〔製作家情報〕 Jose Romero Garrido 1954年スペイン、アンダルシア地方のバエサ生まれ。幼少の時に家族でマドリッドに移り、1968年14歳の時にラミレス工房に入り見習いとして製作家としてのキャリアをスタートします。地道に修行を重ね、途中兵役のため一旦工房を離れますが除隊後に再度ラミレス工房に入り、マスタークラフツマン試験を志願、ラミレス3世の高い評価を得て21歳で正規職人任命されます。その後8年間ラミレス工房にて働いた後、1983年に自身の工房をマドリッドに開設して独立。
[製作家情報] マヌエル・ゴンサレス・コントレラス(1928~1994)と息子であるパブロ・コントレラス(1957~2011)によるブランド(※現在はJose Antonio Lagunarがブランドを継承)。マヌエルは家具職人としてそのキャリアをスタートさせ、高い木工技術とデザインセンスの持ち主であったようです。1959~1962の間ホセ・ラミレス3世工房で(徒弟ではなく熟練工として)働いたあと、彼は自らの楽器製作のアイデアを具現化すべく早々に自身の工房を起ち上げます。木材の厳しい選定、音響と演奏性のあくなき追及から生まれた彼のモデルはほとんど発明家の様相さえ帯びるほどに個性的なものであり、その革新性ゆえにフォロワーが存在しないという意味でも稀有な有名ブランドとなっています。そのラインナップは8弦、10弦、13弦などの多弦ギターからダブルトップ(のちにマティアス・ダマンらが開発するNomexを使用したものとは全く異なる)、スピーカーの音響原理を取り入れたカルレバーロモデル、そして湾曲した力木を用いた1A Especial 等々実に多岐にわたり、どれもが注目すべきモデルとなっています。しかしながらその出発点となったホセ・ラミレス的マドリッドスクールにふさわしい、重厚で包み込むような音響は通底しており、その造りの確かさもあいまって、いまもマドリッドの代表的ブランドの一つとして高い評価を維持しています。息子のパブロは1975年より父の工房で働き、マヌエル同様に進取の気性に富んだ彼は良きパートナーとしてこのブランドの隆盛に寄与し、マヌエル亡き後もその精神を維持してすぐれたギターを出荷し続けましたが(ラベルはマヌエル・コントレラス2世 Manuel Contreras IIと表記)、2011年54歳という働き盛りでこの世を去ります。
[製作家情報] スペイン、マドリッド生まれのペドロ・ペレス(1958~2008)とミゲル・アンヘル・ロドリゲス(1960~)による共同ブランド。二人とも10代半ばでホセ・ラミレス3世の工房に弟子入りし、1980年代最初にはマスタービルダーとしての地位を与えられていたようです(ただしラミレスの公式ID No.リストには記載はされていません)。二人は1990年に同工房を辞し、翌年同じマドリッドのAmor de Dios 13番地に工房を開きブランド名をPedro de Miguel として運営を開始します。2008年にペドロが早すぎる死を迎えますが、ミゲルは二人の名を冠したブランドを維持して製作と経営を続けてゆきます。その後ペドロの息子ルベンとミゲルの息子アルバロが職人として加わり、親子二代にわたるブランドとして堅実に基盤を硬め、現在に至ります。