘することにおいても慧眼を発揮した稀代の名手が、1980年代後半に製作されたアラムのギターを2本、コンサートやレコーディングで使用したことは有名な話。

〔楽器情報〕
ケビン・アラム製作 ‛LOLA’ 1990年製 Used の入荷です。彼が現在のノース・デヴォンに工房を移す直前に作られたもので、有名なブリーム使用の2本のギターを製作したすぐ後の年式になります。トーレス/ハウザースタイルを踏襲した完成度の高い1本で、外観においても濃茶の杉材にメイプルを使用したバインディングや象嵌などの意匠が慎ましくも洒落たコントラストを生み出しており(裏板はローズウッドとバーズアイメイプルの3ピース仕様)、彼のデザインセンスも十分に感じさせるモデルになっています。

内部構造はサウンドホール上側(ネック側)に2本、下側(ブリッジ側)に1本のハーモニックバー、左右対称7本の扇状力木にそれらの先端をボトム部で受け止める2本のV字型に配されたクロージングバー、駒板位置には同じ幅の補強プレートが貼られており、サウンドホール両脇とネック脚との間のスペースも薄いプレートによる補強が施されています。表面板はかなり薄く、全体も軽量に加工されています(重量1.36㎏)。レゾナンスはE♭~Eと低い位置に設定されています。

のちに彼の標準仕様となる堅めのオイルフィニッシュではなく、全面セラックによる繊細な仕上げ。このブランドとしては比較的珍しい杉材を使用したモデル。全体に薄めに加工された板、そしてセラック仕上げによる効果もあって、木がじかに震えるような生々しい音圧感が印象的。同様のギターにおいて、しばしばまとまりを欠いた音響のギターがあるのに対し、アラムの本作では各音の音像、発音、そして全体の音響バランスも実によく統制されており、彼ならではの完成度がここでも高く維持されています。発音の瞬間からくっきりとした点のような音が綺麗に立ち上がり、和音においては十分な拡がりを持ちながらあくまで清潔な響き。かなり低く設定されたレゾナンスと杉材の相乗効果もあってそのどっしりとした重心感覚も心地よい一本です。

表面板は全体に大小の弾きキズ、打痕等目立ちますが、横裏板は一部若干の塗装ムラをのぞいてほぼ傷のない状態を維持しています。割れ等の修理履歴はありません。表面板のブリッジ周りは弦張力によるわずかな歪みを生じていますが現状で問題のないレベルです。ネック、フレット、糸巻等演奏性に関わる部分での問題はございません。指板は過去に削り調整が施されており、フレット交換もその際に行われております。駒板のサドル固定木部はおそらく弦高を低くする処置のためわずかに削られた履歴がありますが、適切な処置がされており現状での問題は全くございません。弦高は現在値でやや高めの設定となっておりますがサドルに調整余地が十分にありますのでお好みに合わせて設定が可能です。

アラムは製作したギター一本一本にそれぞれ名前を付けています。そのほとんどは女性(を思わせる)の名前。本作は’LOLA’とラベルに直筆で記されています。






新入荷 定価(税込) : 時価 販売価格(税込) :  825,000 円
注文数 :   

区分 国産クラシック 新作
製作家/商品名 アルベルト・ネジメ・オーノ Alberto Nejime Ohno
モデル/品番 Model/No. 90号 オリジナルモデル
005_04_nejime1_01_223_01
弦長 Scale Length 650mm
国 Country 日本 Japan
製作年 Year 2023年
表板 Top 杉単板 Ceder
横裏板 Back & Sides マレーシアン・ブラックウッド単板 Malaysian Blackwood
付属品 Option ケース別売
備考 Notes
ネック:セドロ
指 板:黒檀
塗 装:セラックニス
糸 巻:シャーラー
弦 高:1弦 2.8mm/6弦 4.0mm

〔製作家情報〕
1952年生まれ。1979年にスペインに留学し、グラナダの名工アントニオ・マリンにギター製作を師事。2年に及ぶその期間中彼はほとんど家族の一員のようにして製作を共にし、単に技法の習得だけではなくその土地の文化風土や人間性をも吸収しながらスペインの伝統工法を学んでいます。帰国後に発表した彼の楽器は、感性的な領域にまで深くスペインのニュアンスを染み込ませた逸品として、国内では初めての本格的なスパニッシュギターと評価されるようになります。1988年にはチェコスロバキア・クツナホラ国際ギター製作コンクールにてグランプリを受賞し、国際的にもその実力は高く評価されるようになります。他の追従を許さぬ美しく気品のある外観の仕上がりと、重厚かつ濃密で艶やかな音色と十分な遠達性を備えた作風は近年益々円熟味を加え、師のアントニオ・マリン同様にマニア垂涎の楽器として、現在その評価は不動のものとなっています。また製作と同時に後進の指導や執筆活動にも尽力し、 第一回アマチュアギター製作コンテスト審査員、スペインにて第7回コリアギター講習会参加、ギター製作家in八郷審査員をつとめるなどのほか、雑誌<現代ギター>に「君もギタービルダー」を連載、愛好家からの大きな反響を得て「スペイン式クラシックギター製作法」として書籍化されています。2020年にはフランスの出版社Camino Verde刊 Orfeo Magazine No.15で彼のインタビューと楽器が紹介されました。

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〔楽器情報〕
アルベルト・ネジメ・オーノ(禰寝孝次郎)製作 アウラオリジナルモデル 2023年新作の入荷です。禰寝氏の製作哲学においてはその基底に常に伝統的なものがあり、その響きにおいてもクラシカルな美学が通底しているのですが、そのギターは常に伝統性の更新の予感を含んでおり、他では聴くことのできない独特で圧倒的な音響を創り出しています。最新作となる本作においても近年の彼の傾向と言える重厚な気品が満ちており、真に個性的な一本となっています。

ウェスタンレッドセダーの表面板とマレーシアンブラックウッドの横裏板の組み合わせ、いつもながらの深い艶を湛えたセラックニス仕上げによる外観のたたずまいは彼ならではのストイックな気品を纏っており、やはり印象的。このブランドならではの音圧の強さに加え、濃密で艶やかな音像は杉材の、透明な硬質さはマレーシアンブラックウッドの特徴として一つの音響に純化しており、その着地はやはり見事。タッチに素早く反応する、その発音の瞬間から素晴らしく充実した音像があらわれ、それが終止まで密度を保って持続します。一つ一つの音がしっかりとしたアイデンティティを持ち、表情はニュアンスも豊かで、スタッカートやスラ―、クレッシェンドなどの表現機能的な面でのタッチとのリニアニティも申し分ありません。ボディの奥底から響きいてくるような感覚でありながら音像には雑味がなく、和声的旋律においても明確にそのパースペクティブを形成するところなどは、クラシック楽器としての高い機能性を有しています。その音の在り方は彼が傾倒してきたスペイン的音響というよりも、あのダニエル・フレドリッシュが自身の作を評した「ハープシコード的というよりもピアノ的な音」の言葉をも想起させるもので、モダンギターとはまた異なるギターの新しいフェイズを感じさせるものとなっています。

内部構造はサウンドホール上下に一本ずつの強固なハーモニックバーを設置、このうち下側のほうのバーには高音がわと低音側にそれぞれ開口部が設けられ、ボディ下部に設置された左右対称7本の扇状力木のうちいちばん外側とその隣のそれぞれ2本の合計4本はこの開口部を通過してサウンドホール近くまで延伸しています。この7本の扇状力木(これらも幅1cmほどで高さもある強固なつくり)のセンターに配された1本と両端2本の合わせて3本はその先端をボトム部まで伸ばして設置、残りの4本はブリッジより少し下に設置されたクロージングバーのところで止まっています。オーソドックスなものはボトム近くに設置されすべての扇状力木先端を受け止めるような配置になっていますが、禰寝氏はここでブリッジ近くまでその位置を上げて上記のように中間の力木のみを受け止めるような構造にしています。レゾナンスはG#~Aに設定されています。

650㎜スケールでネック形状は普通の厚みのDシェイプでややスクエアな加工。指板はややラウンドに加工されており、フレットは20フレット仕様になっています。糸巻はシャーラ―のGrand Tuneシリーズを装着。重量は2.04㎏。オールセラックニスによる仕上げとなっています。


新入荷 定価(税込) : 990,000 円 販売価格(税込) :  891,000 円
注文数 :   


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